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第4世代AMD EPYCプロセッサー搭載のDell PowerEdgeサーバー4機種が登場、前世代の2倍以上のパフォーマンスを実現

2022/12/22 09:00

 デル・テクノロジーズは、第4世代AMD EPYCプロセッサー「EPYC 9004」シリーズを搭載した次世代「Dell PowerEdge」サーバー4機種を発表した。新世代のPowerEdgeサーバーは、データアナリティクスやAI、HPC、仮想化といった高度なワークロードの処理を高速化、前世代の2倍以上のパフォーマンスを実現するという。Genoaおよび新世代PowerEdgeの商材としての魅力について、日本AMDのコマーシャル営業本部ソリューション・アーキテクトである中村正澄氏と、デル・テクノロジーズのデータセンター ソリューションズ事業統括製品本部シニアプロダクトマネージャーである岡野家和氏に聞いた。

96コアの「EPYC 9004」を搭載した新世代PowerEdgeサーバー

 2022年11月10日(米国時間)、AMDが発表した第4世代AMD EPYCプロセッサーのEPYC 9004シリーズは、開発コードネーム「Genoa(ジェノア)」として呼ばれていたサーバー向けの新しいCPUだ。
 
2ソケットで同コア数(32コア)CPUの性能比較
同じコア数でより早く計算を完了

 EPYC 9004シリーズは、デスクトップPC向けCPU「Ryzen 7000」シリーズと同様に、製造プロセス5nmの最新アーキテクチャ「Zen 4」マイクロアーキテクチャのCPUコアを採用。CPUダイ「CCD」の数を第3世代EPYCの8個から最大12個に拡大した。CCD一つ当たり8CPUコアを内蔵しているため、第3世代EPYCのコア数64(8コア×8)に対して、1.5倍となる96コア(8コア×12)を1パッケージで実現。インテルの現行製品である第3世代Xeon SPの40コアとの比較で2倍以上のCPUコアを1ソケットで実現している。なお、IPC(1クロック当たりの実行可能な命令数)は第3世代EPYCから14%向上しているという。
 
1ソケットの第4世代EPYCと2ソケットの第3世代Xeonと浮動小数点演算性能の比較
1P AMD EPYC CPUの最高性能が2P Xeon の最高性能を上回る

 デル・テクノロジーズでは、このEPYC 9004シリーズを搭載した第16世代(16G)となる新PowerEdgeサーバー4機種を発表。価格性能比が高い製品として訴求するが、とりわけ、データアナリティクスやAI、HPC、仮想化、VDIといったワークロード向けとして販売していく方針だ。

 それでは、新PowerEdgeサーバーについてEPYC 9004シリーズ搭載に伴うコア数以外のアップデートも見ていこう。

 メモリは、AMD EPYC 7003シリーズ搭載の従来のPowerEdge 15Gで8チャンネルのDDR4-3200だったが、新製品では12チャンネルのDDR5-4800へと切り替わり、転送速度が1.5倍、帯域幅が2倍に向上した。CPUソケットあたり最大3TBまで増設ができる。

 バスインターフェースは従来、PCIe4.0までの対応となっていたが、PCIe5.0(最大128レーン)となり、2倍の帯域幅となった。

 ストレージ(SSD)についても従来の2.5インチNVMe(PCIe4.0接続)に加え、フォームファクターが新しく登場するEDSFF(Enterprise and Data Center SSD Form Factor) E3.Sドライブ(PCIe5.0接続)が追加される。物理サイズは約半分になり消費電力も削減、シーケンシャル、ランダムの読み込みでそれぞれ2倍と1.6倍の速度向上を実現する。

 「世の中には数多くのベンチマークがあるが、現在、EPYC 9004は300を超えるベンチマークで世界No.1を達成している」と日本AMDの中村氏は胸を張る。

 続けて、中村氏は「Genoaにより、これだけCPUの集積度が上がったことで、従来は2ソケットが当たり前であったサーバーも、これからはシングルソケットサーバーを真剣に検討してみてはいかがでしょうか、と提案したい」と語る。
 
