Special Issue

<SaaS/ASP特集>多様化するビジネス環境に対応

2008/04/21 19:56

週刊BCN 2008年04月21日vol.1232掲載

日本SGI
印刷・出版事業者向けソリューションをSaaS化
紙のインターフェースを生かしたデジタルパブリッシング

 コンテンツの有効利用に秀でる日本SGIは、リッチデジタルコンテンツプラットホーム「VizImpress」をSaaS化した「VizPlace(ビズプレイス)」を提供。当面、具体的な用途提案として、電子チラシや電子カタログを前面に展開する。

ポテンシャルはリッチコンテンツの統合プラットフォーム

 日本SGIは、従来からデジタルコンテンツを効果的に制作・表示するソフトウェア群「VizImpress」を提供。対話型リッチコンテンツ統合プラットフォームとして、タッチパネルディスプレイを使ってコンテンツそのものに触れながら操作するという、わかりやすい情報表示の方法を提案している。高速ズームやスクロール操作などのインターフェースは、テレビの情報番組などでも活用されているため、多くのユーザーにとって馴染みのある表示方法だろう。これをコアテクノロジーとし、SaaS型のサービスとして2008年2月から提供を開始しているのが、「VizPlace」だ。このサービスでは、高解像度のデータをWeb配信することにより、新しい市場の開拓を狙っている。「『VizImpress』と同様の機能を備えているため、シーン切り替えなどの多彩な映像効果を使い、静止画・動画などを組み合わせて情報を提示することができます。デジタルサイネージシステムや放送番組・イベントでの使用、対話的なプレゼンテーションの作成など、あらゆる利用シーンが想定されています」と、営業推進本部・コンテンツサービスプロデューサーの町田聡氏は語る。

 しかし、ユーザーに対して「なんでもできる」と提案しても、そのポテンシャルが高いがゆえ、具体的な用途がイメージできないという状況も少なくない。そこで「VizPlace」では、最も特長が生かせる“電子チラシ”、“電子カタログ”、“電子新聞”を具体的な用途としてサービスメニュー化している。「SaaSとしては異色の“コンテンツが主体となる”提案です。当社ではCaaS(Content as a Service)という造語で表現しています」(町田氏)。

 従来の「VizImpress」は、静止画・動画、音声データなどさまざまなデジタルデータを統合し、インタラクティブに操作できるコンテンツとして表示するソフトウェア群。その機能をベースとする「VizPlace」が目指しているのは「紙からの置き換え需要」(町田氏)だ。企業には紙を媒体とする情報が多く蓄積されており、この資産を有効に活用したいと考えている企業は少なくない。新たなコンテンツを制作する場合はもとより、過去のデータをライブラリとして提示し、情報の再活用も可能となる。紙の情報をデジタル化するというアプローチは少なくないが、紙のインターフェースを生かしたデジタルパブリッシングという提案は他にはない。Webが媒体として普及するなか、「紙のインターフェースという原点回帰の提案は引き合いも多く、確実にニーズがある」(町田氏)という。

ユーザーの興味を可視化 マーケティングツールとしての可能性

 「VizPlace」を使えば、高解像度データの拡大・縮小やスクロールなどをスムーズに実現するほか、閲覧時にズームされた箇所を記録して、統計結果を可視化する機能がある。「チラシやカタログは、見出しを見ながら必要なところを自由に行き来する人が多いですね。つまり紙は興味に合わせてランダムアクセスがしやすい媒体なのです。PDFをダウンロードさせて印刷物のデータを配布することはできますが、読みたい部分も読まない部分も一緒にダウンロードされてしまうため、閲覧者が実際にどの部分を見たのかといったデータは取得できません。この部分が大きな違いです」と、SiliconLIVE事業推進本部・ソリューション推進・マネージャーの澤扶美氏は「VizPlace」のマーケティングツールとしての可能性を話す。「また環境を意識した経営をされている多くの企業で、紙媒体のデジタル化に興味を持たれています。そのようなニーズにも応えられるのが『VizPlace』です」。

 従来は配って終わりだった情報を、「VizPlace」を利用することで新たなビジネスの可能性を探るツールとして活用できるわけだ。この機能は「VizPlace」があくまでも業務用のシステムとしての展開をするうえで、重要な機能になる。また閲覧者の興味を持つ対象そのものだけではなく、デジタルペーパーを見るときに無意識に行っている動作などがわかるため、紙面のデザインを作る際にそれを生かすこともできる。「Webチラシは、非常にシンプルでわかりやすいソリューションです。ここから始めて、お客様にノウハウを蓄積していただき、より高度なコンテンツを作成していただければと考えています」(町田氏)。

 すでに大日本印刷が「VizPlace」を活用した折込みチラシのポータルサイト「オリコミーオ!」を提供している。これは、新聞の折込みチラシをWeb化し、配信するというポータルサービスだ。このように、「VizPlace」を付加価値として活用し、顧客に対して自社ブランドのサービスとして提供することも容易だ。当面は印刷、出版事業者向けにデジタルパブリッシングという用途で提案していくが、今後はそのポテンシャルに見合った具体的な提案内容を拡充していく予定だ。

 紙のインターフェースの心地よさを見直し、Webならではの付加価値を提案する日本SGIの提案は、多くの企業に受け入れられるだろう。SaaSという潮流のなか、独自のCaaSという戦略に注目したい。

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日本SGI=http://www.sgi.co.jp/products/viz-place/(VisPlace)

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