Special Issue
多様な働き方を提案するリコージャパンは、なぜ会議室のシステムにShureを選んだのか
2025/07/15 09:00
早くから多様な働き方を自社で実践し、顧客に対してオフィス改革の提案も行っているリコージャパンは昨年、同社の一つの拠点をリニューアルした。その大きな目的の一つが、Web会議の質をさらに高めるための、会議室の改革だった。Web会議の課題を解決するための切り札となったのが、音響機器メーカーとして知られるShureのシーリングマイク。リコージャパンは、参加者がスムーズにコミュニケーションを取れる会議室をどのように作り上げたのか。最新のオフィスを訪ねた。
最新のワークスタイルに合わせて拠点をリニューアル
リコージャパンは、同社の働き方変革への取り組みを顧客に体感してもらう場として、LiveOffice「ViCreA(ヴィクレア)」を全国80拠点に展開している。リコージャパン社内で実践しているオフィス改革やDXの取り組みを学び、実際の従業員がどのように働き方を変革しているか、新しい課題へどのように対応しているか、といった取り組みを間近に見学・体感することができる。リコージャパン千葉支社幕張事業所の「ViCreA 幕張」は、特に注目度の高い施設の一つだ。千葉支社は県内に九つの拠点を構え、多くの県内企業と取り引きし、自治体や教育機関を含む幅広い業種・業態・規模の顧客へサービスを提供している。
「当社は複合機やプリンターでよく知られていますが、現在はICT事業の比率が最も大きく、スマートエネルギーなども手掛けています。プリンターだけでなくさまざまな機器はICTと連携するのが当たり前ですからね。Customer's Customer Success――お客様の先のお客様まで価値が届くようなサービスや製品の提供を心掛けています」と、デジタルサービス営業本部千葉支社の竹元哲郎・事業戦略部部長は説明する。

竹元哲郎氏
2012年に開設したViCreA 幕張は当初、最先端のオフィス環境だった。使いやすい執務室の中央には広めのミーティングスペースが配置され、スタッフがさっと集まって会話できる。このリアルコミュニケーションを重視したオフィスはコロナ禍を経て、新たな働き方にマッチしなくなっていた。Web会議が重視されるようになり、リアルとバーチャルが融合するような働き方へ変化したためだ。
そこでViCreA 幕張は24年、リコーのワークスタイル提案のコンセプト「RICOH Smart Huddle」を取り入れ、全面的なリニューアルを実施した。最新のビジネスにマッチしない課題を解決、新しい働き方を実践し、半歩先にお客様をリードするようなオフィスを目指した。大きな改革ポイントは二つだった。まず、テレワークが増えて出社率も低下していることから座席の利用方法を大きく見直すこと。そして、大小の会議室と会議システムを大幅に増設・増強し、Web会議のニーズに応えることにした。
「テレワークが増えたほか、そもそも営業担当者が多いため、固定席は無駄になってしまいます。そこで全面的なフリーアドレス制を導入しました。以前はいつも同じチームのメンバーが集まっていましたが、今は、毎日異なる他部門のスタッフと席を並べるようになり、コミュニケーションが活性化したと前向きな声が寄せられています」と、顧客づくり推進部ESG推進グループの佐竹由美氏は述べている。

佐竹由美氏
そしてViCreA 幕張のリニューアルプロジェクトにおいて、最大のポイントの一つが会議室の改革、特にWeb会議の音響改革だった。ここで力を発揮したのが、リコージャパンの協業先でもあるShureのソリューションだ。
だれもが不満を感じるWeb会議のストレスを大幅改善
以前のViCreA 幕張は、Web会議に対応できる個室が非常に少なく、会議室はいつも予約でいっぱいだった。個人向けブースもわずか一つで、ソロワークやリモート商談などでもなかなか使えない。そこで新生ViCreA 幕張では、フリーアドレス制で座席を最適化するのに合わせて、個室を大幅に増設した。応接室、プレゼンルーム、少人数向けの会議室も増やし、リモート会議・ハイブリッド会議のニーズに応えた。もう一つの課題は音響だ。以前の会議室はWeb会議を前提としておらず、コロナ禍などの需要増大に合わせて急ぎ導入した機器だったため、会議のたびに設置・配線などの準備が必要だった。「会議前の準備に時間かかりますし、会議後はケーブルが煩雑な状態になることがしばしばありました」と、佐竹氏は当時を振り返る。
さらに大きな問題となっていたのは音声品質だ。出席者の声を均一かつ鮮明に届けるには、マイクの位置や向きに気を配る必要があるが、準備で慌ただしい会議前に、毎回時間をかけて機器のセッティングを行うのは現実的ではなかった。
デジタルサービス営業本部千葉支社の小那木貴志・千葉ソリューション統括部コーディネートグループリーダーは、「できるだけ性能の高い製品を選んでいたが、会議室に最適化できていたとは言えなかった」とし、「適当な箱やラックに卓上マイクを載せるなど工夫しても、やはりマイクから遠い発言者の収音は悪く、リモートの相手に声が伝わりにくいという不満がありました。また、コロナ禍ではアクリルパーティションを設置するなど、さらに収音性能を低下させてしまう対応が取られていたので、卓上マイクでは限界がありました」と振り返る。

