企業や教育機関などの組織(以下、組織という)では、ソフトウェア導入によって、業務効率化・生産性向上が成されている。ソフトウェア市場の拡大により、管理対象のソフトウェアも急増している。そこで、2008年3月、ユーザーのソフトウェア資産管理(Software Asset Management、以下SAM)の支援活動を本格的に展開することを表明したアドビ システムズ 株式会社のシニアライセンシングマネージャー今泉寛氏に、SAMについて話を聞いた。

パートナーとともにソフトウェア資産管理 支援活動を積極展開

日本の違法コピー損害額は横ばい
ソフトウェアの市場規模は拡大


 米国の非営利団体であるビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)が発表した「第5回 BSA&IDC世界ソフトウェア違法コピー調査」によると、日本における、2007年度の違法コピー損害額は約2112億円、違法コピー率は23%であった。

 昨年に比べて違法コピー率が低下している一方、違法コピー損害額は横ばいの状況だが、今泉氏は、「特に2006年からソフトウェアの市場規模が拡大している点に注目している」と語る。

 確かに、右下の図において、正規金額のみでも、正規金額に違法コピー損害額を合算した金額でも、2003年から2005年まである程度一定の状況であったが、2006年からは拡大傾向にある。

保有ソフトウェアの混在化が加速

 また、今泉氏は、「ユーザーが保有するソフトウェアの混在化が加速していることがポイント」と語る。

 ソフトウェアの種類は無数にあり、同じソフトウェアの種類のなかにも複数のソフトウェアベンダーが異なる製品を販売している。しかし、これだけではない。単体製品(例えばAcrobatやPhotoshop)に加え、統合製品(例えばCreative Suite)としても販売されており、さらに製品ごとにバージョンやエディションも多岐にわたる。

 そして、各ソフトウェアには、各ライセンスポリシー(使用許諾条件)があり、さらに購入方法も複数にわたる(例えば、店頭で購入するパッケージ版、主に組織向けに販売されるボリュームライセンスなど)。

 また、違法にインストールされたソフトウェアが存在する可能性もある。この状況をみれば明らかであろう。ソフトウェアの市場規模の拡大と並行して、組織内で保有するソフトウェアの混在化が加速している状況である。

拡大化・混在化が生み出すもの

 このような拡大化・混在化は、いったい何を生み出すのだろうか。

 今泉氏は、「違法コピー率が下がったとはいえ、組織内で違法コピーを特定したり、違法コピーが生じないよう統制することは、より困難となり、逆に違法コピーが知らない間に存在している可能性が高まっているのでは」という。

 統制しないことのリスクとしては、法的リスク(著作権法違反などの法令違反や取締役の個人責任等)、経営リスク(不祥事が発覚した際の信用失墜や損害賠償などの金銭的リスク等)、そしてITリスク(情報漏洩やセキュリティ関連のリスク等)などがあげられるが、「拡大化・混在化により、そのリスクが増しているのではないか」と付け加えた。

統制はソフトウェア資産管理から

 そのなかで、今泉氏は、「そのような状況を統制するためには、まずは、ソフトウェア資産の正確な把握とその管理が重要」と語る。

 現在、特に企業を中心として、IT統制を積極的に進めているが、その前提となるIT資産の現状を把握しなければならず、IT資産の中核に位置するソフトウェアは、20万円以下だとしても資産計上しなくてもよいというものではなく、統制を進めるうえでは、もはや資産としての性質をもつものとして位置づけ、管理運用を実施しなければならない状況にあるという。

 「実際、ソフトウェアは、組織が業務を遂行するうえで、今や単なるツールではなく、組織の基幹的な性質をもつものとなっている」と付け加えた。

ソフトウェア資産管理支援のステージへ

クリックで拡大 この3月、アドビ システムズ 株式会社は、ユーザーのSAM活動への支援を本格展開すると発表した。これは、ライセンスコンサルティングサービス、パートナープログラム、認証プログラム、業界・政府との連携、および情報提供という5つの柱をベースとしたものだ。

 今泉氏は、「アドビシステムズは、SAMパートナープログラムをはじめとしたSAM支援への本格展開を、世界に先駆けて、まず日本においてリリースした」とし、日本でのSAM支援に対するアドビ システムズの意気込みを語った。

 ソフトウェア市場規模が拡大し、組織内で様々なソフトウェアが混在するなかで、ソフトウェア資産をいかに適切に管理し、最適に運用するか。ユーザーのSAM活動を支援するこのアドビ システムズのような取り組みは、ソフトウェア販売において、その重要度がますます増していくであろう。