デル・テクノロジーズは3月18日、最新世代のDell EMC PowerEdgeサーバー17機種を発表した。注目点の一つは、CPUとして最新の第3世代インテル Xeon スケーラブル・プロセッサー(開発コードネームは「Ice Lake-SP」)を搭載したサーバー5機種の国内出荷が5月から始まることだ。設計コンセプトは、「アダプティブコンピュート」「自律型コンピュートインフラ」「プロアクティブレジリエンス」の3点。デジタル変革(DX)を実現するためのサーバーとして、最適な選択肢といえそうだ。

新世代のオンプレ向けサーバーを三つの思想に基づいて新たに設計

 ハイブリッドクラウド化やマルチクラウド化と並行して、今、オンプレミス用サーバーの世界でも変革が進む。「例えば、データの置き場所が変わりつつある」と指摘するのは、データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の製品本部シニアプロダクトマネージャーである岡野家和氏。エッジコンピューティングやAIの進展につれて、オンプレミス側にも高度な処理能力が求められているというのだ。また、セキュリティ対策も引き続き重要な課題となっている。
 
岡野家和
データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括
製品本部シニアプロダクトマネージャー

 このような現状認識に基づいて、デル・テクノロジーズは2年ほど前に新世代サーバーの企画を開始。「アダプティブコンピュート」「自律型コンピュートインフラ」「プロアクティブレジリエンス」という三つの思想に基づいて設計・開発を進めてきた、と岡野氏は説明する。

 一つ目の「アダプティブコンピュート」は、最新のテクノロジーをワークロードに応じて適材適所でユーザーのビジネスに生かしてもらうことを狙う。具体的には、最新のCPUやGPUに対応したり、最新のワークロードを効率よく処理できるハード構成にしたり、といった設計方針だ。

 二つ目の「自律型コンピュートインフラ」は、サーバーの運用管理タスクをできる限り自動化することを目指す。例えば、自動車の自動運転のようなイメージだ。

 そして、三つ目の「プロアクティブレジリエンス」は、予防的なセキュリティ対策によって脆弱性の解消を図る。
 

CPUには最新のIce Lake-SPを採用、排熱能力を高めてHWの改ざんにも対処

 新しい世代のPowerEdgeサーバーは全部で17機種。このうち、5月に出荷が始まるのはPowerEdge R750、PowerEdge R650、PowerEdge R750xa、PowerEdge C6520、PowerEdge MX750cの5機種。売れ筋になると思われるのは、R750(2U高)とR650(1U高)の2機種。R750xaはGPUワークロード向けの特化モデル、C6520は大規模大量コンピューティング向け、MX750cはモジュラー型の位置づけである。
 

 この世代のPowerEdgeサーバーではCPUに最新の第3世代インテル Xeon スケーラブル・プロセッサーを採用した。前世代と比較すると、パフォーマンスは一般的な演算で1.46倍、AI推論(自然言語処理のBERT)で1.74倍と高性能。コア数も最大40と多い。

 ただ、性能の高さとコア数に比例する形で、発熱量(TDP)は270Wに増えている。「そこで、PowerEdgeの開発陣はハードと管理ソフトの両面で熱管理能力を高めることにした」と岡野氏は話す。マルチベクタークーリング2.0と名付けられた新方式には「3種類の冷却ファン」「高効率ヒートシンク」「エアフローを強化したシステムボード設計」というハードウェア設計の工夫と、特許も取得したスマートな内部冷却と電力管理ソフトウェアで実現する「温度・電力・エアフローのラック単位の詳細な可視化と制御能力」というソフトウェアでの工夫が盛り込まれているという。

 また、自律型コンピュートインフラを実現するための仕組みとして、PowerEdgeサーバーでは以前から管理プロセッサー「iDRAC」と、管理ソフト「Dell EMC OpenManage Enterprise」が備わっていた。「約180種類のテレメトリー情報を出力するiDRACのインテリジェンスは業界をリードしているし、OpenManage Enterpriseは既にポリシーベースでスクリプトを自動実行できる。予定しているCloudIQとの接続で、PowerEdgeサーバーは自動車でいえばレベル3(高度自動運転)に相当する自動化レベルに到達する」(岡野氏)というのがデル・テクノロジーズの判断。21年内にはクラウド型分析サービス「Dell EMC CloudIQ」の対象にPowerEdgeサーバーが追加される予定だという。

 さらに、プロアクティブレジリエンスを達成するためにセキュリティも強化。新世代のPowerEdgeサーバーでは新たにSecured Component Verification(SCV)というサービスも用意した。これはiDRACのオプション(1台当たり税別1万800円)として昨年末に発表されたもので、ハード構成情報のデジタル証明書をiDRACに書き込んで客先に納入する仕組み。開梱時にファームウェア内のツールを使ってデジタル証明書を読み出せば、部品すり替えなどの“改ざん”が行われていないかをユーザーが確認可能だ。

分かりやすいセールスツールを販売パートナー向けに提供の予定

 このような特長を持つ5機種に続き、21年7月には高性能低価格モデルのR750xs/R650xs、エントリーモデルのR550/R450、エッジコンピューティングと通信に特化したXR12/XR11の出荷も始まる予定。全17機種がそろうことによって、新世代のPowerEdgeサーバーはビジネスのさまざまなシーンとワークロードがカバーできるようになる。

 販売を担当するパートナー企業への支援策は、これまでと同じく、ラボの無償利用と評価機プログラム、トレーニングとハンズオン、そしてパートナー向けポータルでの情報展開を行う。東京都港区のカスタマーソリューションセンターが販売パートナーに活用されているのは言うまでもないが、テキサス州のHPC & AI Innovation Labの環境を活用して案件受注につなげた日本のパートナーもいるという。「新世代のPowerEdgeサーバーが17機種揃う7月をめどに、機器選定ツールも充実させる」と岡野氏は強調する。各資料をはじめ、構成支援ツール、パートナー向けWebinar開催案内などについての最新情報は「Dell EMC情報ステーション」で公開されている。

 エッジコンピューティングとAIを活用したDXを指向する企業にとって、いま求められているのは、オンプレミス側に十分な処理能力とデータ格納場所を用意すること。デル・テクノロジーズの新しい世代のPowerEdgeサーバーは、そのための最適な選択肢となることだろう。
 
 
ITインフラの運用管理自動化とWindows Server 2012延長サポート終了についての調査
https://www.seminar-reg.jp/bcn/survey_dell0517