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<BCN Conference 2015>NTTコミュニケーションズ 「クラウドノーマル」の動きが加速 永続性が高いサービスの選択がカギ

2016/02/04 19:55

週刊BCN 2016年02月01日vol.1614掲載

 クラウドの採用を標準で考える「クラウドノーマル」の動きが加速するなか、IT業界ではシステムインテグレーションからクラウドインテグレーション、ソフトウェアベンダーからクラウドサービスベンダーへのシフトが進んでいる。「BCN Conference 2015」のクラウドセッションで、NTTコミュニケーションズの林雅之・クラウドサービス部クラウド・エバンジェリストが、クラウド業界の構図を読み解き、クラウドノーマル時代の事業者の役割や今後の展望、同社のクラウドへの取り組みを紹介した。

クラウド事業者淘汰の時代!?

林 雅之
クラウドサービス部
クラウド・エバンジェリスト
 講演の冒頭、林エバンジェリストは国内クラウド市場の動向とNTTコミュニケーションズの立ち位置を説明。調査会社・MM総研の国内クラウドサービス需要動向で、2014年度の国内クラウド市場が7749億円、19年度に2兆円を超えるとの予測があるなか、「パブリッククラウドと比較して、ホステッド、オンプレミスなどのプライベートクラウドの市場は大きい。そのプライベートクラウドでNTT Comが利用や検討でトップに位置している」と訴えた。

 「HfS Blueprint 2014」のなかで、NTTグループは世界のIaaS市場で「Winner's Circle」に位置づけられている。また、調査会社・ガートナーのレポートでも「Asia/Pacific」の地域で「リーダー」のポジションとされるなど、高い評価を得ている。

 林エバンジェリストは、世界のクラウド事業者の動向にも触れながら、「調査会社のIDCでは、12~24か月以内にIaaS事業者が提供するサービスの75%が再設計、もしくは再ブランド、あるいは廃止されると予測している。サービスのコモディティ化で価格競争が進み、投資余力のあるところが生き残る規模の経済となる。過去のISPのように、数年でクラウドも淘汰の時代になる。クラウド事業者の選定では、事業の永続性の高いサービスの選択が重要だ」と強調した。

 次いで、林エバンジェリストはクラウド市場のエコシステムについて紹介。現在、クラウド市場に多くの事業者が参入しているが、IaaS事業者にはNTTコミュニケーションズのように、ネットワークやデータセンターなどインフラを強みとする事業者のほか、ハードウェア系やソフトウェア系の事業者が存在する。「IaaS事業者による直販もあるが、これからはIaaS事業者とユーザー企業の仲介や、ユーザーの導入、運用を支援する『クラウドインテグレータ』の存在が重要になる」と説明した。

 実際、クラウドのコンサルや導入、運用管理を行うクラウドプロフェッショナルサービス市場が拡大し、市場規模が14年の100億ドルから、19年には3倍以上の340億ドルになると予測されている。林エバンジェリストは、「クラウドサービス利用者のターゲットは、これから本格的にクラウドを導入するアーリーマジョリティやレイトマジョリティへと進む。市場の3分の2を占めるその部分をターゲットに、パートナーの方々とともに時間をかけてアプローチしていく」と語った。

リニューアルした「Enterprise Cloud」をアピール

 セッションの後半では、NTTコミュニケーションズのクラウドサービスについて紹介。同社では、企業の基幹システムなどを対象とする「Enterprise Cloud」とウェブや開発基盤などを対象とし、リーズナブルな「Cloudn」をサービスとしてラインアップしている。二つを合わせたユーザー数は1万1500社で、そのうち2割がグローバルユーザーだ。とくに、Enterprise Cloudは、グローバルでも11か国/地域の14拠点でシームレスなサービスを展開。単一のポータルから世界全拠点の制御ができる。

 今後は、Enterprise Cloudの大幅な機能強化を行い、ERPなど従来のICT環境“トラディショナルICT”とクラウド前提の俊敏・柔軟なICT環境“クラウドネイティブICT”に対応したICT環境が簡便に実現できるようにする。目玉の一つが、ベアメタルサーバーで、1時間弱での立ち上げを目指す。また、マルチハイパーバイザーに対応することで、複数のクラウドの一元的な管理が可能となる。OpenStack採用による、オープンなAPIを具備する共用型Public Cloudも提供する。林エバンジェリストは、「グローバルサービス事業者とのアライアンスを推進しており、お客様の利用用途にあわせて、最適なクラウドサービスを提供する」とアピールした。

 最後に林エバンジェリストは、パートナー向け支援制度の「パートナーソリューションプログラム(PSP)」を紹介。PSPでは、マーケティングやセールス、テクニカル、トレーニングの各種サポートおよび情報を提供する。パッケージプロモーションサイトへのリードをパートナーと共有し、ユーザーニーズの掘り起こしを手助けしたり、具体的な案件のサポートを行ったりする。パートナーとのエコシステム形成に向けては、営業担当向け「Sales Camp」や技術者向け「Tech Camp」を1年間で約100回開催するほか、最新情報を共有するセミナーや懇親会を通じてパートナー間の交流を促進させる。さらに案件創出の場を提供するため、エンドユーザーを集客するマーケティングイベントを1年に2~4回開催する予定だ。

 林エバンジェリストは、「当社のパートナー制度に興味をもたれたなら、ぜひ、参加してほしい」と呼びかけた。
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外部リンク

NTTコミュニケーションズ=http://www.ntt.com/