IoT市場の急成長の期待と従来型のITビジネスの変化の必要性、そして社会イノベーションへのシフトなど、環境は大きく変化しつつある。そうしたなか、日立ソリューションズはIoTにどう取り組むのか。高橋明男・CLO(Chief Lumada Officer)・社会イノベーションシステム事業部 副事業部長が日立のIoTプラットフォーム「Lumada」について、事例を交えて紹介した。また、IoT実現のブレークスルーとなるキーファクター技術についても解説した。

IoTビジネスの源泉はユーザー満足度の最大化

高橋明男
CLO(Chief Lumada Officer)
社会イノベーションシステム
事業部
副事業部長

 講演の冒頭、高橋副事業部長は、GEのCEOやダーウィンの言葉を解説しながら「われわれは変化のど真ん中にいて、変化に対応できなければ市場から退場させられる」と語った。

 最近の変化の代表例にあげたのが「ポケモンGO」。従来のアプリとの大きな違いは、ゲームの情報世界を現実世界へとマッピングすることで新たな価値を提供、つまりサービス提供者からのアプローチではなく、ユーザーが自ら行動して、これまで行ったことがない場所に足を運んだことだという。広がりの速さ、ユーザーの誘引力、情報が価値(お金)になるという意味からもビジネスの新潮流を予感させるとした。

 また、ディズニーワールドの新しい魔法「Magic Band」も取り上げた。これは、ディズニー直営ホテルのチェックイン時にもらえる腕輪で、ルームキー、入園チケット、お財布代わりになるが、何より大きな点は、一人ひとりにシンデレラストーリーを提供するという点。開始から3か月で7%の来場者アップを実現し、将来のロイヤルカスタマも手に入れたとした。

 クラウド、IoT、AIなどのデジタルビジネスは、業種・業界、そして地域にも関係なく広がっている。IT企業の競合も同業に限らない。市場に参入する企業に共通するのは「ソフトウェア化=サービス化」と高橋副事業部長は述べたうえで、「それはカスタマイズが容易で、デリバリコストもないことが大きい」という。

 今、IoTビジネスへの関心が高まるのは、ユーザー、市場環境、技術の三つに大きな変化が起こっているためだ。

 「IoTビジネスの源泉とは、ユーザー満足度を最大化することだ。今の若い人は、スピードとリコメンデーションを重視し、ブランドよりも実績を重視する。そうした層が特定ユーザーから一般ユーザーに広がっている。それを見誤ると会社がつぶれる」と高橋副事業部長は強調している。

社会イノベーションの実現へ「Lumada」が課題解決に寄与

 次いで高橋副事業部長は、日立ソリューションズの強みとして、ハイブリッド・インテグレーションを紹介。それは豊富な経験と技術力、ソリューション提供力に加え、グローバル拠点が連携することによる、顧客のビジネスの発展と社会イノベーションの実現である。社会イノベーションの実現に向けては、コンシューママーケティング、マニファクチャリング、ライフスタイルの3分野のイノベーションでアプローチしていく。

 コンシューママーケティングの事例として、野球チームのファンクラブ会員の行動分析をあげた。これは、会員の行動トラッキングを目的にポイントを付与し、行動を見える化したもの。分析結果を特別な体験としてサービスに反映させ、野球の感動にサービスの感動を加えて感動を最大化、観客動員120%、会員数137%を達成した。また、ライフスタイルでは、一人ひとりが活躍できる会社を目指し、ワークスタイル改革にチャレンジするとした。

 そして、運用技術(OT)とITを統合した日立のIoTプラットフォームのLumadaを紹介した。特徴はオープン、適用性、高信頼である。

 「お客様のデータに光をあて(illuminate)、隠れた関係を解明して、ビジネスに役立つ知見を得られるようにする。Lumadaは、お客様がデジタル技術によるイノベーションを早く簡単に手に入れられる手段であり、お客様やパートナーのシステムとつないで、新たなソリューションを協創していく」と強調した。

 Lumadaのユースケースとして紹介したのが遠隔監視サービス。設備の故障でライン全体の稼働率が上がらない顧客の課題に対して、稼働率を95%から98%に改善したもの。日立産機システムのFitLive(遠隔監視サービス)を核に、設備メーカーやディーラーがクラウドを通じて連携することで、課題解決に寄与した。

 高橋副事業部長が最後に社会イノベーションの起爆剤となるかもしれないとして取り上げたのがAIで、「ケタ違いの学習量と経験値で、どんどん進化する。21世紀の化け物自動化ツールかもしれない」という。車、スマートファクトリ、ロボットなどで期待されるが、問題はAIに学習させる方法だ。データを収集し、ビッグデータや分析・解析があって初めて学習に至る。だからこそ、さまざまな企業がその工程に取り組んでいるとした。

 さらに、「競争に勝つにはスピードが不可欠。スピーディに協創し、変化に強いシステムでともにイノベーションを起こしましょう」と呼びかけた。