クラウドを軸にエンドポイントセキュリティ管理やIT資産管理などを展開するクオリティソフト。2017年から積極的にドローンビジネスを展開していることでも知られる。オペレータを養成する「ドローンビジネスカレッジ」や実機を販売する「DBCスカイワークス」で産業用ドローンビジネスを展開。一方、文教市場向けではドローンを使ったプログラミング教材にも取り組んでいる。同社の浦聖治・代表取締役CEOと、ドローンビジネス開発部の竹中智彦・部長に、教育素材としてのドローンの利点などについて話を聞いた。
クオリティソフト 浦 聖治 代表取締役CEO
「ドローン関連のビジネスを5年ほどやって、ようやく単年度黒字が見えてきた」と話すのは浦CEO。ドローンビジネスは「ドローンにも運行管理やオペレータ管理などでエンドポイントセキュリティの整備が必要になるだろう」と考えて始めた。この4月にはドローン運用管理サービス「DroneNEXUS(ドローンネクサス)」を発表し、本格展開のフェーズに入った。
一方、高校でプログラミング教育が必修化されることを念頭に、19年5月に「ドローンプログラミング言語学習キット」を発表。Ryze TechnologyのトイドローンTELLOにテキストやDVDをセットにして、大塚商会を通じて販売を始めた。
教材開発には和歌山工業高等専門学校や和歌山県立田辺工業高校の協力も仰いだ。およそ20のコマンドを駆使して機体制御や高度な映像解析などを行う。プログラミング言語はPythonを採用。今では高専や高校、企業なども含め130カ所以上で使われるようになった。
現在はキットの販売ビジネスだが、近い将来クラウドサービスも加える予定。「バーチャル空間でドローンを飛ばせる環境がほぼ完成した。自分の書いたプログラムを使って、PC上でバーチャルに飛ばすことができる。学校で実機を1人1台そろえるのは難しい。その不足分をカバーできる」とし、サブスクリプションサービスとして展開すれば「教材の販売ビジネスからクラウドビジネスに進化させることができる」と浦CEOは話す。現在は高校生以上が対象だが、言語をScratchにした小・中学生向けのカリキュラムも開発中だ。プログラミングの教材としてドローンを採用した理由について浦CEOは「興味の入り口として適していたからだ」と話す。
ドローンビジネス開発部の竹中 部長は、教育の現場では「生徒だけでなく先生も目を輝かせてドローンを飛ばしている。プログラミングのモチベーション維持・向上に大いに役立っている」と話す。
クオリティソフト ドローンビジネス開発部 竹中智彦 部長
「和歌山県の『きのくにICT教育』のアドバイザーに就任したことがきっかけで、教育分野に関わり始めた。その中で感じたのはプログラミング教育の内容が面白くない、ということ。楽しくするにはどうすればいいか。そこでドローンの活用にたどり着いた」という。
魅力的な目的を達成するための道具としてプログラミングを位置付けたことが、成功の要因といえるだろう。