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<期待される企業像>日立情報システムズ 流通BMSソリューション「REDISuite」を提供

2008/04/21 19:55

週刊BCN 2008年04月21日vol.1232掲載

 日立情報システムズは、幅広い業種におよぶシステム構築・運用の経験を生かし、高品質なITソリューションを提供する情報サービス企業だ。流通業に対しても、1981年に企業間のオンライン受発注システム「EOS」の構築・運用サービスを開始。83年よりEDIサービスの全国展開を図り、現在、約2万社におよぶ流通業が同社のサービスを利用している。流通業向けシステムとEDIで豊富な実績とノウハウを持つ同社の流通BMSへの取り組みについて、流通情報サービス事業部の古田茂雄執行役に話を聞いた。

流通業の情報の「見える化」を、安全・確実に実現
豊富な実績と運用ノウハウを生かしてトータルサービスを提供

業界に先駆け流通BMSに着手 共同実証プロジェクトにも参加

 次世代型の流通EDI「流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準)」の発表から1年が過ぎ、その取り組みは小売・卸、アパレル、生鮮、百貨店、ドラッグストアなど多様な業界に広がりつつある。そうしたなか、EDI(電子データ交換)で豊富な実績を持つ日立情報システムズでは、流通BMSにも率先して取り組んできた。経済産業省が2006年4月より推進してきた流通システム標準化事業の共同実証プロジェクトに日立製作所と共に参加し、共同実証参加企業の大手GMS(General Merchandise Store)2社のSIベンダーとしてEDIセンター機能を提供、流通BMSへのスムーズな切り替えを支援している。

 日立情報システムズの流通業向けビジネスへの取り組みは、日本チェーンストア協会が規定した取引先データ交換標準通信制御手順「JCA手順」開始とほぼ同じ81年にまでさかのぼる。以来、オンライン受発注システム(EOS)、出荷、請求、支払いなどを含むEDIなど、流通関連システムの構築実績と、ネットワークやデータセンターの運用実績を生かして利用企業数を拡大。現在、同社のEDIサービスを利用している企業は、小売業・卸売業を中心に約2万社を数える。

 古田執行役は、同社の先進的な取り組みのバックボーンとして長年培った豊富な構築実績と運用経験をあげ、「大事なデータを“安全”“確実”に届けるのがEDIの使命。システム構築による基盤サービスだけでなく、運用管理業務と併せたトータルサービスを提供できるのが当社の大きな強みです」と語る。日立情報システムズでは、06年度の共同実証プロジェクトに参加したユニーのEDIシステムを05年から担当し、流通BMSの発表前から、ユニーとともにSCM改革に取り組んできた。そのノウハウと長年積み重ねた豊富な実績が、流通BMSの提供で大きなアドバンテージになっている。

ワンストップ型EDIサービスを実現する「REDISuite」

photo こうした取り組みを経て、日立情報システムズは07年11月、流通BMSソリューション「REDISuite(レディスイート)」をリリースした。

 「REDISuite」は、流通BMSに対応した小売・卸売業向けのワンストップ型EDIサービス。日立製作所の次世代流通EDIシステム「HITREDI(ヒットレディ)」を核に自社導入型、アウトソーシング型、ASP型の3タイプで提供している。流通BMSだけでなく、レガシータイプのEDIやWeb-EDIなどとの連携も可能で、従来のサービスとの互換性を保ちながら流通BMSへの移行が短期間で実現できる。また、卸売業向けに用意した「HITREDI for クライアント」(JX手順)やASP型サービスを利用すれば、初期投資を抑え、段階的に流通BMSへ移行することも可能だ。

 「卸売業と小売業・メーカー間の取引ごとに存在した個別の仕組みが流通BMSで標準化されたことにより、システムにかかるコストが削減できるだけでなく、物流の迅速化や誤納品の撲滅など、さらなる業務改革に向けた基礎固めができたと考えています。特に、中堅・中小規模の流通業にとっては、FAXや電話などの行き違いなどから解放され、業務効率を飛躍的に向上できるチャンスです」(古田執行役)。

 また、「REDISuite」は、他の製品との連携も進めている。08年3月にはサトーの出荷検品システム「大車輪」との連携機能を追加した。今後は、自社の基幹パッケージとの連携も図りつつ、サービスの拡充に取り組んでいく予定である。

SCM改革の旗手としてサービス提供の裾野を拡大

 08年4月から、日立情報システムズでは流通情報サービス事業部に、「流通SCM本部」を設置した。

 

 これまで、ユニーなど大手GMSとの共同実証プロジェクトで培ったノウハウを生かして、小売業や卸売業向けのソリューションを展開してきたが、今後はアパレルや生鮮、ドラッグストアなどにも順次展開し、日立情報システムズが得意とするワンストップサービスの提供を推進していく。

 また、大規模から中小規模の小売・卸売業へ、小売・卸売業から帳合卸・二次卸、メーカー、3PL(3rd party logistics)への架け橋となるサービスを提供することで裾野を広げる一方、IP-VPNや広域イーサネットなどのネットワークサービスとセットにした拡販にも取り組んでいく。

 「現在のシステムは、何でもすべて自社で揃える“作る時代”から、ほしい機能を“使う時代”へと、流れが変化しています。当社が提供する幅広い品揃えの『REDISuite』を利用していただき、流通改革のポイントである調達リードタイムの削減とプロセスの可視化を実現してほしいですね」と古田執行役は語る。

 本格的な普及に向けて動き出した流通BMSにいち早く着手したSCM改革の旗手・日立情報システムズの今後の活躍に期待が高まる。
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外部リンク

日立情報システムズ=http://www.hitachijoho.com/