エレコムグループに入る前、ストレージ分野で国内業界トップクラスだったロジテックは、現在、B2B向けのカスタム(BTO=受注生産)PCや堅牢タブレット端末などを開発・生産するデバイスメーカーへと変貌した。グループ代表の葉田順治社長は、「国産のハードウェアにこだわる」と、デバイス分野を推進するうえで、ロジテックの開発力に対する期待は大きい。最近では、ディー・クルー・テクノロジーズ(DCT)やハギワラソリューションズなどのグループ会社の先端技術を取り入れ、故障を予知する新機軸のデバイスを発売予定であるなど、シナジー効果で付加価値の高い製品開発が進んでいる。ロジテックの梶浦幸二常務取締役に、同社の主力製品や開発計画、グループ間での協力体制などについて聞いた。

カスタムPCを自社工場で一貫生産


ロジテック
梶浦幸二
常務取締役
 エレコムは、2004年12月に丸紅インフォテックから周辺機器メーカーのロジテックを買収し、100%子会社化した。同社は、DASなどの国内ストレージ分野における“老舗メーカー”として業界トップクラスにあった。当時はグループ会社として、他の自社製品も含め、周辺機器分野の売上拡大に貢献することを期待されていた。ただ、B2C市場が縮小傾向にあり、グループ全体がB2B市場に舵を切るなか、ロジテックもBTO型のカスタムPCを主力製品とするデバイスメーカーに業態変革してきた。10年10月には、ロジテック100%資本の子会社「ロジテックINAソリューションズ」を長野県伊那市に設立。自社製品の開発・生産も本格化している。グループ化した当初は1割程度しかなかったB2B分野は、今期7割を占めるほどの事業計画となっている。

 ロジテックINAでは、生産活動や消費活動などのシーンを支える産業用PCを、顧客の注文に応じて特別仕様(カスタム)でつくっている。梶浦常務取締役は、「ロジテックは、国内に自社工場をもち、企画、開発、製造、試験、検査のほかメンテナンスサービスまでを集約している。B2C向けBTO型PCは他社にもあるが、B2B向けを主体に受注生産しているメーカーとして、当社はトップクラスの実績がある」と、市場で存在感が増していると強調する。

 同社のカスタムPCは、すべての工程を国内のロジテックINAの工場で完結させているのが最大の特徴だ。製造から保守までを柔軟でスピーディに対応できることと、品質維持はもとより、マルチベンダーのパーツメーカー各社と協業体制を構築し、顧客の様々な要望に応えられるバリエーションを揃えている。「パーツの実装からOS、ドライバ、ソフトウェアなどのインストール、環境設定までをキッティングし、顧客に納める」(梶浦常務取締役)と、環境設定などに必要な人的工数を削減するだけでなく、低価格のデバイスを実現している。
 

堅牢PCとメンテナンスコールPC


 すべてのパーツをオーダーできるため、同社のカスタムPCは、多用途で使われている。梶浦常務取締役によれば、「カスタムPCを提供した当初は、プリクラの画像処理用やインターネットカフェ用のPCとして採用が増えた。最近多いのは、工場の検査ラインだ。カメラの映像をもとに画像処理し、生産ラインの状況を把握する用途に使われているほか、物流・小売りなどのフィールドで採用されている」と、このように幅広い分野のバックエンドで活用されている。

 パーツを組み立ててつくるカスタムPCに加え、同社では最近、完成品のデバイス開発・生産・販売を本格化している。その一つが堅牢タブレット端末「ZEROSHOCKタブレット」だ。耐衝撃性や耐振動性能にすぐれ、防塵・防滴で長時間使用できる。今年3月上旬に発売した最新の「LT-WMT10」シリーズは、10インチのタッチパネルを搭載し、CPUがIntel CeleronとIntel Core i5の両モデルで、OSは、Windows 10 IoT Enterprise LTSB 2016とWindows 7 Professional for Embedded Systems搭載の両モデルから選択可能。ロジテックINAの工場でキッティングする。梶浦常務取締役は、「現場を支援する業務用に特化したタブレット端末で、製造品質・工程の管理や工場検査装置の点検、倉庫内の在庫管理などに使われている。ここにきて医療現場での採用が増えている」と説明する。
 
(左から)堅牢タブレット端末「ZEROSHOCK TABLET」、メンテナンスコールPC、分解しやすいメンテナンスコールPC

 また、グループ会社の技術を取り入れた新機軸のPCとして、PCのコンポーネントが故障する可能性を事前に予知し、適切なメンテナンス時期を顧客に知らせる「メンテナンスコールPC」の販売を開始した。今夏には、同社で行う「遠隔監視サービス」も開始する予定。「ハギワラソリューションズ、日本データシステム、DCTのエンベデッドを扱うグループ会社の技術とノウハウを生かし、故障予知のアルゴリズムを開発した」(梶浦常務取締役)と、シナジーを生かした製品開発が本格的に動き始めているという。

 ロジテックの製品は、BTO型のPCだったため、直販が主体だったが、完成品がラインアップされたことから、今後、ハギワラソリューションズの代理店経由での販売が拡大するとしている。梶浦常務取締役は、「キッティングや保守を含め、代理店とのパートナーシップを強めていく」と、新たな販売促進施策が追加される可能性があるようだ。