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<中国企業の成長を支えるIT導入事例>江蘇集群軟件股份有限公司 日本国内で豊富な実績をもつintra-martが、IT活用による中国のスマート化のプラットフォームとして適していた産業園区をスマート化 統一プラットフォームは「intra-mart」で

2015/06/25 19:55

週刊BCN 2015年06月22日vol.1584掲載

 江蘇集群信息産業集団は、江蘇省南京市を本拠地とする地場大手ITベンダーだ。同社のグループ会社である江蘇集群軟件(黄甜総経理)は、中国の地方都市や産業園区に対して、スマートシティ(智慧城)関連のITソリューションを提供している。例えば、江蘇省昆山市の游站智慧産業園に対しては、統一プラットフォーム上で、運営会社が契約管理をしたり、入居者が生活サービスを受けたりできるシステム環境を構築して、産業園区のスマート化を支援。プラットフォームには、恩梯梯数据英特瑪軟件系統(上海)(NTTデータイントラマート上海)が提供するシステム共通基盤「intra-mart」が採用されている。

黄甜 総経理
江蘇集群軟件股份有限公司
所在地  江蘇省南京市
設立   1998年
業種   情報通信サービス業
年商   104億234万3000元 ※同社を含む集群集団全体
従業員数 2179人(2014年)※同社を含む集群集団全体
事業内容 ITソリューション・サービスの提供、産業園区の開発
URL   http://www.joyque.com

デベロッパーの顔をもつIT企業

 江蘇集群信息産業集団は1998年の設立で、中国国内に6子会社、30拠点に加えて、海外にも複数の現地法人を抱えている南京市を代表するITベンダーだ。2010年から14年までの期間、中国の10大イノベーションソフトウェア企業に認定されたほか、中国民営企業のトップ500社に選出されるなど国内でも有数の事業規模を誇っている。

 また、従来型のシステム開発に加え、急速に需要が高まっているクラウドやビッグデータ、モバイル、インターネット関連、IoT(Internet of Things)など、多岐にわたるITソリューションサービスを提供している。近年ではITソリューションだけでなく、産業園区の開発ビジネスにも業容を広げてきている。例えば現在、貴州省貴州市において、自社投資で総面積15万m2の産業園区を建設している。さらに徐州市では、市政府との連携によって産業園区を開発した。徐州市の産業園区では、すでに500社を超える企業の誘致に成功している。

 江蘇集群信息産業集団は、デベロッパーとしての実績も評価が高く、中国国内の地方都市からスマートシティ推進に関する協力を要請されることも多い。現在、中国国内には、スマートシティの試験都市が200ほどあるといわれているが、江蘇集群信息産業集団は、このうち22都市の政府許可取得申請に協力した。さらに、8都市とは、スマートシティ戦略の推進に関する協力契約を結んでいるという。

 ITベンダーでありながら、デベロッパーの顔をもつ江蘇集群信息産業集団。最近では、スマートシティや産業園区で蓄積した経験・ノウハウを活用して、同分野に関連するITソリューションの提供にも力を注ぎ始めた。ここでは、グループ会社の江蘇集群軟件が支援した、江蘇省昆山市の産業園区、游站智慧産業園のシステム構築事例を紹介しよう。

園区の価値向上に不可欠なスマート化

 游站智慧産業園は、昆山市の不動産デベロッパーが2012年に開発した産業園区で、総面積は13万m2。オフィスビルのほかに住居や商業施設、研究開発施設、娯楽施設、研修施設などを備えている。この産業園区のコンセプトはゲームだ。ゲーム関連のイベントや展示会を、年1000回もの頻度で開催していて、中国の各地域から多くの人を呼び込んでいる。

 游站智慧産業園の特徴は、展示会やイベントの開催に加えて、ITを活用した園区のスマート化に積極的なこと。園区の入居者や利用者に対するサービスが向上することで、園区の付加価値を高め、企業誘致や入居を活性化したり、誘致・入居後の定着率を高めたりして、園区の成長を支えようとしている。

 具体的には園区の誘致企業や入居者が、オンライン上で生活サービスの申請などを実現するシステム、双方向でコミュニケーションをとることができるSNS、オンラインで商取引が可能なECといった利用者向けのシステムが挙げられる。また、園区の運営会社が利用する、園区全体を対象とする住居管理や契約管理、在庫管理などのシステムもある。これらのシステムは、江蘇集群軟件が単一のプラットフォーム上に構築している。

 江蘇集群軟件の黄甜総経理は、「産業園の入居者が、実世界での生活サービスやショッピング、交流、娯楽などを、仮想世界上でも同じように体験できるようになった。産業園のO2O(Online to Offline)が実現したのだ」と説明する。

 そして、この統一プラットフォームには、NTTデータイントラマート上海が提供するシステム共通基盤「intra-mart」を採用している。導入の提案は、intra-martのパートナーである上海今曦計算機信息技術が担当した。この基盤を採用した理由について、黄総経理は「日本国内で豊富な実績をもつintra-martは、高品質で信頼性が高く、複数の重要なシステムが稼働するプラットフォームとしての適性にすぐれていた」と説明する。

 江蘇集群軟件では、今回の游站智慧産業園の導入事例を、intra-martのパートナーである上海今曦計算機信息技術とともに、産業園区のスマート化支援ソリューションとして、今後広く横展開していく方針だ。
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