日本AMD
コマーシャル営業本部
ソリューション・アーキテクト
中村正澄氏

 実際、浮動小数点演算のベンチマークでは、第3世代Xeonの40コアの2ソケット(80コア)に対して、Genoaはシングルソケットで大きく上回るパフォーマンスを発揮するという。シングルCPUのため、1プロセッサー当たりの消費電力は多少、高くはなっても2倍にまでは至らないため消費電力量を大きく削減することができる。また、1ソケットにもかかわらずシステム全体の性能も向上するため、サーバー台数も減ることでTCOでも大きなメリットが生まれ、CO2削減にも寄与する。

 「これまで何の疑いもなく、2ソケットサーバーを選択していたユーザーの方々にも、シングルソケットサーバーを検討していただけるようになることを期待している」と中村ソリューション・アーキテクトは述べる。

PowerEdge新世代が搭載するデル・テクノロジーズ独自のテクノロジー

 PowerEdgeでは、これまで解説してきたEPYC 9004シリーズ搭載によるアップデートのほか、デル・テクノロジーズ独自の向上も図られている。

 「EPYC 9004シリーズ搭載によるアップデートは、業界標準のテクノロジーであり他のサーバーベンダーでも同じことが行われるが、デル・テクノロジーズでは今回の新製品のリリースにあたって独自のテクノロジーによるアップデートも実施している」と同社の岡野氏は強調する。
 
デル・テクノロジーズ
データセンター ソリューションズ事業統括製品本部
シニアプロダクトマネージャー
岡野家和氏

 まず、新世代サーバー用に新たなRAIDカードをリリースする。従来モデルのPCIe4.0×8がPCIe4.0×16となり、転送速度が2倍、つまりデータを復帰させる際のリビルド時間を2分の1に大きく向上する。

 OSのブート領域用に使われる専用のデバイスであるBOSS(Boot Optimized Storage Solution)も、新世代サーバー用に強化された。

 「前世代のPowerEdgeの時に、ホットプラグに対応して非常に好評だったが、今回、BOSS-S2で使用していたM.2 SATA SSDをM.2 NVMe SSDを使用することで、ブート時間が短縮した。また、BOSS自体の暗号化にも初めて対応する」と岡野氏。

 GPUについても、1U と2Uラック型、1ソケットと2ソケットモデルで、全方位的にGPU搭載数を強化している。AIやレンダリング、GPU仮想化などへの強いニーズに対応するためだ。
 
第4世代AMD EPYC搭載 最新世代PowerEdgeサーバー

1ソケットサーバーの位置付けが進化、高度な処理を要するワークロードにも適応可能

 PowerEdge 新世代の4機種についての概要は、以下の通りだ。

 「Dell PowerEdge R7625」は、2ソケット2Uプラットフォームで、アプリケーション パフォーマンスとデータストレージが強化されたモデル。データセンターのバックボーンとして機能するように構築されている。旧モデルとの比較で、インメモリーデータベースを72%以上高速化している。

 「Dell PowerEdge R6625」は、パフォーマンス、柔軟性、密度の最適なバランスを実現した2ソケット1Uサーバー。HPCワークロードや複数の仮想デスクトップ インフラストラクチャー インスタンスの実行に最適なシステムとする。

 「Dell PowerEdge R7615」は、1ソケット2Uサーバーで、ドライブ密度の向上によって、より小さなデータセンター フットプリント(設置面積)で、より迅速に複数のジョブを処理できるように設計されている。

 「Dell PowerEdge R6615は、前世代よりも優れた仮想マシン(VM)密度を実現した1ソケット1Uサーバー。薄型設計の高密度なフォームファクターとなっており、パフォーマンスを損なうことなく、データセンターにおけるフットプリントの広がりを制限できる。

 デル・テクノロジーズでは、効果的なワークロードについて高負荷計算の分野では、2ソケット製品を中心にデータアナリティクスやHPCを、仮想化分野ではオールフラッシュSDS、仮想化、大規模VDIを、1ソケット製品ではSDS、NFV、コスト効率重視の仮想化などを想定している。

