基調講演では、電気通信大学・副学長の坂本真樹氏が登壇。「ニューノーマル社会に最大限活用したい!AIとIoTの組み合わせで拡がるビジネスの可能性」をテーマに講演を行った。

電気通信大学副学長
大学院情報理工学研究科情報学専攻教授
人工知能研究センター 副センター長 感性AI取締役COO
坂本真樹氏

 坂本氏はまず、機械翻訳や深層学習などの人工知能(AI)の仕組みについて簡単に説明。「その能力を人間と比べると、AIは相関関係の検証を得意としているが、意外なものも含めて想像に基づいていろいろ試すことやクリエイティブな作業は人間の方が得意だとされてきた」という。

 ただ、現在では感性評価ができるAIも登場していて、クリエイティブな領域での人間との協働も可能になっているとのこと。実際、坂本氏が開発したAIを使えば、ネーミングやパッケージデザインを分析して、どれが消費者に好まれるかを相対的に評価することもできるとしている。

 さらに、人工知能と深い関連性を持つ技術として5GとIoTについても解説。サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合した社会として政府が掲げるSociety 5.0においては、フィジカル空間の情報がセンサーとIoTを通じてサイバー空間に自動的に吸い上げられ、AIが解析した結果がフィジカル空間にフィードバックされるという。自動運転車を例にとれば、乗っている人の会話をセンサーが拾ってAIが意味を解析することによって、最適な目的地と経路をクルマが自動的に決めるようなドライブが可能になるのである。

 また、AIはロボットとも深い関係にある。「AIは自らは動けないので、今はコンピューターやクラウドの中に置かれている。しかし、AIをロボットに搭載すれば、人間と直に接することが可能になる」と坂本氏。“人間と共存するAI搭載ロボット”には、工業ロボットのような特化型ではなく、「見る」「聞く」「対話する」「共感する」などの能力を備えた汎用型が望まれると付け加えた。

 ビジネスの世界でも、AIとIoTを組み合わせた技術はすでに各社が発表している。一例として、坂本氏は自らが主導した国の研究開発プロジェクト「会話の空気を読み取るAIによるフワキラ空間の構築」の成果を紹介。室内にいる人間の発話や生体情報をIoTで取り込み、その情報を基にAIが場の空気を読み取り、IoTを使って照明、音楽、温度、香りなどを統合制御するというものだ。ストレス緩和のほか、知的生産性の向上や共感促進などの効果が確認できたとのことである。