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<サーバーメーカー座談会2015>クラウド時代に対応した ビジネスモデルの確立を目指す 次のテーマを見据えてパートナーとの連携強化へ

2015/12/24 19:56

週刊BCN 2015年12月21日vol.1609掲載

 『週刊BCN』の恒例企画「サーバーメーカー座談会」。今回は、市場環境をはじめ、さまざまなトピックをテーマに、有力メーカー4社のキーマンに語り合っていただいた。「Windows Server 2003 EOSに伴う需要はどうであったのか」「急速に進むクラウドサービス普及の影響はあるのか」「次のテーマは何で、どのようにビジネスにつなげていくべきか」「国内市場に向けてパートナー連携や支援策は」など、4社がどのような戦略で今後臨もうとしているのか。活発な議論が展開された。


出席者(写真左から)

デル 浜田裕之
エンタープライズ・ソリューションズ事業本部
製品マーケティング本部長

NEC 渡辺一敏
パートナーズプラットフォーム事業部
シニアマネージャー

富士通 阿部隆敏
サービス&システムビジネス推進本部システムプラットフォームビジネス統括部
PRIMERGYビジネス推進部 部長

日本ヒューレット・パッカード 木村 剛
サーバー事業統括本部サーバー製品統括本部
事業企画本部 本部長

司会・進行/『週刊BCN』副編集長 佐相彰彦
写真/大星直輝


●2015年の市場は着実な伸びを示す 仮想化の需要拡大で単価増

──まずは、2015年上期(1~6月)の販売状況について教えてください。調査会社によれば、第1四半期は前年同期と比べて台数で微減だったものの金額が増加、第2四半期については台数、金額ともに上回っている状況です。

浜田(デル) 2015年上期は、全体ではマーケット並みの成長で推移しており、とくに金額面で好調でした。増加要因の一つがWindows Server2003 EOSの需要でした。

木村(日本ヒューレット・パッカード) タワー型のサーバーが若干厳しく台数は微減だったものの、ラックマウントサーバーが好調で金額は増加しました。とくに、サービスプロバイダ向けの需要が2ケタ増でした。

阿部(富士通) 第1四半期は伸びが鈍かったものの、第2四半期から台数と金額ともに好調でした。とくに金額では、昨年の第4四半期から先行して伸びていました。その理由は、システム老朽化に伴うリプレース需要と、仮想化案件での単価増があります。

渡辺(NEC) 当社も、第1四半期は伸びが鈍かったものの、第2四半期から好転し、第3四半期で勢いが増したという感じです。やはり仮想化による単価増が大きく、その効果で金額伸長のほうが先行したと感じています。

──とくに売れ筋だった製品はありますか。

木村 ブレードサーバーが若干落ちましたが、高密度型サーバーが数倍規模で伸びました。ですので、市場に新しいものを受け入れる土壌が出てきたと実感しています。

阿部 製品ラインアップを変更したこともあって、取り回しのよい薄型のラックマウントサーバーがかなり伸びました。これらの製品が仮想化という案件に合っているのではないかと考えています。

渡辺 ラックマウントサーバーの1Uモデルが仮想化のプラットフォームに採用され、かなり伸びたという手応えがあります。また、ファイルサーバー用にスリムタワー型の需要もありました。

浜田 タワーとラックマウントサーバーがともに堅調でした。SMB(中堅・中小企業)ユーザーがタワーを、ラックマウントはサービスプロバイダという構図です。

●Windows Server 2003 EOSの需要 大波はなく「さざ波」が継続

──今年7月15日(日本時間)にWindows Server 2003のサポートが終了しました。「EOS」関連のビジネス需要はいかがでしたか。

阿部 プロモーションを通じて訴求しましたが、実際のところユーザーからキーワードとしてのEOSに対する要望はあまり耳にしませんでした。どちらかというとシステムリプレースにあわせてWindows Server 2003のサポート終了に対応するという計画が多かったようです。

渡辺 販売パートナー向けにマイグレーションを容易に行うことができるソリューションを期間限定で提供したほか、既存環境においてWindows Server 2003で動作しているファイルサーバーをみつけ出す「ファイルサーバー発見サービス」などの施策を打ったことで、少なからず需要を掘り起こすことができたと感じています。

浜田 当社は、もともと直販が中心でしたので各社さんとはアプローチが異なりますが、テレマーケティングを含めていくつかの施策を打ちました。そして、反応をみて一つひとつ地道に案件を拾っていった結果、その積み重ねが需要増につながりました。

木村 当初の期待値から考えると「さざ波」程度で、Windows XPのサポート終了時のような業界が揺れ動くような需要はありませんでした。数字的には、6~7月のWindowsサーバーのOEMビジネスが、通常期より10ポイントほど上がったということはありました。

阿部 クライアントOSのWindows XPとは違い、サーバーOSは入れてすぐに動くものではないということですね。そのため、需要の大波が一気に押し寄せるのではなく「さざ波」だったのでしょう。

浜田 マイクロソフトから、現在でも約6万台のWindows Server 2003サーバーが残っていると聞いていますが、それらはすでにリプレースや廃棄の予定など、扱いが決まっていてこれから大きな需要を掘り起こすことにはつながらないだろうと考えています。

木村 EOSがリプレースするための「特別なもの」ではないということですね。次にはSQLマイグレーションやマイナンバーも控えていますし。

渡辺 ただ、「さざ波」需要は現在も続いているのを感じており、まだ更新案件もあります。そのためにも、Windows Server 2003 EOS関連のキャンペーン、施策はそのまま継続する必要はあると考えています。

NEC
渡辺一敏
パートナーズプラットフォーム事業部
シニアマネージャー


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BCN Bizline 読者アンケート
『サーバーメーカー座談会2015』に関するアンケート
http://www.seminar-reg.jp/bcn/survey_servermaker2015/

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外部リンク

NEC=http://www.nec.co.jp/

デル=http://www.dell.co.jp/

日本ヒューレット・パッカード=http://www.hpe.com/

富士通=http://jp.fujitsu.com