千葉ソリューション統括部 コーディネートグループ
小那木貴志氏
こうした会議室音響の課題に対し、ViCreA 幕張のリニューアルプロジェクトでは、設備・技術の抜本的な見直しを図った。そこで注目されたのが、Shureのシーリングアレイマイク「MXA920」である。

「MXA920」
実はリニューアル以前から、千葉支社はお客様に対してShureと共同で音響設備に関するウェビナーを開催していた。コロナ禍の経験も相まってイベントは大盛況で、即日満席になるほど注目を集めた。シーリングアレイマイクであれば、会議室の形状に関わらずクリアな収音が期待でき、配線などの取り回しも不要。非接触型であるためパンデミック対応としても望ましい。
小那木グループリーダーは「会議室内のリアルコミュニケーションを阻害せず、リモートから自然と参加できるという点が魅力でした。そのためには音声品質が最も重要ですから、老舗として技術やノウハウを蓄積しているShureのソリューションが最適だと考えたのです」。最終的にViCreA 幕張では、見学者が多様な環境を体験できるよう、会議室の条件に合わせてマルチベンダーで音響・映像設備を強化した。
その中でもMXA920は、大会議室に2基、応接室に1基と、Web会議音響の条件が厳しくニーズも高いスペースに採用した。2部屋に設置されているため、ViCreA 幕張内でMXA920の実力を試すことができるという点にも注目だ。

「MXA920」

「MXA920」
リアルとバーチャルが融合するシーリングアレイマイク
千葉支社では、ViCreA 幕張のリニューアルに際し、次の三つのテーマを重視した。まずは、リアルコミュニケーションだ。天井設置型のマイクであれば意識することなく自然に会話でき、リモート参加者にも同じ体験を届けられる。また、シーリングマイク、オーディオプロセッサー、天井埋め込み型スピーカーの組み合わせで実現する、ShureのVoice Lift技術を利用。Voice Liftは、話者からの距離によって肉声が届かないエリアだけに向けてスピーカーを通じて音声を補える技術で、広い会議室の隅まで自然な声を届けられるようにした。
二つめはトレンドの追求だ。Shureの製品・技術はITフレンドリーであるため、インテグレーターがリコーグループの最新ソリューションと組み合わせてカスタマイズしやすいという利点がある。
三つめはViCreAが主眼に置く、そのまま顧客へ勧められるという点である。実際、見学に訪れた企業経営者が「この会議室をそのまま導入したい」と希望することもあるという。ViCreA 幕張の会議室は、タブレットを数タップするだけで誰でも会議を始められるように構成されており、簡単でトラブルの少ないインテグレーションを高く評価する声も大きい。
音声品質の向上は、竹元部長らも強く実感する効果だ。同社では月次の全体ミーティングなどをオンラインで実施しているが、主たる会場をMXA920の会議室にしたところ、ビジネス状況などを報告する声が、ほかの拠点でもクリアに聞こえるようになって満足度が向上した。「話者の声がきれいに聞こえたことに加え、雑音が一切聞こえなくなった点も驚きました」と、佐竹氏は評価する。
MXA920は、ViCreA 幕張の来訪者にも好評だ。リニューアルから1年、すでに300社の見学会が実施されたが、ハイブリッド会議の悩みをすっきり解決できる手法と感心されるという。
「近年、どの企業も当社と同じくWeb会議に大きな課題を感じています。見学した担当者が経営層を連れて再来し、その場で会議室音響の改善が決定し、大きな商談につながったという例もありました。私たちはオフィス改革のノウハウを蓄積しており、社内実践を通して経験していますので、最適な改革を支援できるものと実感しています」と、小那木グループリーダーは述べる。
オフィス改革のノウハウを最新技術と組み合わせて提供
オフィスは、現状の課題解決に加えて、時代のニーズや働き方の変革に合わせて進化を続けていく領域である。リコージャパンでは、今後も最先端の技術を駆使してViCreAの改革を推進していく計画だ。佐竹氏は「さまざまなユーザーに役立つアイデアやノウハウを積極的に提供していきたい」と述べ、多くのお客様の役に立てるよう努めていく考えを示した。
「社内の他の拠点にもShureの技術を導入できれば、より効果的なWeb会議やウェビナーなどが実現できるでしょう。その点で小型の新製品などにも大いに期待しています。当社のほかの会議システムとの連携が強化されると、お客様はパッケージとして導入しやすくなるとも考えています。このソリューションは、企業だけでなく教育機関や自治体など幅広いユーザーが注目しています。ぜひ、Shure とこれまで以上に連携力を高めて、私たちが感じる価値を提供していきたいですね」と竹元部長は力を込める。
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外部リンク
シュア・ジャパン=https://www.shure.com/ja-JP
リコージャパン=https://jp.ricoh.com/companies/ricoh-japan
LiveOffice「ViCreA」=https://www.ricoh.co.jp/sales/liveoffice
RICOH Smart Huddle=https://www.ricoh.co.jp/products/concept/ricoh-smart-huddle#ricoh_smart_huddle