応研(原田明治社長)は、今年7月、年商50億円以上の中堅・大企業向けERP製品として、「大臣エンタープライズ」を発売した。応研が展開する基幹業務ソフトウェアでは最上位に位置づけられる製品で、これまで中堅・中小企業を主な顧客層として業務展開してきた同社にとっては、新たな市場に打って出るために、満を持して発表したソリューションとなる。7月12日には、東京でパートナー向けに発表会を開き、新製品をお披露目。「大臣エンタープライズ」のコンセプトを解説するとともに、製品体験ブースも設け、パートナーにとっても魅力のある商材であることをアピールした。その様子をレポートする。(取材・文/本多和幸)
開発工数を削減し納期短縮
応研は、これまで中堅・中小企業向けに、基幹業務システム「大臣NX」シリーズや、ERP製品「大臣ERP」シリーズなどを主力製品として展開してきた。今回発表した「大臣エンタープライズ」は、ユーザー層をさらに上位層に広げた製品。GUIベースで入力系統の画面設計ができるほか、プラグイン機能でカスタマイズが必要な部分だけを開発して差し込み・差し替えができるなど、従来はスクラッチ開発が必要だったユーザーの複雑な業務プロセスに対応する仕組みも、パッケージの中に組み込んだ。さらに、大量データの高速処理や強固なセキュリティも実現している。
発表会の冒頭、主催者を代表して登壇した岸川剛・取締役営業部長は、「大臣エンタープライズ」の開発経緯について、「大臣NXシリーズの上位層のユーザーから、スペックや処理速度を向上してほしいなど、さまざまなご意見をいただいてきた。足かけ7年の開発期間を経て、特徴をもった製品に仕上げることができた」と話し、性能に自信をみせた。
また、製品の概要を解説した上野眞宏・取締役開発部長は、「大臣エンタープライズ」の特徴について、「プラグイン機能などで開発工数を削減し、納期短縮を実現するとともに、バージョンアップが容易にできるパッケージ製品のメリットも継承した」と説明。「中堅・大企業や特定業種向けの基幹システム開発にイノベーションを起こす製品であり、パートナーの皆さんのビジネス発展に寄与すると確信している」と話した。 ただし、今回発表したのは、「大臣エンタープライズ」エンタープライズエディションの、会計と販売管理のモジュールだけ。岸川営業部長は「『大臣エンタープライズ』の全体ラインアップの4割くらいからのスタートになる。まずはパートナーの皆さんに製品をご評価いただき、ご意見をいただきながらブラッシュアップしていきたい」と呼びかけた。

(写真左から)岸川剛 取締役営業部長、
上野眞宏 取締役開発部長パートナーは四つのカテゴリに分類
発表会では、パートナー制度についても詳細を明らかにした。パートナーは、「コンサルティングパートナー」「テクニカルパートナー」「リセラーパートナー」「ソリューションパートナー」の4種類に分類される。
今回リリースしたエンタープライズエディションは、パートナーの独自開発の余地が大きい最上位版で、これを元請けで扱うには、「コンサルティングパートナー」になる必要がある。独自開発のウエートが大きいため、ユーザーのサポートも自社で引き受けなければならず、応研のインストラクター資格を取得した人員を揃える必要がある。
今後は、エンタープライズエディション以外に3種類のエディションを発売する予定で、「テクニカルパートナー」は、エンタープライズエディションを除くそれら全製品を取り扱う。また、「リセラーパートナー」は、「大臣エンタープライズ」の全エディションの再販を手がけ、開発は行わない。「ソリューションパートナー」は、「大臣エンタープライズ」と連携した自社製品を開発し、他種別の各パートナーに提供する。
今後の展開について、末永徹・大臣エンタープライズプロジェクトリーダーは、「パートナー会を設立・開催するとともに、開発事例のデータベース化を進めて、ナレッジを共有するためのパートナー専門サイトを設立する」と説明し、パートナーとともに育てていく製品であることを強調した。
製品・販売方針の説明終了後は、「大臣エンタープライズ」とパートナーの先行アライアンス事例として、新日鐵住金グループの北海道NSソリューションズのケースを紹介した。北海道NSソリューションズは、年商20億~150億円の企業をターゲットに、自社開発した鉄鋼・非鉄金属業特化型の販売在庫管理システム「BPFIO」と「大臣エンタープライズ」を組み合わせたソリューションを提供している。同社業務ソリューション第4部営業グループの鈴木武史・グループマネジャーは、「従来の中小企業向けの基幹業務パッケージは、データ処理におけるパフォーマンス不足やシステム間の連携性の物足りなさが課題となっていたが、『大臣エンタープライズ』はまさにその課題を解決してくれた」と高く評価した。

(写真左から)末永徹 大臣エンタープライズ プロジェクトリーダー、
鈴木武史 北海道NSソリューションズ 業務ソリューション第4部
営業グループ グループマネジャー