Special Issue

<マカフィー特集>コンシューマからエンタープライズまでをカバーする豊富なプロダクトを提供

2008/04/14 19:56

週刊BCN 2008年04月14日vol.1231掲載

 先日、米McAfeeのエグゼクティブ・バイスプレジデントに就任したマイケルP.デシーザー氏が来日した。McAfeeの現在と未来について語る同氏に、ワールドワイドでの戦略について、また、マカフィーの加藤孝博代表取締役社長には、国内市場における展開について話を聞いた。

セキュリティ・リスクマネジメントで幅広いユーザーの要望に応える

新興国の成長が著しい日本市場はさらに伸びる

 2007年10月に米McAfeeのエグゼクティブ・バイスプレジデントに就任したマイケルP.デシーザー氏。同社決算の3か月前というタイミングのため「08年の計画やリソースの配分が適切か、成長の速度や比率が目標達成できたのかといったチェック、各国のマーケットモデルの精査などで多忙を極めました」(デシーザー氏)とのことだ。

 しかし「エネルギーは無制限にもっている」というだけあり、精力的に活動を続けている。来日したばかりだが疲れの色は見せずに、この日もエネルギーが満ちあふれていた。

 グローバルで注目している市場について聞くと「成長率でいうと、新興国が高い値を示していますね。例えば、南米やアジア各国、ヨーロッパの一部地域などは、非常に高い成長率となっています。トリニダード・トバゴでは大型の案件を獲得したため、200倍という成長を示しました。ビジネスの規模を考えると、北米や日本、独、英、仏などは非常にボリュームが大きいですね」(デシーザー氏)とのことだ。

photo McAfeeは大規模企業から中堅・中小規模企業、コンシューマまで幅広い顧客を有している数少ないメーカーの1つだ。それぞれのセグメントで最適な提案を行い、多くの顧客やパートナーから支持を獲得している。実際、昨年度の成長率は22%を誇り、競合他社と比べても高い成長率を実現した。セキュリティベンダーの中でも、勢いがあるベンダーの1社といえるだろう。

 同社は、ワールドワイドで展開していることもあり、その国や地域ごとでのセキュリティニーズの差異にも敏感だ。「セキュリティに対して、どのような期待をかけているのかは国や地域ごとで異なります。例えば、中国であればデバイス暗号化やモバイル、日本では情報漏えい対策などが注目されていますね」(デシーザー氏)とのことだ。

 日本のビジネスについて聞くと、「アジア、太平洋地域において、非常に大きなマーケットですね。日本以外の国々をあわせても、日本の規模にはなりません。たしかに、日本はMcAfee全体の売り上げの中で上位ではありますが、今後さらに成長していくと予想しています」(デシーザー氏)。

付加価値を高める提案 マネジメントやユーザビリティにも注目

 日本では、日本版SOX法が運用のフェーズに入る。そのためセキュリティは「よりセンシティブな課題となってくるはず。米SOX法では問題とならないが、日本版SOX法では対応しなければいけない部分も多いので、それらのニーズに応えるソリューションの開発・提供に注力しています」と、マカフィーの加藤孝博代表取締役社長は語る。

 日本版SOX法においては、携帯電話やPCなど、ネットワークに接続できるあらゆるデバイスをどうプロテクトするのかが重要となる。そのセキュリティを担保できなければ、監査意見がつかないといった事態も想定される。それだけに非常にナーバスな課題といえよう。情報をプロセスとして保護するうえで、多くの課題が山積しているのである。McAfeeは、これらのニーズに応える包括的ソリューション、セキュリティ・リスクマネジメントを提唱しており、その中でも、日本のニーズに合わせた具体的なソリューションを順次投入している。

 昨年末には、情報漏えい対策として「McAfee Data Loss Prevention」(DLP)を提供し、市場での話題を一手に集めた。DLPは、ホストとゲートウェイの両ソリューションが提供され、エンドポイントでの情報漏えい対策を実現する。既存のチャネルや新規パートナーなどを開拓し、積極的な展開を行っている。「ホストベース、ゲートウェイベースの対策製品を1社から提供できるメーカーは、さほど多くありません。しかしエンドポイントでの対策を考えると、両方とも不可欠です。マルチベンダーで導入すると、管理・運用工数、サポート工数が増大してしまうので、工数が少ないベンダーから導入したいというのがパートナー様やエンドユーザー様の本音でしょう」(加藤社長)。

 さらにDLPを拡充すべく、暗号化ソリューションで知られるセーフブートと統合していく予定だ。同社は、より広範囲をカバーする包括的なデータ保護のソリューションを提供することになる。「暗号化の技術・ノウハウを持つセーフブート社も買収し、技術を手に入れました。これらの技術をお客様がより活用しやすいよう、マネジメントやユーザビリティにも注力し、多くの製品を開発しています」(加藤社長)。

 非常に幅広いプロダクトを有し、あらゆる顧客に対して最適な提案ができる。パートナー企業としては、これだけのポートフォリオを活用しない手はない。また、マカフィーと協業することで、自社の付加価値を高めることにもなる。

 「シングルサインオンやWebアプリケーションファイアウォールなど、当社の製品だけでは足りない分野も残っています。そのため、今後も買収などを行い、お客様の声に応えていこうと思います。セキュリティは今や企業にとって最重要項目の1つです。そのセキュリティに必要なソリューションをマカフィー1社で提供できるようにします。ご期待ください」(デシーザー氏)。

 McAfeeの日本に対する期待は非常に大きい。ワールドワイドでさらなるシェアを獲得するためには、日本市場がカギを握っているからだ。そのため、同社の日本での展開はさらに本格的なものとなる。
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外部リンク

マカフィー=http://www.mcafee.com/japan/