シネックスジャパンは昨年11月、ディストリビューターとしてクラウド型グループウェア「Google Workspace」(旧 G Suite)の取り扱いを開始した。Chromebook の販売で多くの実績を持っているが、 Google Workspace をラインアップに加えて場所を問わずに働ける環境を多くの企業に向けて展開するため、 Google Workspace を取り扱う販売店を広く募集する。あわせて、販売店向けポータル「CLOUDSolv(クラウド ソルブ)」や、今後、新たに立ち上げるマルチクラウドやハイブリッドクラウドに特化した「Varnex Japan Cloud Community」を通じて販売店をサポート、販売店同士のマッチングおよびソリューション強化に取り組む。

プロダクトマネジメント部門
第2プロダクトマネジメント本部PM1部
グーグルクラウドチーム
大坪武史氏
前職ではGoogle Cloud プレミアパートナーにてProduct Managerとして主にGoogle Workspace のビジネスに従事。Google Cloud の高いセキュリティを活かしたソリューションサービスを構築し、多数の企業へ導入実績。Google 認定資格 Professional Collaboration Engineer および認定教育者レベル1 を保有。

ディストリビューターとして領域を広げる

 シネックスジャパンでは以前から Chrome Enterprise ソリューションとして、Chromebook をはじめ Chrome Enterprise Upgrade (端末管理ソリューション)、 Google Meet ハードウェアなどを販売してきた。新たに Google Workspace をラインアップに加えたことで、コミュニケーション、コラボレーションに適したフレキシブルな働き方を可能にするソリューションを強化。テレワークをはじめとするワークスタイル改革のニーズに対応していく。

 「当社は、 Chromebook の日本上陸時からビジネスを手掛けている。Chromebook に始まる各種ハードウェア、 Chrome 管理ツール、各種サービスまでをワンストップで提供できるグローバルディストリビューターであることが強み」と、プロダクトマネジメント部門グーグルクラウドチームの大坪武史氏はアピールする。

 親会社のTD SYNNEXは米フォーチュン500社中、117位にランキングし、全世界26カ国でビジネスを手掛けている。シネックスジャパンも Google Cloud Partner Award の受賞など、長年にわたって Google グローバル認定ディストリビューターとして、総合的なソリューションを提供している。

 「Android端末を管理する Android Enterprise Essentials 、 Google Glass など、多様な Google 製品をハード、ソフト共に取り扱っているが、その中でコアとなるのが仕事に不可欠なすべてのツールがシームレスに統合されている Google Workspace となる。 Google Workspace を中心とし、総合的に Google 製品各種を提供することで、当社独自のソリューションとして提供できる。当社ならではのエコシステムの特徴を生かして、ビジネスのさらなる拡大に取り組みたい」と大坪氏は話す。
 

販売店の発注や管理業務の手間を省く「CLOUDSolv」

 シネックスジャパンでは、 Google Workspace の取り扱いを機にパートナーとなる販売店を広く募集している。シネックスジャパンから仕入れるメリットは、独自の販売店向けポータルサイト、CLOUDSolvがあることだ。

 CLOUDSolvは、米シネックスが展開するクラウドソリューションにフォーカスしたポータルサイトで数千社の販売店が既に利用するなど、大きな成功を収めているビジネス推進プログラム。日本では2016年2月に運用を開始した。

 「元々はマイクロソフトのクラウドサービスに対応させたサービスとしてスタートしたもので、現在は多くのクラウドサービスに対応している。今回、 Google Workspace もラインアップに加えた」と大坪氏。

 販売店はCLOUDSolvを利用することで、 Google Workspace をポータル上で容易に発注、管理することができるようになる。従来の日本の商慣習では、注文書を送付して、それを受けたメーカーやディストリビューターが手作業で伝票を確認。プロビジョニングするというプロセスとなっているケースがほとんどで、大きな負担になっていた。

 「CLOUDSolvを使うと大きな負担となる見積書作成、発注、契約管理、有効化、顧客管理などの手間を解消し、クラウドサービスを使いたい時にすぐにプロビジョニングができるようになる。もちろん利用に際しての費用は不要だ。米シネックスでは G Suite の時代から Google Workspace をCLOUDSolvで扱っているため実績面でもアドバンテージがあるほか、グローバルで Google と広く協業してビジネスを展開していることから、いち早く情報が入ってくる。そうしたスピード感も我々の強みの一つと自負している」と大坪氏は強調する。

 特徴的な機能の一つに、アクティベーション予約機能がある。これはライセンスの新規、追加、減数、解約日などの事前予約を可能にするもの。前日までに予約を入れておくことで指定日に確実に処理が実行できるため、月末・月初などが休日に重なっていたとしても、その処理のためわざわざ出社することを避けることができる。

 今後は、CLOUDSolvのダッシュボードから、販売店が販売履歴やエンドユーザーの契約状況を一覧で確認して、契約内容を細かく把握できるようにする機能を実装していくという。

