シーディアが運営するプログラミング教室「さくらぼ」。2020年7月に開校した大阪市淀川区の大阪校を皮切りに今年4月には東京都大田区に東京校も開校した。小学校1年生以上を対象に25級からスタートし1級を目指す独自の等級制度を採用。実践さながらの職業体験を通じて、AIやIoTを駆使したアプリ開発ができるまでのスキル獲得を目指す。同社プログラミング教育事業部門の部門長で「さくらぼ」の弘中卓也 ・大阪教室長に、そのユニークな教室運営について話をうかがった。


 弘中大阪教室長は、およそ13年にわたり高校でコンピューターを教えていた経験を生かし、ほぼ一人で「さくらぼ」をゼロから立ち上げた。「準備期間でおよそ10カ月。カリキュラムから教材までのすべてを手作りで始めた。当初4月開校の予定だったが、緊急事態宣言で3カ月延期することになった」。まさにコロナ禍真っただ中の船出だ。開校当時4人だった生徒数も、現在では30人余りまで増えた。
 
シーディアのプログラミング教育事業部門の部門長で「さくらぼ」の
弘中卓也・大阪教室長

 プログラミング教室を始めるに当たって「一般の学校教育ではできない実践的なことをやろうと思った」と弘中大阪教室長は語る。ヒントは子どもが職業を体験できる施設「キッザニア」だ。例えば仕事の対価として支払われる専用通貨「キッゾ」。金銭授受の疑似体験で社会の仕組みを理解するのに役立つ。さくらぼでも対価が支払われる。こちらは少額ながら現金だ。カリキュラムの中に組み込まれている「お仕事ミッション」をこなすと受け取れる。課題として案件を受注。自分でどう実現するかを考え設計し実際に作る。納品、発表とデモンストレーションも行う。土日に開く教室の現場は、平日はシーディアのエンジニアが働いている現場そのもの。エンジニアの疑似体験を通じ、プログラミングだけでなく、社会や経済のことも学ぶことができる。

 生徒のうち「天才かなと思えるレベルの子が全体の2割くらい」もいるという。「理解力がずば抜けて高くカンがいい。コンピューターの気持ちが理解できる、という感じだ」。そんな弘中大阪教室長は「子どもたちの強大すぎる可能性を、できるだけ邪魔せずに伸ばすにはどうすればいいのか」と日々悩んでいる。「型にこだわって教えることに終始すると可能性をふさいでしまう。しかし基礎的な型はある程度必要。このバランスが難しい」からだ。「バランスを取る試みとして月に3コマ、各々が自分のやりたいことを自由にできるラボタイムという時間を設けた」という。また、「学校で可能性を広げる役割を担うのは部活動。自分たちで考えて活動していくことで、可能性を大いに伸ばしていける」とも。授業は基礎、それ以外の課外活動が要だとも指摘する。

 最後にシーディアの人材採用と教室の関連性についてたずねた。「卒業生がシーディアに入ってくれればうれしい。しかし、実際それはほとんど考えていない。社会で活躍してくれて、世の中が良くなればそれでいい。そんな思いで運営している」。弘中大阪教室長は笑いながら話した。