企業を取り巻く課題は多いが、とりわけ注目されているのが「事業継続」であろう。日本は、地震大国だ。大規模な災害が頻繁に起こる。事実、岩手・宮城内陸地震や新潟中越地震などは記憶に新しい。そのため、事業継続管理(BCM:Business Continuity Management)や事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)といった分野への関心が非常に高い。事業継続というキーワードに対するストレージ市場の動きを追った。

「管理」「セキュリティ」から「災害対策」や「事業継続性」が課題に

システム停止は自社だけの問題にあらず

 経済産業省から「事業継続計画策定ガイドライン」が、内閣府中央防災会議からは、「事業継続ガイドライン第一版 ―わが国企業の減災と災害対応の向上のために―」と題したガイドラインが相次いで発表されている。「事業継続」というキーワードは、企業のみならず、国を挙げた課題ということがわかる。

 地震や台風などの自然災害だけでなく、人災やシステム障害などによって業務を行えないケースもある。これらにより、自社の損害につながることは説明するまでもないだろう。

 しかし、企業システムの停止は自社だけの問題にとどまらない。例えば、新潟中越沖地震で被災した部品メーカーの操業停止が、自動車業界/精密機器業界まで波及した。同様に、システムが停止した場合、顧客に対して大きな損害を生じさせるばかりか、社会的な問題に発展することもあり得る。現在、多くの企業のシステムが接続され、大規模なネットワークを形成し始めている。どこか1社のシステム停止が社会的な問題に発展することは、十分考えられるのだ。

 ビジネスを行う上で、企業システムのバックアップやデータレプリケーションといったソリューションの導入は必須と言えよう。あらゆる手段で情報を適切に保存し、必要に応じて取り出せるような仕組み作りが求められている。

「情報爆発」時代を支えるストレージへのニーズ

 経済産業省の「グリーンITイニシアティブ」によると、今後20年足らずで社会全体で扱う情報量が爆発的に増加するとしている。同資料によると、06年のインターネット内の情報流通量の推計は637Gbps(ギガビット/秒)だが、2025年には121Tbps(テラビット/秒)になると試算している。加速し続けるデータの肥大化に伴い、それらのデータを保存するストレージも大容量化し続ける。これらのストレージを適切にバックアップするため、ディスクベースのものが選ばれ始めている。

 これまで、バックアップの基本は「テープ」であった。しかし、企業システムのストレージ容量の肥大化に伴い「テープ」では管理・運用が困難になり始めているのである。企業システムのバックアップを取るため複数巻のテープの使用を余儀なくされているのだ。

 管理・運用工数の増大に加え、さらにリストアに時間がかかるといった課題もある。もちろん、長期保存という目的では「テープ」にメリットがあるものの、ディスクベースのソリューションが拡充している事実は否めない。「テープ」から、Disk to Diskのソリューションにリプレースしたり、Disk to Disk to Tapeといったソリューションを導入するケースも増えているようだ。

 ディスクベースのソリューションの中で注目を集めているのは、NAS(Network Attached Storage)だ。数年前は、信頼性の高さが重視されてSCSIが使われてきたが、NASの利便性の高さ、実績が認められ始めているのだろう。最近では、ユーザーの声に応えた製品も多く提供されるようになり、Windows Storage Serverを採用したモデルも投入され始めている。これらのNASは、Windowsとの相性がいいだけでなく、Active Directoryで管理するネットワークに追加できるなど運用性も高い。また、ソフトウェアと組み合わせてソリューションとして提供できることも人気の秘訣と言えるだろう。最近では、指定したNAS以外とのやり取りを禁止し、シンクライアント的に使えるソリューションもある。ユーザーニーズに応え、すそ野を広げていると言えよう。

 またNASは、法人市場だけでなくコンシューマ市場においても高い評価を獲得し始めている。コンシューマ市場でも、デジタルデータを扱うケースが増えており、データを適切に保存し活用したいというニーズが高い。そういった声に対して、NASが応えられる部分は非常に大きいためだ。そのため、データ保護を謳った製品やバックアップソフトが添付されている製品が注目されている。ハードウェアだけではなく、ソフトウェアも提供することで、ユーザーの細かいニーズにも応えているのだ。

 ストレージ市場は、「情報爆発」時代を控え、新たな局面を迎えている。単なるデータの保存場所としてではなく、信頼性や事業継続というキーワードに適切に応えることが求められているのだ。

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