3日目の「テレワーク」デイを締めくくるBCN主催者セッションでは、「働き方の“ニューノーマル”ってなんだ?~ITベンダーが問われるソリューション提案の本質~」をテーマに、フリーランスライターの指田昌夫氏、本紙記者の日高彰、本紙編集長の本多和幸が、2020年の週刊BCNの記事を振り返りながらディスカッションを行った。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業が半ば強制的にテレワークの導入を迫られた20年。週刊BCNでは、緊急事態宣言発出前からテレワークへの切り替えを行っていた先進的な企業に取材し、「新型コロナ IT企業の事業継続」と題する特集記事を掲載した。取材を担当した指田氏は「スムーズにテレワークを導入できた企業は、在宅勤務制度がきちんと機能しているなど、コロナ禍の前から数年がかりで働き方改革に取り組んでいた。(未曾有の事態でも業務を円滑に進めるには)準備・訓練が大事と感じた」とした。

 また、テレワークの拡大によって、コミュニケーションツールの導入や業務システムのクラウド化が進んだ。これまで経営者は、他の役員や管理職からの報告によって会社の経営状態や業務の進捗を把握していたが、ツールを使うことで、人に頼らず経営に必要な情報が得られるようになった。指田氏は「情報のありかを属人化するのではなく、データにいつでもアクセスできる仕組みを整備しておけば、会社の意思決定が滞ることはない」と述べ、逆に「人が近くにいないと仕事ができない」企業はこの先の経営が厳しくなるとの見方を示した。

 ニューノーマル時代の働き方を実現するITソリューションは、「社外でも社内でも変わらない仕事環境」(指田氏)を提供するという考え方が基本になる。これは決して、社外からアクセスするための投資だけを拡大するという意味ではない。日高記者は「20年の取材で意外だったのは、オフィス縮小の動きがあるにもかかわらず『社内の無線LAN整備の案件は増えている』と回答するITベンダーが少なくなかったこと」と話す。指田氏も「大型ディスプレイやマイク/スピーカーなど、社内に設置する会議用製品が売れていると聞く」と述べ、リモートワークが浸透したことで、出社した際にも新しい働き方に対応できるよう、環境整備が求められているとした。

 本多編集長は、多くの企業がニューノーマルへの対応に舵を切ったことで、「クラウド型商材のニーズが本格的な段階にきた」と指摘。契約管理やアフターサポートなどのハードルが高く、サービス型商材への対応が遅れていた販売会社も、これを機にクラウドの取り扱いを拡大すると展望。コロナ禍による働き方の変化が、ITベンダーのビジネスも大きく変えることになると説明した。