コンピュート(演算装置)とストレージ(格納装置)の二つの役割を担い、ノード単位で設置するHCI。導入と運用管理は簡単だが、その一方で、リソースが余りやすいという弱点もある。そうした悩みを解決するのが、HPE ProLiantとHPE Nimble Storageを組み合わせた「HPE Nimble Storage dHCI」である。コンポーネント単位で増設や変更ができるにもかかわらず、導入と運用管理はシンプルで簡単。限界性能も高く、大規模高速システムでの採用にも適している。

HCIは導入も運用管理も簡単だが
ストレージだけの増設ができない

 ビジネスを続けるにつれて、高く積み上がっていくビジネスデータ。それを格納するためのストレージデバイスとして、現在では多くの企業がハイパーコンバージドインフラ(HCI)を使うようになった。コンピュートとストレージの二つの役割を担うノードを必要とする容量に応じて設置していけばよく、導入にも運用管理にも手間がかからないからだ。

 ただ、そのHCIにも見直しの時期が到来している。「早期にHCIを導入した企業では、すでに2巡目の導入検討が始まっている」と語るのは、HCIを含む多様なITソリューションのディストリビューターであるネットワールドの塚田真一郎・マーケティング本部セールスコンサルティング部セールスコンサルティング1課課長代理。1巡目の振り返りとして、「コンピュートやストレージだけの増設ができない」といった不満の声が顧客から寄せられているという。
 
ネットワールド
マーケティング本部 セールスコンサルティング部
セールスコンサルティング1課 課長代理
塚田 真一郎 氏

 ユーザーがこのような不満をもらすのは、HCIはノード単位で設置することが前提になっているためだ。データベースやファイルサーバーをHCIで構築すると、「データの件数や容量は大幅に増えたが、パフォーマンス(処理性能)はそれほど高めなくていい」というケースがしばしば存在する。しかし、HCIではそのようなケースでもノード単位で増設するしかなく、コンピュートリソースに余剰が生じてしまうのである。そうかといって、HCIを止めて従来の3ティアシステム(3層システム)に戻しても、ストレージに対するユーザーの不満が解消できるわけではない。

 「便利な世の中になった今、企業ユーザーはストレージデバイスについてもシンプルで簡単に使えるものを求めている」。日本ヒューレット・パッカード(HPE)の江川学・プリセールスエンジニアリング統括本部ストレージ技術部担当部長は、現状をこのように分析する。システムの運用管理にあたるエンジニアの数がほとんど増えていない一方で、テクノロジーについては新しいものが毎年のように登場する。エンジニアは一つの分野だけを深く掘り下げることが難しくなっており、シンプルで簡単なものが求められているというのだ。
 
日本ヒューレット・パッカード
プリセールス エンジニアリング統括本部
ストレージ技術部 担当部長
江川 学 氏

ProLiantとNimble Storageを基に
HCIとして使える3ティアを実現

 それなら、HCI並みに簡単に導入・運用管理ができる3ティアシステムがあればユーザーの不満を解消できるはず。このような発想から生まれたのが、「HPE Nimble Storage dHCI」だ。dHCIのdとは「disaggregated」(構成要素に分けられた)のこと。コンピュートやストレージなどのコンポーネントを個別に追加・変更できるというのがNimble Storage dHCIの最大の特徴だ。
 

 Nimble Storage dHCIには、サーバーのHPE ProLiant、ストレージのHPE Nimble Storage、ストレージの外部インターフェースとなるネットワークスイッチの3種類のハードウェアが統合されている。コンピュートサーバーとして選択できるのは、ProLiant DL325/385/560/580/360/380の各モデル。ストレージにはNimble Storage Gen5 AF-SCM/AF/HFを選ぶことができる。また、ネットワークスイッチには10GbEに対応したStoreFabric M-Series、FlexFabric 57x0/59x0、Aruba 8300のいずれかが必要だ。

 ソフトウェアとして含まれるのは、仮想化基盤のVMware vSphereと運用管理ツールのVMware vCenter/HPE InfoSight。このほか、デプロイ(導入)やアップグレードのためのツール(Integrated dHCI Stack Setup/Integrated dHCI Stack Manager/Integrated dHCI Stack Upgrades)が添付または提供される。
 

 容易に想像されるように、Nimble Storage dHCIではHCIと3ティアシステムの“いいとこ取り”ができる。HCIに由来する特徴は「迅速なスケールアウト」と「シンプルな運用管理」。3ティアシステムからは「ワークロードに合わせた構成」と「柔軟な拡張性とカスタマイズ」を受け継いでいる。

 Nimble Storage dHCIの第1の特徴は、短時間で簡単に導入できることにある。「専用のデプロイツールが添付されているので、導入作業は15分ほどで済む」と江川担当部長は指摘する。Nimble Storageのデプロイに続いて専用ウィザードがスタートし、VMware vCenter Server Appliance(vCSA)のセットアップと疎通までが自動的に進むので、作業は容易だ。

