Special Issue

【特別企画】新生TIE/ワンストップソリューション事業戦略

2008/04/28 19:56

週刊BCN 2008年04月28日vol.1233掲載

「PC運用上手」を中心とするパートナーシップ

新たな付加価値を創造する「製品連携」、新たな市場を創造する「販売チャネルの融合」。東芝情報機器(TIE)が目指すパートナーシップは、パートナーはもとよりユーザーのメリットも高く、Win(TIE)-Win(パートナー)-Win(ユーザー)の関係を構築する。

富士ゼロックス
新たな製品価値を創出すると同時に
共同マーケティングで新市場を作る


 「東芝情報機器様との協業によって、新しい価値と市場を一緒に創出できるのではないかと期待しています」と、営業本部・基幹業務プリンティングソリューション営業部部長の宮崎晋一氏は語る。富士ゼロックスは、これまでもパートナーと共に新しい価値と市場の創出を推進してきた。しかし、これまでは価値を創出するパートナーと市場を創出するパートナーは別のセグメントとしてとらえてきた。TIEは、パートナーと共に付加価値と新規市場を創出すべく、数年前にパートナー戦略を大きく方向転換した。この改革が富士ゼロックスの思い描く姿、「製品連携」と「販売チャネルの融合」の双方に合致していたことから、今回の協業がスタートした。富士ゼロックスにとって、TIEは価値と市場の双方を共同で創出できる、重要なパートナーになったのである。「“PC運用上手”は、中堅・中小規模企業にとって強力な認証基盤となるはず。その認証基盤という枠組みに対して、密な連携を図ることが重要なテーマだと考えています」(宮崎氏)。

 プリンタにおいても認証基盤との連携性が密になれば、優位性が高まり、市場から受け入れられるようになる。ひいては、富士ゼロックス、TIE双方のメリットにもつながる。

 セキュリティが、企業規模を問わず必須項目と認識されている現在、出力をつかさどるプリンティングについても十分な対策が求められる。今後、さまざまな提案が期待できるパートナーシップとして、両社がさらに連携を深めていくことは間違いないだろう。

セイコーアイ・インフォテック
お互いの信頼ある企業ブランドによる
アライアンスでシナジー効果を最大限に


 「当社は図面などを出力する大型プロッタの製造、販売を行っており、企業の設計部が主なお客様となります。東芝情報機器様とのアライアンスはお互いに新しい市場を開拓でき、シナジー効果が高いと考えています」とソリューションビジネス推進部長の山田徳行氏はTIEとのパートナーシップを説明する。

 同社は、機密性の高い図面を扱う顧客の課題に応える「Plot Share One Series」を提供している。これは、高画質・高速・高圧縮のUCVフォーマットをコアテクノロジーとしたソリューションで、情報共有をより快適・容易とするものだ。「UCVをコミュニケーションフォーマットと位置づけています。データが軽くなり、既存のインフラでも十分活用できるため、ノートPCとナローバンドやPHSという組み合わせでもユビキタスを実現できます」(山田氏)。UCVフォーマットのファイルサイズはTiffのおよそ180分の1。これまで郵送に頼っていた大判図面も、電子メールなどで容易にやり取りできる。現在、原油高により輸送費が高騰していることに加え、グリーンITが求められていることで、市場にも追い風が吹いている。さらに、インフラが整備されていない海外との情報のやり取りにおいても、十分な利用が見込めるだろう。ファイル形式もカスタマイズに対応しているため、セキュアな環境でも活用可能だ。「セキュリティは最終的に啓蒙活動に尽きます。そのトリガーとして“PC運用上手”は非常にいいツールだと思います」(山田氏)。アライアンスにより提案の幅を広げることに期待がかかる。

シーイーシー
強みを生かす協業によって
中堅企業へ販路を切り開く


 「当社は、独立系のシステムインテグレーターとして、これまで大手企業を中心にビジネスを展開してきました。自社で開発・販売しているソリューションの多くは企業規模を問わず活用できます。東芝情報機器様とのアライアンスによって、今後は中堅規模のお客様に向けた展開ができるようになると、大いに期待しています」と語るのは、ITサービス本部・ITILコンサルティングサービス部・シニアコンサルタントの室永洋一氏。

 シーイーシー(CEC)は、セキュリティコンサルをはじめに、ICカードに軸足を置いた「SmartSESAME」というセキュリティソリューションや、営業支援システム「WonderWeb」を、自社のソリューションとして提供している。

 これらが「PC運用上手」とうまく補完し合うことによって、新しい付加価値を生み出している。情報システム部門を設置していない企業には、運用・管理のコストや工数を抑えながらセキュリティを強化したいというニーズが高いが、こうした要望に対して的確に応えることができるのだ。

 TIEは、中堅企業への販路に強みを持ち、これまで保守・サポートも含めた一気通貫の展開をしてきた。CECは、このTIEの販路・保守・サポート力を通じて、今後さらなるビジネス拡大をめざしていく。

「今後、TIE様とのパートナーシップをさらに強化し、幅広い顧客ニーズに応えていきたい」と、室永氏。今後、両社の連携はより強固になっていくだろう。

デジタル アイ
ユニークな製品を
アライアンスによる販路拡大でユーザーの手元に届けたい


 デジタル アイは、デジタル家電・Web関連システムなどのファームウェアを開発しているソフトウェアハウス。ユニークな発想力と高い技術力を武器に、大手ベンダーとの取引も多い。その同社が世に送り出すのが、ネットビジネス向けメーラー「SCRUM(スクラム)」だ。

 Share、Customer management、Relational、Useful、Marketingを語源とした「SCRUM」は、ネットビジネスの現場のニーズから生まれた新しいメールソリューションである。大勢のユーザーから届くメールを複数のメンバーで共有しつつ対応できることから、メール対応のスピードアップと顧客満足度の向上を実現する。

 「ネットビジネスを行ううえで、セキュリティとメールは多くのお客様の欠かせない課題となります。東芝情報機器様とのアライアンスを実現したことで、こうした多くのお客様を満足させられるのではないかと期待しています」と、代表取締役の本間欣哉氏は語る。

 デジタル アイは、TIEの販売網を活用し、より多くの顧客に対して自社のソリューションを届けたいと考えているのだ。

 一方、TIEにとっては、デジタル アイのソリューションを付加価値として活用することで、提案の幅を広げることができる。両社にとってメリットの大きい、まさにWin -Winのアライアンスといえるだろう。

 新しいアイデアを次々と具現化するデジタル アイは、今後もTIEと協業し、ユーザーの手元に新しいソリューションを届ける構えだ。