総合コンピュータメーカーとして、IT産業をけん引し続ける日立製作所。サーバ市場で中心的な存在であるx86サーバでも、同社の地位は強固だ。ブレードサーバを中核とした統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」と、日立アドバンストサーバ「HA8000シリーズ」は、顧客満足度(CS)だけでなく、販売パートナーからの満足度も高い。日立が多くのユーザーと販社に支持される理由とは何か。4つのキーワードを軸に、その強さを詳説する。

顧客・パートナー満足度でNo.1
さまざまな要望に応える豊富な製品群

 昨年度(2010年4月~11年3月期)の国内x86サーバ市場は、3年ぶりにプラス成長に転じた(ノークリサーチ調べ)。今年度の出荷台数見通しは、前年度比5.2%増の53万7700台(同)。停滞するITマーケットのなかでも、有望な分野である。

 日立製作所はこの成長マーケットで、社会インフラを支える大規模システム向けモデルから、中小企業が導入・運用する小規模システム向けまで、幅広いサーバラインアップをもつ。PCサーバである日立アドバンストサーバ「HA8000シリーズ」では、ラック・タワー型で充実したモデルを取り揃える。ラック型では1~4プロセッサまで4機種、タワーでは1~2プロセッサで3機種がある。ブレードサーバでは、スペックや機能に応じて、小型高集積モデル「BS320」、ハイエンドシステム向けの「BS2000」を用意しており、サーバ統合や仮想システムを構築するためのハード基盤としても多くの納入実績を誇る。

タワー、ラック、ブレードで豊富なラインアップをもつ。写真は左からブレードサーバ「BS320」、ラックサーバ「HA8000/RS110」、横幅93mmで約10kgのスリムモデル「HA8000/SS10」

 日立が抱えるこの豊富な製品群は、ユーザーだけでなく販売パートナーからも高い支持を得ている。日経BP社が手がける満足度調査では、日経コンピュータ2010年8月18日号顧客満足度調査でPCサーバー部門の1位を獲得(2010年)。そして、日経コンピュータ2011年2月3日号パートナー満足度調査でブレードサーバー部門1位を4回連続して獲得している。購入・利用するユーザーの評価が高いだけでなく、販売するSIerやITサービス事業者も日立製品を取り扱いやすいと感じている証だ。とくに、SIerから「特別なスキルや知識が求められ、取り扱うのに敷居が高い」といわれるブレードサーバで満足度が高いのは、販売パートナー向けの支援策を強化してきているからだ。

 日立が買い手と売り手の両社から支持される理由は何なのか。同社は「迅速な対応」「コスト削減」「サービス安定稼働」といった情報システムにおける主要なニーズに加え、パートナー企業への手厚い支援も含めて、4つのキーワードを掲げ、注力している。それが、「かんたん」「省電力・節電」「安心」「販売しやすい」である。

導入・運用が「かんたん」
敷居の高いブレードサーバも容易に導入

 「かんたん」を実現するいくつかの例を紹介する。「HA8000/NS」は、「Windows Storage Server 2008 R2」をプレインストールすることで、中小規模システムのファイル共有やデータのバックアップ用途としてすぐに使えるようにした。

 また、「HA8000シリーズ」では、中小企業には敷居が高いといわれる仮想化に対しても、かんたん化を実現している。手間をかけずに仮想化環境を構築したいというユーザー向けに、「HA8000かんたん仮想化ソリューション」を用意している。「仮想サーバ Easy Start サービス」では、仮想環境を構築するためのプラットフォームを出荷前にセットし、シンプルなGUIの運用管理ソフト「VM Simple Console utility」を標準バンドル。運用支援マニュアルと操作トレーニング、各種問い合わせに対応するサポートサービスを付加した。「構成検討」「構築」「導入・運用」の全フェーズを網羅している。

 販売パートナーにとっては、手離れよく仮想化ソリューションを販売することができ、一方、ユーザーにとっては、仮想化技術に精通する情報システム担当者がいない場合でも容易に運用が可能になるのだ。仮想化技術は、「VMware」と「Hyper-V」に対応。さまざまなユーザー企業の環境に適用できるようにもしている。

 ブレードサーバでも「かんたん」を追求している。例えば、シャーシに差し込むブレードは、標準タイプのほか、「HDD拡張」「SAN専用」「PCI拡張」などの多彩なブレードを用意。これらを一つのシャーシに納めることが可能で、運用効率を向上させることができるのだ。また、運用管理では、統合システム運用管理JP1とも連携し、仮想環境を含めて一元管理できるなど、ユーザーにとっての「かんたん」を助けている。

「省電力・節電」に貢献
製品面、運用ツールでエコに貢献

 今夏に最も求められる情報システムの電力削減でも、日立のx86サーバは貢献する。80 PLUSの認証を取得した高効率電源の採用や、「動的パワーキャッピング」機能では、使用電力の上限値を設定することで、自動的にプロセッサーの処理を抑制して、電力消費を削減することが可能になる。

