BtoBの世界でもデータに基づくマーケティングやセールスは重要――。SaaSベースのSFAやCRM、MAなどのツールを導入している企業は多い。それらのツールで得られたデータは上手に使えばもっと大きな効果を企業にもたらすだろう。データを業務課題解決や経営判断に役立てるために、何が必要なのか。CData Software Japanの中嶋正生・Business Development ManagerとtoBeマーケティングの小池智和CEOが話し合った。
データドリブン経営にはデータの統合が必要
――「データは21世紀の石油」といわれますが、データでどんなことができるのでしょうか?
小池 日本でSFA/CRMやMAの導入が大きく進みました。当社はこの7年、約2000社の企業にマーケティングのコンサルティングサービスを提供してきました。グローバルのトップ企業が使っているツールと同じものが中堅中小企業でも使えるのですから、素晴らしい時代になったものです。蓄積されたデータをどう生かしていくかというフェーズに入ってきています。
小池智和
toBeマーケティング CEO
中嶋 データの可能性はとても大きい。経営による業務の把握、現場マネージャーによる施策効果の検証、現場による顧客に対する次の打ち手とタイミングについてのインサイトなどを得ることができます。どのリード獲得手段からリードがつくられ、受注までのファネルを一気通貫で管理する「マーケティングダッシュボード」、いつ発生したリードがどの月の案件受注に貢献したのかを可視化する「リードモニタリング」、商談をデータの動きである期間推移を交えて分析する「パイプライン管理」など、どんな企業でも役に立つデータの使われ方があります。
中嶋正生
CData Software Japan
Business Development Manager
小池 確かに、せっかくデジタルでデータを蓄積できるSFA/CRM+MAを使っているのですから、そのようなデータ活用ができればSFA/CRM+MA の導入効果はより大きくなることは間違いありません。このような顧客関連データの活用こそが「データドリブン経営」の大きな要素だと思います。
――このようなデータ活用はどの程度浸透しているのでしょうか?
小池 SFA、CRM、MAなどのツール導入に比べて、それぞれのツールで得られたデータを統合して業務課題の解決や経営判断に役立てる習慣はまだ浸透しているとは言い難いです。やはり、ツール横断でのデータ利用は簡単ではなく、組織的に取り組んでいく企業は多くありません。
中嶋 toBeマーケティングのお客様からはどのような点が難しいという声がありますか?
小池 技術的なハードルとしては、APIに馴染んだスタッフが社内にいないこと。そしてBIツールなどではMAのActivityデータはボリュームが大きく取得すらできないということを聞きます。また、経験・知識のところでは、過去より圧倒的に多くのデータが取れる中で分析手法がわからないという声もあります。
データ統合基盤を構築するツール・ナレッジ・テンプレート
――日本企業のそのような課題を解決するためのソリューションを、CData Software JapanとtoBeマーケティングが共同で準備されていると聞いています。
中嶋 CDataでは、CData Syncというデータパイプラインを提供しています。このツールを使えば、Salesforce やAccount Engagement(旧Pardot)をはじめとした400種類以上のSaaSからデータ分析基盤であるDWHにデータをノーコードで収集できます。さらに、両社でCData Syncによるデータ統合だけでなく、マーケティングから営業の主要な定石ダッシュボードを提供します。個々の企業には特殊性はあってもBtoBの活動ではマーケティング・営業で最大公約数となるデータ活用は存在します。
小池 最も典型的な使い方は、マーケティング施策によって売り上げがどれだけ増えたかをROIとして可視化することでしょう。
用意するテンプレートは経営層向け、マーケティングマネージャー向け、営業マネージャー向け、営業担当者向け、アカウントベーストマーケティング(ABM)向けの5種類。数カ月ではなく、数週間というスパンで定石のセールス・マーケティングダッシュボードを稼働させられます。定石のダッシュボードですぐに効果を感じてもらえるはずです。
とはいえ、毎日データを見るうちに、足りない所が見えてきます。売り上げデータの基幹との整合性や足りないデータなどが明らかになってきます。そこからは継続的なデータガバナンスの世界です。toBeマーケティングが伴走サービスを提供しますので、その間にデータ整備・カスタマイズを行い、お客様自身で走れるようになったところで自社運用に切り替えていただくというイメージです。
中嶋 即効性のある定石ダッシュボードとtoBeマーケティングによる継続的なデータガバナンスへの伴走は一番効率が良いデータ活用への入り方だと思います。日本の企業にはデータを活用して、もっともっとハッピーになっていただきたい。それが当社の望むことです。
小池 データ基盤構築の効率化やダッシュボードのテンプレート化について、課題をかかえておられる日本の経営者に対して積極的にアピールしていきたいと思います。ぜひ、一緒にやりましょう。