Special Issue

<付加価値プリンタ特集>キーワードはエコとコスト削減

2009/05/28 19:56

週刊BCN 2009年05月25日vol.1285掲載

カシオ計算機
環境・コスト削減策を拡充

「Wエコ」を簡単に実現

 カシオ計算機は自社ページプリンタ「SPEEDIA」シリーズで、「Wエコ(エコノミー&エコロジー)」をキーワードに、「カーボンオフセット付き回収協力トナー」の発売をはじめ、文書の読みやすさを維持したままトナー使用量を抑制する機能を搭載するなど、プリンタ運用コストの削減と環境への配慮を同時に実現する新たな取り組みを開始している。回収を前提としたトナーカートリッジ本体を同社が貸与し、中身のトナーだけをユーザー企業が購入する「回収協力トナー」という仕組みを同社が先駆けて開始したのは2005年に溯る。使用済みカートリッジは、同社がすべて無料で回収・リユースするだけでなく、ユーザー企業は「一般トナー」に比べて低価格で購入でき、消耗品全体のコスト削減が可能だ。

クリックで拡大 昨年7月には「回収協力トナー」をカーボンオフセット付きとすることで、環境への配慮を一段と高めた。プリンタの消費電力に相当するCO2排出分について、排出権を同社が購入しオフセット(相殺)する仕組み。排出権は日本政府に譲渡され、日本のCO2削減に貢献する。同社のWebではユーザー企業に対して「参加証明書」を発行している。 同社「SPEEDIA」現行モデルのうち、現在までに「カーボンオフセット付き回収協力トナー」に対応しているのは、A3コンパクトカラー「N3600/ N3600-SC/N3500-Y」とA3ハイパフォーマンスカラー「N6100/N6100-SC」、A3ハイパフォーマンスモノクロ「B9000」の6機種。西田公浩・国内営業統轄部システム企画部VCI企画室リーダーは、「これから発売するページプリンタには全てカーボンオフセット付き回収協力トナーをラインアップする」と話す。

 「回収協力トナー」の制度に基づいて回収・リユースしたカートリッジのリサイクル率は、07年実績で96.7%に達した。「官公庁をはじめ、環境に対するユーザーの意識は高い。さらにカーボンオフセット付きとしてから、販売パートナー経由での販売数が伸びる結果にもつながっている」(西田リーダー)と効果のほどを示す。このため、この1年間は、Wエコの拡充策として「見えるエコ」「簡単エコ」として、エコロジーがより見える形の機能強化を進めてきた。「N3600」は昨年8月以降の出荷分から、「N6100」は昨年11月以降の出荷分から、エコ機能を大幅に強化している。それ以前の「N3600」「N6100」購入者も、無償バーションアップでエコ機能を強化できる。

 プリンタを使うユーザー企業側では従来、環境配慮をするためにプリンタドライバなどの面倒な設定が必要だった。この煩雑さを解消するため、「節電」というボタンを約4秒間長押しするだけで、各パソコンのプリンタドライバ設定を一斉に「エコモード」にできる新機能を搭載した。この機能を使えば、両面印刷やトナーセーブ、マルチページなどの印刷機能を簡単に利用できる。さらにこうした印刷機能の使用状況を、文書の欄外にマークで印刷する「エコレベル印刷」機能も新たに装備した。月単位の稼働状況を本体に記録することで、両面印刷やマルチページの使用頻度に加え、消費電力やCO2換算量までを集計し、目標値や対前年比なども簡単に管理できる「エコログ集計」機能も追加された。また、出力媒体全体をセーブするのでなく、グラフィックや写真のセーブ量を多めにする一方で文字部分のセーブ量を少なめにして文字の読みやすさを維持するという同社独自の「新トナーセーブモード」は当初より「N3600」に標準装備しており、好評を受けて昨年11月からは「N6100」でも使用可能とした。

 西田リーダーは「お客様の目線で常に改良を加えている。プリンタを購入したユーザーに経費節減と環境配慮を同時に感じとっていただけるようさらに取り組んでいく」と、Wエコに関する展開をさらに充実させる考えだ。「プリンタの買い替えで経費節減とエコ対策ができる」と理解している企業は意外と少ない。同社の取り組みであれば、簡単に分かりやすく訴求できる。


カシオ計算機=http://casio.jp/

[次のページ]