 また、「HA8000シリーズ」の「RS220」では、新冷却技術「サーモサイフォン」を採用している(インテル Xeon プロセッサーX5690搭載時)。筐体内の熱を効率よく冷やすための設計と、モーターを使わない気化冷却方式を採用することで、冷却効率を向上させている。これにより冷却ファンの個数を半分にすることができるので、消費電力の削減に寄与することとなる。「HA8000シリーズ」では、低電圧版(LV)のインテル Xeon プロセッサーなど、各種省電力部品の採用の他、独自のエコ機能も開発・搭載することで、システムに関連する電力を抑えている。

高品質の製品、サポートで「安心」
サーバ仮想化も高信頼

 「安心」では、モノづくりが最大の強みである日立の徹底した品質管理体制が、x86サーバでも生かされている。メインフレームで培った製品開発・製造・検査に関するノウハウをx86サーバにも応用し、信頼性を追求した。ユーザーやパートナー企業を工場に招待し、品質管理体制を実感してもらう取り組みも進めている。

サーバは神奈川県で製造されている。
各フェーズで厳格な品質チェック体制が敷かれている

 日立の「安心」に対する取り組みは、それだけではない。購入後でもユーザーが安心して継続利用できるサポートサービスを用意している。それが「ロングライフサポートサービス」だ。通常は5年の保守サービス期間を延長し、最長10年にまで広げている(BS2000 Eタイプの場合)。これは日立ならではの取り組みで、優位性は非常に高い。

 このほか、製品レベルでも「安心」にこだわる日立らしい技術・機能が複数ある。例えば、6月22日に、キャッシュバックアップ付ディスクアレイコントローラ(対応製品:HA8000/RS220、RS110、TS10)を発表。これにより、電源供給が急停止した場合、キャッシュバックアップモジュールが電源を供給。退避メモリーに書き込むことで、HDDに書き込み中のデータの消失を防ぐことが可能になる。

 また、BladeSymphonyでは、日立独自のサーバ仮想化機構「Virtage」も安心を下支えする。「Virtage」は一般的な仮想化ソフトウェアと異なり、ハードウェアをベースとした仮想化機構である。プロセッサーやメモリーなどの物理的なコンピュータリソースを、複数の論理ブロックに分割することで、システムへのオーバーヘッド(負荷)を低減。仮想システムを日立独自の技術で、安定稼働させているので、クラウドにも安心だ。


「Virtage」をオラクルが認定
データベース・クラスタリング技術で


 6月13日、日本オラクルと日立はデータベース・クラスタリング技術「Oracle Real Application Clusters(以下OracleRAC)」の稼働が可能な仮想化環境(ハードウェアの論理分割方式)として、日立のサーバ仮想化機構「Virtage」が認定されたと発表した。日本オラクルが自社の仮想化技術以外で認定した仮想化技術は、「Virtage」だけだ。

 両社はこの認定を機に、「日立・オラクルVirtageソリューションセンター」も開設している。同センターでのシステム検証を通して、「Virtage」とデータベース「Oracle Database 11g」や「Oracle RAC」を組み合わせたデータベースシステムの構築・統合に向けての事前評価などを行う。

 ユーザーは両社の技術支援のもと、「Virtage」によるサーバ仮想化環境に「Oracle Database 11g」と「Oracle RAC」を組み合わせたデータベースシステムの利用が可能になる。「Virtage」の信頼性を、データべース最大手のオラクルが評価したのだ。今後オラクル製品を活用したデータベースシステムで、「Virtage」が力を発揮する環境になるのは確実だ。

「販売しやすい」仕組み
営業と技術の両面で支援策を推進

 独自の技術や機能を保有するx86サーバを、パートナーが売りやすくする仕組みをもつのも日立の独自性であり強みだ。(1)マーケティング、(2)営業、(3)技術、(4)研修、(5)インセンティブの五つの軸で、販売パートナーの技術・営業力向上を総合サポートしている。例を挙げれば、日立のパートナー向け専門サイトでは、商談のフェーズに合わせた資料を用意しているほか、技術面では、パートナーのソリューションと日立のハードウェアの接続を検証するための施設を無償で提供。さらに、「BladeSymphony」では、「セールスコーディネータ」「エンジニア」などの技術者資格認定制度を推進。「BladeSymphony」を販売・構築するための技術を、営業担当者とSE向けに展開している。すでに約2000人の認定資格取得者を育てており、パートナーから高い評価を得ている。


 モノづくりの力と独自の技術力、そして販売パートナーが売るための仕組み──。これまでも、ユーザーとパートナーに高い支持を集めていた日立だが、市場が息を吹き返した今年度、さらにその地位が強固になるのは間違いない。