デジタルテクノロジーのサーバービジネスが好調だ。そのビジネスをけん引するのが、デル・テクノロジーズの「Dell EMC PowerEdge」サーバーをはじめとする「AMD EPYC 7002」搭載製品だ。2020年にはHPC分野で大規模案件を受注し、EPYC搭載サーバー製品の国内販売No.1成長率のリセラーとなった。VDI、HCIへの注力を打ち出す同社と、ベンダー支援の強化と営業体制の強化に取り組む日本AMDに、「EPYC」拡販に向けた戦略を聞いた。
 
AMD EPYC 7002


スパコン、HPC分野で
多くの支持を集める「EPYC」

 「昨年は、スパコンやHPCの分野で複数の大きな入札案件を獲得できたこともあり、EPYC搭載サーバー製品の販売を大きく伸ばすことができた。案件を獲得できた大きな理由は、AMD EPYC 7002を搭載した製品の高いパフォーマンスと経済性の両立にある。このメリットを生かして、今年もさらなる攻勢をかけていきたい」とデジタルテクノロジーの市橋博之・代表取締役常務は力を込める。
 
デジタルテクノロジー
市橋博之
代表取締役常務

 19年8月にリリースされた第2世代のEPYC(EPYC 7002シリーズ)は、最大64コアを搭載し、処理性能は前世代の2倍に大幅に向上。メモリの転送速度が高速化し、I/Oの転送速度は2倍となった。1ソケットサーバーで2ソケットの能力を実現するとして、グローバルでスパコンやHPCなどハイエンド用途の採用が進んでいる。

 加えて、高パフォーマンスを実現しながらも消費電力や発熱量を抑えているため、コストメリットも得ることができる。

 「スパコンやHPC分野のほか、クラウドやホスティングサービスのプロバイダー、インターネットサービス事業者による採用も多い」と日本AMDの大月剛・ジェネラルマネージャーコマーシャル営業本部日本担当本部長は語る。
 
日本AMD
大月剛
ジェネラルマネージャー コマーシャル営業本部
日本担当本部長

 これらの事業者は、データセンターに大量のサーバーを導入しているが、サーバー1台当たりの搭載コア数が多ければ仮想マシンの集約率を高められる。また、ラックスペースが削減できて、電力効率も高いことからコストが削減できる。

 実際、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud、IBM Cloud、Oracle Cloud Infrastructureといったメガクラウド各社が、高パフォーマンスと経済性に注目してEPYC搭載サーバーを採用している。

 市場調査でもAMDは、クライアント向け(Ryzen)だけでなくサーバー市場でもシェアを確実に拡大している状況で、エンタープライズ市場での注目度も高まっている。

 「昨年は、ワールドワイドで45%の大幅な成長を達成した。また、世界最速級スパコンにもEPYCの採用がアナウンスされており、国内のサーバーメーカーにも利用されている。中でも、デジタルテクノロジー様は、AMD EPYC搭載サーバー製品の国内販売で大きい割合を占める大きな存在であり、頼もしいパートナーだ」と大月ジェネラルマネージャー。

体制強化でパートナーを支援
仮想化基盤向け用途に注力

 日本AMDでは、デジタルテクノロジーをはじめとするパートナー支援で、国内でも体制強化を進めている。今年度に人員も倍にする計画だ。

 「これまでCPUというパーツを供給する立場として後方に控えていたが、お客様により近いところで話を聞くことに力を入れる。また、ディストリビューター、リセラーの方々に対しても、お客様に製品をお届けする際の課題を聞き出して、販促活動をしっかり支援する。共同で実施したプロモーションや検証結果は、本国にいち早くフィードバックしていく。それを今年度の重要なミッションに位置付けている」と大月ジェネラルマネージャーは強調する。

 特に、フォーカスする分野としてあげるのはHPCとHCIだ。HPCについては、前述のように高パフォーマンスの優位性を最大限に生かしていく。HCIについても、その有力な用途であるVDI環境の構築においてEPYCを採用すれば、従来よりも高集約で高効率なインフラが構築でき、コスト効率を高められる点がアピールポイントになる。

 デジタルテクノロジーでも、HPCに加えて、VDI、HCIなど、エンタープライズ市場の仮想化基盤向け用途での採用に向けて注力していく方針だ。

 「HCIは、VDIのほか仮想化によるサーバーの統合といった用途も多い。その仮想化ではソケット課金のソフトなら、コア数が増えてもライセンスに影響しない。高集約化できるEPYCは高いパフォーマンスを安価に提供できる」と市橋常務は語る。

 デジタルテクノロジーでは、ハードウェアの提供にとどまらず、仮想環境移行ソリューション「Zerto Virtual Replication」、仮想化環境の総合的な保護・管理を実現する「Veeam Availability Suite」を組み合わせた提案も進める。特定用途に向けたアプライアンスモデルも投入していく。

 また、インテル搭載サーバーとの比較で不安を持つユーザーに対して、安心して導入してもらえるように、検証のための貸出機も用意している。「4月以降はコロナ禍も多少は落ち着くと思うので、AMDとの共同のプロモーションや対面イベントも計画していきたい」と市橋常務は意気込みを語る。

 AMDの強みは、新CPUのリリースに関するロードマップを開示している点だ。3月15日にリリースした第3世代「Milan」、5nm製品の第4世代EPYCまで計画を開示済みだ。コミットを確実に実現できる背景には、ファブレスの強みがある。設計は自社で、生産はTSMCに委託することで、最新技術をいち早く取り入れた生産体制が構築できるのだ。

 「Milanの投入を追い風に、4~6月にかけて一気にプロモーションを仕掛けていく」と大月ジェネラルマネージャーはアピールする。