 「日本AMDの中村さんがおっしゃられたように、Genoaの登場で1ソケットサーバーの位置づけがいよいよ変わってくる」と岡野氏。実際、1ソケットのPowerEdge R6615とR7615でも、2ソケット同様に96コアCPUをサポートする。GPUも、R6615でシングルワイドGPUを3基搭載、2UのR7615なら500WクラスのフルハイトGPUを3基か75WのシングルワイドGPUを6基まで搭載と、どちらも前世代機を上回る。

 「例えばエントリーモデルと考えられていたPowerEdge 15GのR7515とは、R7615は明確に位置づけが変わる。最大96というコア数にとどまらないGenoaのワークロード性能に加え、レンダリング用途のGPUをサポートするなど、かなり高度な処理を要するワークロードにも十分に適応できるモデルになっている」と岡野氏は説明する。

多くの業種、ユーザー層で採用が進むEPYC搭載PowerEdge

 IDCの発表では、PowerEdgeは2021年の国内x86サーバー市場シェアで、出荷金額と出荷台数の両方で年間No.1を獲得(※)、国内シェアがこの5年間で2倍以上に成長している。(※)出典:IDC Quarterly Server Tracker, 2022Q3 Share by Company, Product Category:x86 承諾番号: IDCJ-22-612

 デル・テクノロジーズはPowerEdgeに占めるEPYC搭載サーバーの割合について公表はしていないが、当初の予想を上回るペースで成長中という。

 「特に顕著なのはユーザー層の拡大で、第2世代EPYC(Rome)の頃は、HPCとサービスプロバイダーが多くを占めていたのに対して、第3世代EPYC(Milan)になり、この1年で地方自治体のVDI基盤、メーカーの統合開発基盤、仮想化環境、証券会社や銀行などの金融分野での採用、半導体製造装置でのOEM組み込み用など、多様な業種・ユーザー層での採用が進んでいる。最近ではパートナーの方々の頑張りで、地方でもかなりAMDサーバーの採用が浸透してきた」と岡野氏。
 
AMD搭載PowerEdgeサーバー採用の加速

 EPYC搭載PowerEdgeのコストパフォーマンスの高さ、TCOのメリットに加えて、デル・テクノロジーズ独自の管理ツールなどによる運用の容易さなども評価されているようだ。

 岡野氏は「AMDさんのGenoa発表イベントでは、一切の仕込みなく、登壇いただいたお客様からPowerEdgeの管理プロセッサー『iDRAC9』を褒めいただいた。多くのお客様の圧倒的な評価いただいているiDRACと管理ソフト『OpenManage Enterprise』の組み合わせによる管理体系は変えることなく、既存の環境で、迅速に最新テクノロジーを採用いただいている」と強調する。

 デル・テクノロジーズでは、EPYC 9004シリーズ搭載のPowerEdgeの発売を機に、さらに市場への浸透を図っていく。

 「AMD EPYC搭載モデルのラインアップの豊富さもデル・テクノロジーズの強みだが、パートナーの方々がお客様の用途に応じて容易に提案できるようにするための情報提供も進めていく予定だ。年間63万PVを誇る販売店向け技術情報ポータル『情報ガイドステーション』を軸に、PowerEdgeサーバー選定ガイドやサーバー構成ガイドなどのガイド類、Dell Solutions Configurator(DSC)などの構成作成ツール、ホワイトペーパーなど技術情報の積極展開により、エンタープライズにおけるDB、トランザクション系の用途に向けた需要をパートナー経由で取り込んでいきたい」と岡野氏は抱負を述べる。
 
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外部リンク

第4世代AMD EPYC (Genoa)搭載「Dell PowerEdge」サーバーのリリース=https://www.dell.com/ja-jp/dt/corporate/newsroom/announcements/detailpage.press-releases~japan~2022~11~20221111-1.htm#/filter-on/Country:ja-jp

第4世代AMD EPYC(Genoa)搭載「Dell PowerEdge」サーバー紹介動画(字幕付き/クリックで自動再生)=https://www.delltechnologies.com/asset/ja-jp/products/servers/selling-competitive/amd-2-socket-16g.mp4