Special Issue

IoTやビッグデータ、WeChatの業務活用に強み 中国企業ならではの知見で日系企業の中国開拓を厚く支援

2017/12/21 09:00

週刊BCN 2018年02月26日vol.1716掲載

TENEZ/上海特耐司信息科技有限公司

 システム開発を手がける上海特耐司信息科技有限公司(以下、TENEZ)は中国に拠点を構える日系企業向けのサービスを強化する。IoTやビッグデータ、各種アプリケーション開発の分野で中国企業を顧客に蓄積してきた実績をもとに、システム開発だけではなく、データ分析やWeChatを活用したマーケティングまで幅広いサービスを提供する。日本の大手システム会社でSEとして就業した経験をもつ王林路創始者兼CEOを筆頭に、日本語と英語が堪能な技術者を豊富に抱え、中国市場を開拓する日系企業にとって優良なソリューションパートナーとなる。

独自のIoTシステム「KITE」
歴史的建造物の保存に活用

 TENEZの設立は2016年1月。上海本社は大手からベンチャーまで数多くのIT企業が拠点を構える浦東新区の張江高科にあるソフトウェアパークに、開発拠点は日系の製造業も多い蘇州工業園区に置く。まだ若いシステム開発会社だが、短い期間に受注した実績は、IoTやビッグデータ関連といった昨今の潮流を捉えたシステム開発が多い。しかも、顧客は短納期など極めて要求が厳しい中国企業だ。「設立間もないが、IoTやビッグデータといった最先端の分野で声がかかるのは、何よりもすぐれた技術者を抱えているから。もちろん、規模では大手のシステム会社に敵わないが、小回りの利く柔軟さは逆に強みでもある」。日本で技術者としてシステム開発に従事した経歴をもつ王CEOは、自社の特徴をこう説明する。

 IoT領域では独自に開発したシステム「KITE」(カイト)をもつ。あらゆるセンサやデバイスからデータを収集、アリババのクラウドサービスである阿里雲をITインフラとして活用しデータを蓄積、さらにオープンソースのBIツールによる分析までワンストップで実現する。KITEを実際に活用したIoTの例に歴史的建造物の管理がある。
 

「KITE」ユーザーインタフェース

 英国やフランスなどの租界だった上海のエリアには、当時建築された建造物が重要な景観資源として、保存が図られている。徐滙区の衡山路にある貯水塔もその一つだ。1922年につくられたこの貯水塔の内部には現在、六つのセンサが取り付けられて温度や湿度、建物の傾斜や上下左右の変位、さらに亀裂などのさまざまな状態のデータを収集している。それらの情報はウェブブラウザを通じた専用ページでリアルタイムに確認でき、それぞれの数値があらかじめ設定したしきい値を超えると管理会社にメール通知などでアラートを出す仕組みだ。保存に適切な状態を遠隔監視し、破損や万一の倒壊の予兆を捉えるIoTを活用した効率的な管理にTENEZのKITEが活躍している。

ビッグデータやWeChatでも
業務での利活用をサポート

王 林路
創始者兼CEO

 ビッグデータ領域では、システム開発だけにとどまらず、顧客がもつデータを業務に活用するコンサルティングサービスにも力を注ぐ。「データはあるが、どのように役立てればよいのかがわからないユーザーが多い」と顧客が抱える課題を話す王CEOは、「必要なのはITそのものではなく、ITを活用した具体的な活用方法」だと説く。

 直近でTENEZが携わったのは、国内に十数店舗を展開するイタリアンレストランの顧客データの活用だ。そのレストランは会員カードを導入し、10年以上にわたって蓄積してきたデータの数は実に10万人を超える。しかし、いつ、誰が、何人で、どんな料理を注文したかといった豊富なデータを保有しながらも、「十分にマーケティングに活用できていなかった」(王CEO)という。TENEZはまずDBに眠るそれらのデータを一つひとつ整理し、会員毎のプロファイルを作成。次にそれらを来店頻度や過去に注文した料理に応じて分類し、各々のランクに応じて適切なタイミングで来店を促す割引クーポンを提供するなどのマーケティングをサポートした。「WeChatに店舗情報を集約して会員に対するお得な情報を発信する仕組みも考えている」と王CEOはさらなる有効活用も念頭に置く。

 現在、WeChatをマーケティングに利用する日系企業は少なくない。TENEZはビジネスユースの業務アプリケーションに加えて、WeChatが公開するAPIやサービスを応用したアプリケーション開発も得意としている。この8月にはWeChatのアプリ内で動く「小程序」(ミニプログラム)に、自社開発の名刺管理アプリ「imshow」をリリースした。今後はセールスフォースやkintoneなどのSFAと連携して機能拡充を図る予定だ。

 「弊社が手がけてきたIoTやビッグデータ、またWeChatの活用は、中国に進出する日系企業のさまざまな業務に役立つ自信がある。すぐれた技術力と高いコストパフォーマンスで中国市場を開拓する優良なソリューションパートナーとなります」と王CEOは意気込む。
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