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営業支援ツール「eセールスマネージャー」導入事例/テルモ上海 営業部員の行動をデータ化し人事評価のDBへ

2016/09/28 19:55

週刊BCN 2016年09月19日vol.1645掲載

 世界中で医療機器をグローバル展開するテルモは、中国では北京に統括会社を構え、中国国内で製造と販売を手がけている。販売の中核を担う泰爾茂医療産品(上海)有限公司(テルモ上海)の生田究董事総経理は着任早々、「販売会社にもかかわらず、営業担当者の行動管理とマネジメント層による指導が十分に行えていない」と課題解決に着手。ソフトブレーンチャイナの「eセールスマネージャー」の導入を決めた。

ユーザー概要
社 名:テルモ上海/泰爾茂医療産品(上海)有限公司
事 業:医療機器の販売
従業員:200人
製 品:eセールスマネージャー
導 入:2016年

さらなる成長を支える販売管理体制の構築

 テルモは、世界のおよそ30か国で医療機器の製造・販売を展開するグローバル医療機器メーカーだ。中国では、テルモ上海をヘッドクォーターとして北京、西安、瀋陽、成都、武漢、杭州、広州の計8か所に営業拠点を設け、180社余りの一次販売店を擁して中国全土の医療機関に販売している。

 世界的にも医療機器市場の中心は従来の日本・米国・欧州から中国・米国・欧州に変わりつつあり、テルモ上海も昨年度(2016年3月期)の売上は前年比132%と大きく伸長。

生田 究 董事総経理

 しかし、一見して拡大する市場で順調に業績を伸ばすテルモ上海だが、一方で「さらなる成長を支える販売管理の体制が必要不可欠であった」と生田董事総経理は2015年の着任時に抱いた思いを振り返る。例えば、営業部員の日報管理。同社では各拠点を含めて100人を超える営業部員が日々販売代理店や医療機関へ訪問して営業活動を行っている。だが、各部門や拠点ごとに日報のフォーマットが統一されておらず、一部では日報を提出する習慣すらなかったという。「紙文書やメールなどそれぞれの部門が異なる方法を用いて報告する内容も統一されていなかったため、データとして蓄積することができず、売上達成に必要な行動分析ができていない状態だった」(生田董事総経理)。

 当然、営業現場の動きが正確に把握できない管理職は自身の部下の行動管理や指導ができない。それに伴い、経営層の目からは管理職による部員の指導が適切に実施されているかが分からず、それを判断する数値としての指標もないわけだ。

 16年、テルモ上海はこれらの課題を解決するため、営業支援ツールeセールスマネージャーを導入。ソフトブレーンチャイナによる導入支援コンサルティングが自社の営業課題を解決するうえで必要と判断し、採用の大きな決め手となった。

定着を実現する体制から活動評価DBの運用へ

 eセールスマネージャーは日本国内で4000社以上の導入実績を誇り、中国でもとくに大手企業を中心に200社超で利用されるSFA/CRMだ。

 昨年4月の導入以来、テルモ上海でも営業部員の日報管理をはじめ、行動管理や目標管理、売上予実管理などに活用の幅を拡げている。喫緊の課題としていた営業部員の日報は、各部門でカスタマイズはしているが、多くの代理店や医療機関への訪問内容を部門横断で一元的にデータベースとして管理している。営業部員の行動を定量データで管理できるうえ、担当者が変更になった場合でも、過去の履歴から代理店や医療機関に対するアプローチの内容を遡って確認することができる。

 だが、従来の方法に慣れた営業部員に新しい仕組みとしてeセールスマネージャーを定着させる過程で抵抗はなかったのか。生田董事総経理は、「システム化を定着させること自体を管理職の目標設定におけるKPIの一つにすることで、営業部員と関連部門の習慣化を図った」と説明する。また、「管理職の部員に対する指導においても、自分の行動が可視化されていることで改善する動機づけとして機能する」とも話す。

 例えば、部門によっては10人足らずの人数で中国全土の医療機関や代理店をカバーするため、訪問先の選定を各営業部員の経験則や行動習慣に任せた場合、どうしても本来アプローチすべきところが疎かになる。テルモ上海では各部門にeセールスマネージャーのデータを管理するメンバーを置き、訪問した頻度を適宜集計することで以降の訪問スケジュールを見直し、訪問効率の改善を実現している。

 「今後は営業部員による医療機関へのさまざまなアクティビティと実際の代理店の売り上げのデータを関連づけ、それぞれの活動が売り上げにいかに貢献したか分析できる体制を整える」と生田董事総経理は構想を練る。蓄積した活動評価を人事考課のデータベースとしても運用する方針だ。
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