Special Issue

<業務ソフトメーカー座談会>“特需のあと”をどう生き抜くか クラウドへの流れが本格化

2014/04/24 19:56

週刊BCN 2014年04月21日vol.1527掲載

 消費税改正特需とWindows XPのサポート切れ特需という追い風を受けて、SMB(中堅・中小企業)向け業務ソフトメーカーは、各社とも記録的な高業績を叩き出している。しかし2014年は、この「特需」に頼らずに泳ぎ抜かなければならない。有力メーカー5社は、何に力を入れて、どんな市場を攻めようとしているのか。これまでは一部メーカーが先行していた業務ソフトのクラウド化の動きも、市場全体で加速しそうな気配もある。3月11日に開催したBCN主催の「業務ソフトメーカー座談会」で、各社のキーパーソンに業務ソフト市場の現在とこれからを語り合っていただいた。


出席者(写真左上から)

OSK  宇佐美愼治 代表取締役社長
応研  上野眞宏 取締役
オービックビジネスコンサルタント(OBC)  和田成史 代表取締役社長
ピー・シー・エー(PCA)  水谷学 代表取締役社長
弥生  岡本浩一郎 代表取締役社長


司会・進行:『週刊BCN』記者 本多和幸


●大きなイベントが追い風に

──2013年のIT市場は、消費税改正とWindows XPのサポート切れという二つの大きなイベントに後押しされて活況を呈しました。業務ソフト市場は、とりわけ大きな追い風を受けているという印象ですが、まずは各社の2013年の状況を振り返っていただきます。

上野(応研) 消費税改正、Windows XPのリプレースに関連した引き合いは、やはり非常に多くて、売り上げは前年に比べてかなり伸びました。加えて、当社の場合は、これまでコツコツと開発を続けてきた中堅企業向けERP「大臣エンタープライズ」という製品を、10月にようやくリリースしたことも大きなトピックになりました。

 「大臣エンタープライズ」は、スクラッチ開発やカスタマイズ開発を行うパートナーが開発工数を大幅に削減できる機能を持った画期的な製品で、業界にイノベーションを起こす製品です。2013年は、リリース前から営業活動やパートナーへの紹介などを進めてきて、リリースした後、非常にご好評いただいています。現在、受注もどんどん増えている状況で、手応えを感じています。

宇佐美(OSK) 当社は期初が1月なのですが、2013年度の期初に統合業務パッケージ「SMILE」の新シリーズ「SMILE BS 2nd Edition」を発表しました。すでにWindows XPのマイグレーション需要などは1年以上前から現れてきていて、「SMILE BS 2nd Edition」との相乗効果で、期初から好調な出足でした。

 また、過去にM&Aでラインアップに加えた製造業向けシステムのプラットフォームを「SMILEシリーズ」に統合して、業種別ソリューションを深掘りしていく基礎が完成しました。これも2013年の業績を支えることになりました。

 昨年の暮れぐらいには、消費税特需の雰囲気も出てきましたし、おかげさまで、1年間、順調に推移してきたといえます。

和田(OBC) 当社は3月が期末ですが、2013年度は、スタート時点から、前年度に発売したWindows 8対応の「奉行i8シリーズ」「奉行VERP8」を本格的に展開し始めました。上期はその効果もあって、それなりに水準を保ちながら推移しました。

 消費税の8%引き上げが正式にアナウンスされた昨年10月以降は、本格的に消費税改正特需に向けた取り組みをスタートし、社内でも体制を整えてきました。既存のお客様のバージョン情報などを整理して適宜バージョンアップを促すなど、まずは今年4月の改正までにしっかりと対応すべくサポートのリソースも充実させてきました。これにWindows XPのマイグレーション需要が重なり、大きく成長できたというのは他社と同様です。

水谷(PCA) 皆さん同様、当社も2013年は非常に大きく業績が伸びました。三大特需と呼んでいるのですが、当社の特徴として、消費税改正、Windows XPのマイグレーションに加えて、クラウドへのニーズが大きな成長のトリガーになりました。6年前に発売した「PCAクラウド」(当時は「PCA for SaaS」)は、前年の1.8倍くらいのペースで売り上げが伸長しています。

 当社は3月決算ですが、この三つの特需で、今年度は前年度比で約30%強の成長を達成することができる見込みです。ここ数年、10%強の成長は続けていましたが、それがさらに加速しています。

 そのほかのファクターとしては、2012年1月からコマーシャルを始めました。当初から、2年間継続することで効果が出てくると見込んでいましたが、まさに業績に結果が現れているという手応えを感じています。

岡本(弥生) Windows XPのサポート終了、消費税改正への対応が大きな成長の原動力になったというのは、当社も同じです。

 プロダクトとしては、2013年10月に発売した最新の「弥生 14 シリーズ」で、当然、消費税率8%、さらには10%にもすでに対応していますので、これを少しでも早くお客様にご利用いただくために、DMやお電話でソフトウェアの更新が必要になることをアナウンスしてきました。ただ、やはり直前になって問い合わせが急増する状況になっています。とくに3月に入ってからは、カスタマーセンターで 1日8000件のお問い合わせに対応しています。事前に大幅に増床したのですが、そのキャパシティをさらに上回ろうという勢いです。また、生産が追いつかなくなり、一部の製品で一時は欠品も起きてしまいました。なんとかこの山を乗り切らなければなりません。

 また、PCAさんとは狙っているユーザー層が違うのですが、クラウドサービスの展開という意味でも、2013年は大きな転換点になりました。「弥生ドライブ」という、お客様と会計事務所でデータファイルをやり取りできるストレージサービスを「弥生 14 シリーズ」と同時に開始し、4か月で4万ユーザーを獲得しました。また、11月に発表して年明けに提供を開始した「やよいの白色申告 オンライン」も、すでに1万ユーザーを超えました。

応研
上野眞宏 氏

「大臣エンタープライズ」の本格的な営業展開が中心施策。基本機能や業種機能をもっと充実させていきます。

OSK
宇佐美愼治 氏

既存製品のバージョンアップを粛々とやっていくということに尽きます。Windows Server 2003の入れ替え需要についても早めに準備を進めます。

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外部リンク

OSK=http://www.kk-osk.co.jp/

応研=http://www.ohken.co.jp/

オービックビジネスコンサルタント=http://www.obc.co.jp/

ピー・シー・エー=http://www.pca.co.jp/

弥生=http://www.yayoi-kk.co.jp/