 第2の特徴として、Nimble Storageの運用管理をvCenterから行える。従来の3ティアシステムでは管理画面がNimble StorageとvCenterで別々だったが、Nimble Storage dHCIならvCenterの管理画面からNimble Storageの運用管理が可能。画面を切り替えなくて済むので、運用管理作業もやりやすくなるわけだ。

 第3の特徴としては、Nimble Storage dHCIではファームウェアやOSをワンクリックで簡単にアップグレードできる。HPEから提供されるカタログを使うと、VMware ESXi Server、Nimble OS、パス管理ツールのHPE Nimble Storage Connection Manager(NCM)、ドライバー管理のService Pack for ProLiant(SPP)のそれぞれをローリング方式でアップグレード可能。バージョン合わせや適用の順番を気にしなくても済むので、アップグレード作業もシンプルで簡単だ。
 

ストレージの可用性は99.9999%
AI方式の自律型運用管理にも対応

 Nimble Storage dHCIのストレージ部分には、単体製品としても販売されているインテリジェントストレージ「Nimble Storage」がそのまま使われている。Nimble Storageの最大の特徴は、可用性の実績値が99.9999%と極めて高いこと。単一障害点(SPOF)はなく、冗長化アーキテクチャーによって3個までの同時ドライブ障害にも耐えられるので、基幹システムのデータベースを格納するのに向いている。レイテンシーは、オールフラッシュ(AF)モデルで200μs以下。高速な応答が求められる業務システムにも最適だ。

 運用管理のための仕組みが充実していることも、Nimble Storage dHCIならではの特徴だ。vCenterでは、コンピュートとストレージを抽象化されたリソースとして管理できるほか、VM中心のスナップショット/クローニング/リカバリー/データ保護などもポリシーベースで自動処理することが可能。予測に基づいて健全性とリソースを最適化する統合型プランニングにも対応しているので、ダウンタイムを最小限に抑えることができる。

 また、無償保守サービスであるInfoSightを利用すると、AI方式の自律型運用管理も可能になる。HPEのInfoSightは、Nimble Storage dHCIから送られてくるセンサーデータを自動的に解析してトラブルの予兆を検知する。ハードウェア障害だけでなく、仮想マシン(VM)のパフォーマンス、アプリケーションのパフォーマンス、ストレージの稼働状況なども可視化でき、リソースの配備計画を立てるための基礎データとしても役立つ。
 

 このほか、Nimble Storage dHCIは「HPE Cloud Volumes」により外部のシステム基盤とも自由にデータをやり取りができる。「例えば、研究開発のフェーズではパブリッククラウドのHPC環境を使ってデータを解析し、生産フェーズに移行したらデータをオンプレミス側のNimble Storage dHCIに戻す、といったハイブリッドクラウド連携も可能だ」と江川担当部長は強調する。「HPE Cloud Volumes」にオンプレミスのNimble Storage dHCIのデータをレプリケーションし、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureのパブリッククラウドのコンピュートリソースを使うようなことも可能だ。Google Cloud Platform(GCP)との連携にも新たに対応した。

 また、Nimble Storage dHCIは、ストレージのNimble部分を通常のSANストレージとして使用することも可能だ。これにより物理サーバーやHyper-Vなどの仮想化基盤からのマウントにも対応している。この使い方なら、VMwareを介さない単純な共有ディスクとしてNimble Storage dHCIを扱うことが可能。仮想化してしまうとライセンス面で都合が悪いデータベースなどへの応用にも適している。

同一コストならHCIより高性能
代理店向け教育も強化していく

 ユーザーにとってのNimble Storage dHCIの最大の利点は、コンピュートとストレージのリソースを別々に拡張できること。ワークロードの成長率を予測できないケースでも柔軟にシステム基盤を拡張できるので、無駄のないIT投資ができるのである。

 また、Nimble Storageに由来する性能の高さも魅力的だ。IOPSが最大39万(AFモデル)、最大容量が160TB(構成によっては1PBも可能)で、HCIのストレージ性能に物足りなさを感じている企業にも最適な選択となる。

 このような特徴を持つNimble Storage dHCIを国内に広めていくために、ネットワールドは積極的な販売活動をすでに進めている。「最近は、ストレージ単体ではなく、ストレージを含むシステム全体としての提案・見積もりを求められるケースが増えている」と塚田課長代理はいう。そこで、普通のHCIとNimble Storage dHCIの両方で提案・見積もりを作成すると、同じコストならNimble Storage dHCIのほうがパフォーマンスは高く容量も大きいことを顧客に理解してもらえるという。

 また、さまざまな技術的支援も提供する。江川担当部長は、「販売代理店向けの教育に役立つコンテンツを米国から持ってきて一部をカスタマイズし、早々にネットワールドに提供する予定だ」と説明。塚田課長代理はディストリビューターの立場から、「具体的な内容はこれから決めることになるが、セールストレーニング、製品勉強会、売り方トレーニング、実機ハンズオンなどの形で開催する」予定であることを明かしている。