不況に打ち勝つ商材を提案
──SIやサービスのビジネスを伸ばすに当たり、ほかにはどのような重点事業があるのでしょうか。
野村 EDIとビジネスインテリジェンス(BI)に重点を置きます。先に述べたクラウドビジネスと合わせた三つの柱で、ビジネスを拡大させていく考えです。EDIは過去20年間にわたって手がけてきた当社のコアコンピタンスの一つ。BIはもともと当社が強みとしてきた部分でもあり、かつ厳しい経済環境のなかで、ビジネスの可視化を求めるユーザー需要が高まっていることが背景にあります。
──EDIではM&Aや事業継承などを積極的に展開しておられます。
野村 2008年1月には花王グループのEDIソフト開発子会社の花王インフォネットワーク(現NI+Cインフォトレード)をグループ化し、同年9月にはNTTコミュニケーションズのEDIサービスを継承。当社のEDIは自動車業界を中心に約1000社のユーザーを持っていますが、これにNI+CインフォトレードやNTTコミュニケーションズの顧客が加わることでさらに層が厚くなりました。自動車、家電、流通小売など多様な業界にEDIサービスを提供するリーディング・カンパニーとしての地歩をより確かなものにしていく方針です。
EDIでは、システムの販売だけでなく、オンラインによるASPサービスも一部手がけています。ASPはSaaS型のビジネスと親和性が高く、EDIによる受発注業務のサービス化やアウトソーシングの需要を引き出せる。さらに一歩進んで、基幹業務系のシステムのアウトソーシングなどサービスビジネスの拡大へと結びつく可能性が高い。中堅・中小企業では、コスト削減に効果が大きいアウトソーシングに関心が高く、基幹システムの運用を一括して請け負うビジネスも増えると考えています。
──BIはどうでしょうか。
野村 今、ユーザー企業が考えていることは、まずはコストの削減。景気後退による底這い状態のなかでも、利益を確保しようと必死です。その次に来るのが経営の透明性を高める取り組み。景気のいいときは問題にならなかったようなことが、不況時には顕在化してきます。データを分析し、非効率なところや無駄を徹底的になくしていくBIは、経営の可視化に非常に有効に働きます。コグノスをはじめ、一通りのBIツールは取り扱っています。課題を浮き彫りにし、さらにITを効率的に活用できるアウトソーシングなどのサービスビジネスを活用するなどして解決する。こうした仕組みを積極的にユーザー企業に提案していくことが求められています。
CRM(顧客情報管理)やコンタクトセンターの構築実績は多く、得意分野の一つです。BIはこうした情報系システムのメニュー体系に組み込んでいます。コンタクトセンターのデータマイニングを通じて傾向を掴んだり、会社にとって大きなダメージを与えそうな問題を抽出し、30分以内に経営層にアラートとして通報する仕組みなどさまざまな応用実績がある。こうした経験を生かし、不況時に本当に役立つITシステムの構築を進めることが、すなわちビジネスチャンスを掴むことにつながります。
眼光紙背 ~取材を終えて~
不況の底が深いだけに、ユーザー企業のコスト削減ニーズはかつてないほど高まっている――。2009年のビジネス環境は総じて厳しいものになるといわれる。なかでも、「コスト削減に直結するIT需要は大きい」と、野村雅行社長は見る。
ハードウェア製品は価格下落の圧力がより強まり、大型のソフト開発プロジェクトが増えるとは考えにくい。ただ、アウトソーシングやクラウド型サービス、BI、EDIなどはコスト削減に大きな効果が期待できる。ニーズに合致した商材を迅速に揃え、ビジネスに役立てる実行力がSIerに強く求められている。
NTTコミュニケーションズ時代は、法人営業を担当。いち早くSaaS・クラウドに着目し、事業化を推進した一人だ。NI+Cは業務ノウハウが豊富なSIerであり、日本IBMのリソースもフルに活用しながら、「不況に強い商材を重点的に伸ばす」ことで、逆境に打ち勝つ方針である。(寶)
プロフィール
野村 雅行
(のむら まさゆき)1949年、東京都生まれ。71年、慶應義塾大学工学部機械工学科卒業。73年、名古屋大学大学院2年修了。同年、日本電信電話(NTT)入社。92年、グループ事業推進本部事業企画部担当部長。95年、パケット通信事業本部企画部長。99年、NTTコミュニケーションズ、ビジネスユーザー事業部データネットワークサービス部長。01年、取締役ビジネスユーザー事業部統合IPサービス部長。04年、常務取締役ソリューション事業部長。05年、代表取締役副社長。06年、代表取締役副社長法人事業本部長。08年6月、日本情報通信の代表取締役社長就任。
会社紹介
NTTと日本IBMの折半出資会社。2008年3月期の連結売上高は約400億円。09年3月期は同450億円を目指す。08年1月に花王のEDIソフト開発子会社をグループ化し、同年9月にはNTTコミュニケーションズのEDIサービスを継承。SIerとしてSIやサービスビジネスを伸ばすと同時に、日本IBMの付加価値ディストリビューター(VAD)として全国約200社のビジネスパートナーにIBM関連の商材の卸販売も手がける。直近の売上高構成比はハードウェアなどの製品販売が約65%、SIやEDIなどサービスビジネスが約35%を占める。