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日立システムズと宇都宮市とKPMG、AIを用いた政策シミュレーションを実施

2025/05/23 15:43

 日立システムズと栃木県宇都宮市、KPMGコンサルティングは、2024年4月から12月にかけて、AIを活用した政策シミュレーションに関わる共同研究を実施したことを発表した。

AIが導き出した2050年における
宇都宮市の7種類のシナリオと分岐点

 さらに、7種類のシナリオのうち、50年時点の指標の状況が最も改善するシナリオを実現するためには、50年までに4回のターニングポイントがあること、4回のターニングポイントを迎えるまでに、とくにどのような指標を重視すべきかがわかった。宇都宮市では、今回の共同研究の結果を参考にしながらEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)を推進していく。

 17年に内閣官房統計改革推進室が発行した「統計改革推進会議 最終とりまとめ」にEBPM推進の必要性が明記され、EBPM推進委員会が発足するなど、日本でも取り組みが始まった。政府の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」にも繰り返し記載されており、国として重視している事柄となっている。地方自治体でもEBPMは注目されており、導入に向けた検討が進められている。

 今回、持続可能な宇都宮市の実現に向けたシナリオを探索することを目指し、(1)ネットワーク型コンパクトシティを土台としたまちづくりの推進で、将来の宇都宮市がどのようなまちになるのか、(2)めざすべきまちの実現のために、いつどのような取り組みに注力をすべきか――の二つのテーマでAIを活用した共同研究を実施した。

 共同研究では、宇都宮市の「第6次宇都宮市総合計画後期基本計画」や個別分野別計画での「交通」「子育て・教育」「健康・福祉」「安全・安心」などの政策の柱から358の指標を抽出し、各指標の過去10年間のデータを分析用のデータとして用いた。この分析用データを用いて市職員などで構成する3チームでのワークショップを行い、それぞれの指標がどのように影響しあうのか、指標間の因果関係を定義した「因果連関モデル」を作成した。作成した「因果連関モデル」をAIを用いて分析し、約2万通りのAIシミュレーションを行った。そして、50年の宇都宮市の姿について7種類のシナリオと24年から50年の間でそれぞれのシナリオに至るまでのターニングポイントとターニングポイントを迎えるまでに重視すべき指標を導き出した。

 そして、7種類のうち、50年時点の指標の状況が最も改善するシナリオを選択することができた。最も改善するシナリオに至るには、30、31、43、44年の計4回のターニングポイントがあること、4回のターニングポイントを迎えるまでにどのような政策を重視すべきかを把握することができた。

 宇都宮市は今後、今回の共同研究を参考にしながらEBPMを推進する。KPMGコンサルティングと日立システムズは自治体のEBPMの推進をサポートし、地域活性化に貢献していく。
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外部リンク

日立システムズ=https://www.hitachi-systems.com/

宇都宮市=https://www.city.utsunomiya.lg.jp/

KPMGコンサルティング=https://kpmg.com/jp/ja/home/about/kc.html