ニッセイコムは今年、開発投資に力を注いだERPパッケージ「GrowOne Cube(グローワン キューブ)」をリリースした。統合データベースによる「経営の見える化」を実現し、リソースの有効活用が可能となる同製品で、メインの年商50~100億円のユーザー層から同200億円のユーザーにまで導入のすそ野を広げている。こうしたパッケージやパッケージをベースとしたASPサービスやアウトソーシング、またアプライアンスサーバーなどの「高付加価値ハードウェア」の販売を通して、持続的な成長の軌道を描く。
鍋島蓉子●取材/文 大星直輝●写真
ASPなど好調、業績横ばい
──昨年度の業績はいかがでしたか。
横山 国内市場全体では、製造業を中心に30~40%ほど落ち込んだと聞いています。ですが、当社の売上高は一昨年度、昨年度ともに横ばいでした。粗利益もほぼ変わりません。経常利益は30%ほどマイナスになっていますが、これは開発投資に力を入れたからです。
──ユーザー企業は景気悪化に打撃を受けていると思いますが、にもかかわらず御社が売上高・利益ともに横ばいを維持できた要因は?
横山 昨年度の売上高における構成比はハードウェアが約40%、システムが60%くらいでした。ここ数年、システム開発要員を80人ほど増やしました。それがパワーとなり、「SI力」を保つことができた。ユーザー企業はハードウェアの延命策をとって支出を抑えるケースが多いですが、システム構築は期間がかかりますから、大きな打撃は受けませんでした。
また、9年前から当社のパッケージをベースにしてアウトソーシングを請け負うASPサービスを始めています。現在のところは売上高全体の10%未満で、金額はまだ大きくありませんが、顧客数が3年前に比べ1.5倍に増えています。
ハードウェアの販売ではそのままだと単価は下がり続けるだけですから、「高付加価値ハード」にシフトしました。具体的には企業の事業継続投資を見据え、セキュリティソフト、バックアップソフトなどを日立製作所製のサーバーにバンドルし、アプライアンスにしています。SEの設定が必要なので私どもは「SE付きハード販売」と称していますが、それらが業績ダウンしないで済んだ要因でしょう。
──昨年は開発投資に力を入れ、今年に入って新しいERP製品をリリースされましたね。
横山 もう10年以上パッケージでビジネスしているのですが、これまで提供していた業務パッケージは給与、経理、販売管理などがそれぞれ個別データベースを持っているため、連携はできるものの、データを更新・閲覧するとなると、個々のデータベースから引っ張ってこなくてはなりませんでした。「経営の見える化」を実現し、リソースを迅速に有効活用できるよう、ノウハウを生かして統合データベース化して提供することは、お客様のニーズに合致しているということで、ERP「GrowOne Cube(グローワン キューブ)」の開発に着手しました。
──5月に第1弾として販売システムと会計システムを出されましたが、引き合いの状況はいかがですか。
横山 景気の状況がこのとおりなので、検討時期が延びていますね。年間1000システムくらい売りたいと思っているんですが、受注に至ったのはわずかです。ただ、お話はいろいろいただいていますので、期待しています。
日本のソフトウェア業界の人売り商売的な面が嫌で…。パッケージをメインにしないと、日本のソフトウェア業界は自立しないと思う。
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