 大坪氏は「契約状況が可視化することで、販売したライセンスが本当に有効に使用されているのか、エンドユーザーがサービスを使いこなせているのか、しっかり把握できるようになる。その上で、販売店の方々は新たな提案を検討し、他の製品やサービスを絡めたクロスセル、アップセルにつなげていくことも可能になる」としている

 シネックスジャパンでも、このほど rakumo が提供する Google Workspace 拡張ツール「rakumo for Google Workspace」の販売を開始しており、販売店は Google Workspace と rakumo for Google Workspace を同時にエンドユーザーに提供できるようになる。 rakumoは、 Google Workspace のユーザー管理、認証、セキュリティ機能を利用して機能を拡張(カレンダー、社内掲示板、共有アドレス帳)するとともに、 Google Workspace で補えない業務領域(勤怠管理、電子稟議、経費精算)をサポートする。

 さらに「両製品に Chromebook も含めた形で、サブスクリプションで提供できるようにすることで、総合的なDaaSサービスとして販売店の方々が企業向けに提案できるようにすることを検討している」と大坪氏は話す。
 

新たなクラウドに特化したコミュニティーでビジネス創造へ

 シネックスジャパンは販売パートナーで構成するコミュニティー「Varnex Japan(バーネックス・ジャパン)」を2013年に立ち上げ、活発な活動を進めてきた。Varnex Japanには、地域に根づいてビジネスを手がける有力なSIerや販売店が参加し、カンファレンスやセミナー、セールスコンテストなどを実施。最新テクノロジーの紹介や事例の共有などを通じて、会員全体のスキルアップを図っている。

 「このコミュニティーとは別に、新たにVarnex Japan Cloud Communityを組織し、今年10月に立ち上げを予定している。すでに大手のメーカーからも参加表明をしていただいているが、メーカー、販売店だけでなく、エンドユーザーも含めて広く会員を募っていきたい」と大坪氏は展望する。

 新コミュニティーでは、特にマルチクラウド利用に向けた情報と技術の交換の場として、マルチクラウドを活用したベストプラクティスの実践を目指している。そのためにも、他にはない商材やソリューションを有するメーカー、SIer、販売店に声を掛けて、メーカー同士や販売店同士、またはメーカーと販売店のマッチングによって新たなソリューションやビジネスの創造につながるような活動に取り組む。

 大坪氏は「各社がそれぞれ有する商材、サービスを組み合わせることで、一社だけでは対応しきれないニーズ、需要に応えることができるようになる。エンドユーザーの方々にもいち早く触れてもらい、その声をフィードバックすることで、これまでにないソリューションが実現できるようになる」とアピールする。

 具体的には、Google GlassやWebカメラ、顔認証およびクラウドサービス(Googleクラウド)の組み合わせによるセキュリティソリューションをはじめ、 Google 製品とマイクロソフト製品をうまく共存させたソリューションなども検討する。例えば、メインの社内環境はマイクロソフトのクライアント環境だが、派遣社員には Chromebook  を支給するなど使い分けている企業もあるため、こうした実践例からソリューションにつなげていくヒントが得られるとみている。

販売店に向けて販売パートナープログラム説明会を開催

 Chromebook をはじめとしたソリューションは、これまで文教分野で存在感を示してきた。特に昨年はGIGAスクール構想に伴うニーズもあり、大きく販売が拡大した。一方、一般企業における Chromebook の採用例は、現時点ではかなり限定されている。

 「Googleの一番の特徴は、はじめからクラウド前提に設計されセキュリティ面でのアップデートも早いこと。IT系の企業はそのメリットを感じて、OSを乗り換えたいというニーズは確実にある。スタートアップ企業も所有より利用が当たり前なので、優れたサービスであれば抵抗なく採用してくれる」と大坪氏。

 また、長期的な視点で見ると今後は学校で Chromebook になじんで育った学生が社会に出てくるまでに、企業としてある程度(Googleの)環境を整える準備をしておかなければ、働きたい会社として選ばれなくなる可能性もあり、Googleの環境をと整えることが会社としてのアドバンテージにつながっていくとみている。

 「将来的に優秀な人材の確保という面からも Chromebook 、 Google Workspace などの Google 製品に対するニーズはエンタープライズ分野においても拡大していくと考えている」と大坪氏は期待を寄せる。

 シネックスジャパンでは、 Google Workspace の取り扱いを考えている販売店に向けて「 Google Workspace  販売パートナープログラム説明会」を10月5日、10月27日、11月17日にオンラインで3回開催するほか、販売店向けのECサイト「ECNex」でも製品やサービスの特集を組んでいる。説明会への参加やサイトを確認して、ぜひ参考にしてほしいとしている。

※「CloudSolv」の正式名称は「Solvが斜体で®が付く」です。