デル・テクノロジーズは2021年9月28日、同社の環境保護への取り組みを紹介するオンラインセミナー「GX(グリーントランスフォーメーション):持続可能な未来のための取り組み」を開催した。デルの2030年に向けたサステナブルな長期目標への取り組みのほか、PowerEdgeサーバーやクライアント製品において、どのようなコンセプト、考え方を持って設計、製品開発を行っているのかを紹介。参加者の高い関心を集めていた。

2030年に向けたデル・テクノロジーズのGX

松本 笑美
デル・テクノロジーズ
ソーシャル インパクト ジャパンリード

 セッション1では、松本笑美・ソーシャル インパクト ジャパンリードが「デル・テクノロジーズのサステナブルな長期目標:2030年に向けてのGX(グリーントランスフォーメーション)」と題して講演した。

 はじめに、松本ソーシャル インパクト ジャパンリードは「当社は人類の進化を牽引するテクノロジーの創出を目指す」と語り、主な社会貢献活動の歩みを説明。社会貢献活動では「2030 Moonshot Goals」を掲げており、四つのゴールの中の三つが「サステナビリティ(持続可能性)の促進」「インクルージョン文化の醸成」「ライフスタイル変革への貢献」、それらの活動において四つめのゴールとなる「倫理とプライバシーの順守」でしっかりと支えていると説明した。

 まず、サステナビリティの促進では、顧客が購入した製品と同量の製品の再利用または再生利用を行い、梱包材の100%、製品部品の50%以上に再生可能材量を使用する。また、温室効果ガスにおいては2050年排出ネットゼロへの取り組みを表明し、SCOPE1、2、3においてSBT(Science Based Targets)の認定値を公表。2030年までに50%削減(SCOPE1+2)、サプライヤーと協力して販売単価当たり60%の温室効果ガス削減(SCOPE3)、加えて2030年までに再生可能エネルギー使用率を75%、2040年までに100%達成に取り組んでいる。
 

 インクルージョン文化の醸成では全世界のスタッフの50%、リーダーの40%に女性を採用。米国内のスタッフの25%、加えて米国においてリーダーの15%に黒人もしくはヒスパニック/ラテン系出身の人を採用する。ライフスタイル変革への貢献では、健康、教育、経済の機会を促進し、持続可能な成果を世界の10億人に提供する。

 全世界7万人の女性起業家ネットワークも支援。日本でも、東京都女性ベンチャー育成事業でコラボレーションしている。「こうした活動や社内ガバナンス体制が評価され、『World’s Most Ethical Companies(世界で最も倫理的な企業)』を8年連続で受賞している」と語った。

地球にやさしいPowerEdgeサーバー

上原 宏
デル・テクノロジーズ
執行役員
データセンター ソリューションズ事業統括 製品本部長

 セッション2では、上原宏・執行役員データセンターソリューションズ事業統括製品本部長が「地球にやさしいPowerEdgeサーバー」をテーマに講演した。

 上原執行役員は、「先進企業で意識改革が進み、ITの刷新(モダナイズ)と同様に環境への配慮に非常に関心が高い。デルが2300人の顧客を対象にした調査でも、製品採用時の評価項目の中で、持続可能性に関連する要因が上位50%にランクする」とした。

 次いで、データセンター製品における環境課題に触れ、「製品製造には新たな資源の採掘を必要とし、廃材、消費電力も大きな問題。そこで、標準化・共通化により、多くの無駄を削減することで解決するのが当社のアプローチだ」と説明した。

 PowerEdgeサーバーは、設計段階から、シャーシ、ラックレール、ベゼルなどの主要コンポーネントを標準化して共有する。また、共通の工具、リサイクル可能な材料、最小限の接着剤の利用、コーティング制限も実施している。こうした標準化コンポーネントの多用で、試作品の制作頻度や必要なツール類を削減。発生する金属やプラスチックの有害廃棄物を大幅削減している。

 製品設計において大きな効果を生んでいるのが熱設計の見直しだ。新世代のPowerEdgeサーバーは、サーバー内部レイアウトを大幅に変更。CPUを冷却した空気をより効率的に排気できるようにした。製品設計のイノベーションの一つが、マルチベクタークーリング 2.0。これはサーバー内部のエアフロー経路を合理化した先進的な設計で、シャーシ内の必要な箇所に適切な冷却風量をコントロール。コンポーネントの信頼性を担保しつつ、ファンの稼働と電力消費を最小化できる。

 これにより、一世代前のモデルR740に対して最新世代R750xaは、GPU装填時の環境温度制限を30℃から35℃に向上。加えて、水冷でCPUを冷却するという選択肢も用意。コールドプレートをCPUに接触させ、ヒートシンク以上の冷却効果を発揮する。

 「PowerEdgeサーバーを効率的かつ持続可能性を思慮して設計することで環境を保護し、より良い未来へ前進することを目指す」とアピールした。

クライアント製品におけるサステナビリティへの取り組み

佐々木 邦彦
デル・テクノロジーズ
クライアント・ソリューションズ統括本部 クライアント製品本部
フィールドマーケティングコンサルタント

 セッション3では、クライアント・ソリューションズ統括本部クライアント製品本部でフィールドマーケティングコンサルタントを務める佐々木邦彦氏が「クライアント製品におけるサステナビリティへの取り組みのご紹介」と題して講演した。

 デル・テクノロジーズは製品、パッケージング、サプライチェーンのそれぞれでサステナビリティの取り組みを推進し、前述のように、30年までに顧客が購入した製品と同等量の製品を再利用または再生利用を目指している。具体的な取り組みとして、クローズドループ(循環利用)、資源の再生利用、素材の再生利用を推進している。

 クローズドループでは、回収したコンピューターの部材を再生利用する。再生利用では、パッケージング(梱包箱)に再生プラスチックを使用する。「最近、大きな社会問題になっている海洋プラスチックごみ。毎年800万トンのプラスチックが海に流入している中で、テルは3万キログラムの海洋プラスチックを再生利用。また、航空宇宙産業から排出された炭素繊維(カーボンファイバー)の埋め立て処分を回避してノートPCに再生利用。15年からの累計で200万ポンド以上転用している」とした。

 回収&再生利用では、世界60を超える国と地域で利用できる資産の再販およびリサイクルサービスに取り組み、多くのビジネスモニターや125を超える製品にクローズドループプラスチックを使用する。14年以降、クローズドループによりプラスチックパーツの新規製造に使用した量は2000万ポンド以上。コスト面でも180万ドル以上の節約を生み、二酸化炭素排出量を11%削減している。

 業界初の金のリサイクルも導入。Latitude 5285および5290 2 in 1のマザーボードに使用していた金を新しいマザーボードに再生し、環境へのダメージを99%低減。また、21年1月には世界初となるバイオプラスチック素材を使用したLatitude 5000シリーズを市場投入。さらに、少し変わった取り組みとして、インドで、ディーゼル車から排出されたカーボンブラックでインクを作成し、PCなど製品のボックスに印刷するということも行っている。インク回収プロセスで11万人が吸い込む空気に相当する量の空気をクリーンにしたという実績も出ている。

 佐々木氏は「2030年の目標達成に向け、サステナブルな製品設計・開発を強く推進する」と語った。