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<セキュリティソリューション特集>セキュリティは衰えず 不況下でニーズ高まる(上)

2009/04/28 19:56

週刊BCN 2009年04月27日vol.1282掲載

セキュアブレイン
「gred」のリセラーモデル確立へ
ソフトバンクBB、ライセンスオンラインと販売提携

 日本発のセキュリティ専門ベンダーであるセキュアブレインは、他社にない企業向けSaaS型セキュリティサービス「gred(グレッド)セキュリティサービス」について、全国のITリセラーと販売先のユーザー企業向けに3~6月の期間で大幅割引キャンペーンを実施している。

 「『gred』はSaaS型の従量課金サービスであり、継続的にストックを得られるパートナーモデルです」と、担当責任者の草川浩一・セールスディレクターはその特色を説明する。そして、全国に流通網を持つソフトバンクグループ2社(パートナー)の販売力に期待する。

 今回のキャンペーンは2種類。リセラー向けの自社利用限定の「gredセキュリティサービス」割引キャンペーンとエンドユーザー向けに1か月の利用料金を割り引く「gredセキュリティサービス スタートダッシュキャンペーン」だ。

 リセラーには自社利用に導入を促進し、評価・検証後に販売領域へ展開してもらう。リセラーやオンライン販売を経由して導入するユーザー企業にも「必要な時にすぐに始められるサービス」(草川ディレクター)として売り込む。

 セキュアブレインは今後1年間で、この2社を通じた「パートナーモデル」を確立するとともに「各都道府県にコアパートナーを置く」(草川ディレクター)と、一気に市場を立ち上げることを狙う。

ソフトバンクBB リセラーを主体として販売展開
「TEKI-PAKI」で「gred」提供


 ソフトバンクBBは3月から、同社の企業向けASP/SaaSサービス「TEKI-PAKI(テキパキ)」にあるサービス12種類の一つとして「gredセキュリティサービス」を開始した。これと並行して6月30日までは、セキュアブレインと共同で同サービスのキャンペーンを実施している。まずは、「TEKI-PAKI」の全国リセラー約4000社に対し、自社利用として「gred」を導入してもらうことを目的に、キャンペーン価格(定価の3分の1)での販売を積極的に展開している。

 全国のSIerや販売会社などで構成するソフトバンクBBのリセラーは、「gred」を自社導入することで、自社のウェブサイトの安全性を確保すると同時に、サービスの評価・検証も行うことができる。ソフトバンクBBの企業向けサービス販売部隊は、4月から同社の全国拠点を通じて、リセラーに対して「セールストレーニング」に関する説明会を開く。同社では、今後1年間で「gred」導入リセラーを100社にする計画だ。ソフトバンクBB側では、これまで全国のリセラーやユーザー企業の「ウェブ解析」などに対するニーズをリサーチしてきた。田島公太郎・コマース&サービス統括CP事業推進本部MD第3統括部モバイルサービス営業推進部 部長は「当初『gred』のニーズはウェブ攻撃を受けやすい官公庁様や自治体様向けにあると推測していたが、中小の民間企業様を含めて需要が高い」と分析する。最近では、特定企業や組織に狙いを定め「マルウェア」や「フィッシング」を送りつける「標的型攻撃」などが激化。特に「EC(電子商取引)などを展開しているビジネスならば、専任のIT担当者様が不足するような規模の中小企業様ほど、被害を未然に防止することに意欲的」(田島部長)という実状があり、サーバー資産の運用・管理・変更など煩雑な作業を必要とするサーバーベースのセキュリティ対策に比べて、ASP/SaaS型の「gred」は導入障壁が低いという。スタートダッシュキャンペーンで自社導入したリセラーには、「月額課金額はキャンペーン価格のまま永続的に使える」(田島部長)ことで、早期に「リセラー→ユーザー企業」の「商流」を築く考えだ。

ライセンスオンライン 既存客にオンサイト販売も実施
SaaS/クラウドで「gred」展開


 ソフトバンクBBの100%子会社でソフトウェアライセンスの流通会社であるライセンスオンラインは、主に中小企業・SOHOを対象にした「gredセキュリティサービス」を製品群に加えた「SaaS/クラウドサービス」を今年度(2010年3月期)中に順次立ち上げる。セキュリティサービスの一つとして「gred」を加え、他のサービスなどと合わせて提供する同社の「フルコースサービス」に乗せ、「アップセル、クロスセルの展開に有効活用できる」(浅野諭・MD統括部統括部長)と期待する。

 ライセンスオンラインは3月から、同社の代理店であるオンライン販売会社「セールスパートナー」(約4100社)を通じてユーザー企業を対象に「gred」の販売を開始。6月30日までは、同社の既存ユーザー企業などにキャンペーンメールを送るなど、「gred」の同キャンペーンを案内し、早期の案件獲得を目指している。すでに多くの見積依頼がきており好調な滑り出しだ。

 「『gred』はSaaS型サービスであり、クライアントやサーバー側にソフトウェアを入れる他社のウイルス対策製品などと異なり、競合が見当たらない」(浅野統括部長)と、好感触を得ている。

 「gred」は、SQLインジェクションなどに起因するウェブサイト改ざんの有無を定期的に確認して解析するなどの機能をもつサービス。SaaS型サービスであるため、ユーザー企業やサービス提供側には特別な知識や投資が必要ない。同様のウェブ解析ツールは他社製品にもあるが、非常に高価だ。ライセンスオンラインが想定するターゲット層には、価格や運用の煩雑さを勘案すれば、マッチしない。それに比べれば、「価格帯もサービス自体も魅力的で面白い」(浅野統括部長)と評価する。

 一方、同社では既存のパソコン設置100台以下の中堅企業や大手企業のグループ会社のユーザーに対し「オンサイト販売」も行う。「『gred』は不正攻撃の検知などに利用し、その解析を基に他社のファイアーウォール製品などセキュリティ強化策を提案する」(浅野統括部長)など、クロスセル拡充にも「gred」を積極的に活用する方針だ。


セキュアブレイン=http://www.securebrain.co.jp/

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