Special Issue

SaaS・IT統制 「SaaS」「内部統制」がキーワードに 管理・運用性を高めるソリューションに注目が集まる

2008/03/28 19:56

週刊BCN 2008年03月24日vol.1228掲載

SaaS 日本エフ・セキュア 販売パートナーと共に新しいビジネスモデルを構築
中小企業を中心に展開開始 SaaS型アンチウイルス製品

サービスに強いアンチウイルスベンダーの提供するSaaSモデルとは

photo F-Secureは、北欧フィンランドに本拠地を置くアンチウイルスベンダーであり、サービスビジネスに非常に力を入れ、高い実績を有している。同社のサービス製品を提供するサービスプロバイダは、ヨーロッパを中心に166社にのぼる。そのF-Secureの日本法人、日本エフ・セキュアが法人向けSaaS型アンチウイルス製品「F-Secureビジネスセキュリティ」を3月3日より発売開始した。

 「現在、アプリケーションをWeb上で使用するSaaSが注目されています。そのため、セキュリティという観点から、PCを単機能にして保守を透過的に行いたいというニーズが増えています」と語るのは、渡邊宏代表取締役。

 「F-Secure ビジネスセキュリティ」は、自社で管理する場合の「スタンダードモデル」、サービス事業者に運用管理をアウトソースする場合の「アドバンスドモデル」の2種類のラインアップを揃えている。どちらの場合も、クライアントPCとファイルサーバーが保護対象で、「アドバンスドモデル」の場合はサービス事業者が複数のエンドユーザーを一括してサービスポータルから管理することも可能だ。導入に関しては、ポータルURLとキーコードを取得し、Webブラウザにあるサービスポータルにアクセス。ID・パスワードを入力してログインするだけで利用が開始できる。クライアントPCにはエージェントをインストールするだけで、サービスポータル上に情報が一覧表示される。

 「F-Secure ビジネスセキュリティ」の手軽さは、導入だけではない。ホーム画面には「ウイルスとスパイウェア防御」「インターネット防御」「自動更新」「集中管理」「ライセンス」などの状態がひと目でわかる「リアルタイムステータスモニタ」を採用。クライアントPCのステータスと設定情報をわかりやすい色別アイコンで表示するなど、GUIも工夫されている。

 導入から管理・運用まで、高いセキュリティ効果が容易に得られるため「専任の管理者を配置できない中小規模企業にとって、管理の手間やコストが削減できる」(渡邊代表取締役)ソリューションであることは間違いないだろう。

販売パートナーにとっても新たなビジネスチャンスになる

 販売については、既存の販売パートナーを通すため「販売パートナー様自身が新しいビジネスモデルを構築することで、新たなビジネスチャンスにつながる」(渡邊代表取締役)というのが同社の考えだ。手離れのいいSaaS型アンチウイルス製品として「スタンダードモデル」、セキュリティ管理サービスを提供するためのツールとして「アドバンスドモデル」など、販売パートナーは顧客のニーズに合わせた提案ができる。このように「F-Secure ビジネスセキュリティ」は販売パートナーにとってもメリットの高い商材になっている。

 今後、同社ではパッケージ販売にも注力していく。同社がすでに展開している「オフィスパック」「小中高校パック」「キャンパス」「公共パック」の4つのパッケージ製品を「F-Secure ビジネスセキュリティ」にバンドルしたパッケージ販売を提供する。特に力を入れているのは、中小規模企業がメインターゲットの「オフィスパックS」と、小中高校を対象にした「小中高校パックS」の2つだ。ライセンス体系は「オフィスパックS」が従業員数、「小中高校パックS」が学校数に応じ、その中での利用に台数制限はない。「これらのパッケージ製品を『F-Secure ビジネスセキュリティ』に取り入れたことからも、当社のSaaSに対する意気込みが伝わればと思います」というのが渡邊代表取締役のメッセージだ。

日本エフ・セキュア=http://www.f-secure.co.jp/

(週刊BCN 2008年3月24日号掲載)