富士通グループSE会社のなかで、企業規模とSE数ともに最大規模の富士通システムソリューションズ(Fsol)のトップが今年6月に変わった。社長に就いたのは、富士通関西システムズの社長など、富士通グループの西日本地域のビジネス拡大に尽力してきた杉本隆治氏。グループ再編が進む富士通のなかで、Fsolをどんな役割を果たす企業に変えようと考えているか。いくつものグループSE会社をみてきた氏は、Fsolの力を知り、その担う責任を重くみている。
グループSEの手本となる会社
──富士通関西システムズ(FKAS、大阪府)の社長から、東京が本社の富士通システムソリューションズ(Fsol)のトップに転じました。地域が異なると、いろいろと勝手が違うのでは?
杉本 関西の前は福岡にいて「西」で仕事する期間が長く、正直に言って「東」、東京の事情を知らなくて(笑)。Fsolの社長に就いて約1か月半、この期間はユーザー企業の訪問や幹部社員とのミーティング、 (聖五)前社長の取り組みを勉強することで、Fsolの現状を把握するとともに、この地域の事情を学ぶ期間でもありました。
──FKASの社長を務めながら、富士通グループで関西と東海、北陸のSE会社を統括する立場にもおられた。Fsolの経営戦略をうかがう前に、関西地域の事情を少し教えてください。
杉本 関西と東海、北陸地域のSE会社は、それぞれ独立意識が旺盛で、個性が強い。いい意味で、協調関係というよりライバル関係。そうはいっても、まとめるのにそんなに苦労はしなかったですよ。
個性が強いのは、長所が違うということですから、シナジーを発揮しやすい。オラクルの構築に強い部隊が名古屋にいれば、大阪にはSAPに強い部門があるとか。一方で、北陸はミドルウェアの開発に強かったり。それぞれの強みを組み合わせて、うまく成果が出せたと思います。
──では、Fsolはどう映りましたか。
杉本 Fsolは、関東を中心とした東日本に位置する富士通グループSE会社を統括する立場、という認識をもっています。FKASとの比較でいえば、まず規模が違う。売上高も人数も、FsolはFKASの2.5倍ですし、開発しているプロジェクトもケタが違います。FKASでは1000人/月ほどの開発案件は大きいほうでしたが、Fsolでは5000人/月クラスがたくさんある。顧客数も、FKASは約1000社ですが、Fsolは5000社以上。Fsolは、ほかのグループSE会社よりも歴史が古いですから、マネジメント力やソリューション力も一歩先を行っているとも感じました。
──確かに、Fsolは富士通グループの数あるSE子会社のなかでも規模はトップレベルで、利益率も高い(昨年度の経常利益率は9.9%)。富士通の野副(州旦)社長からの期待も大きいのではないですか。
杉本 Fsolは自社の業績拡大だけでなく、富士通グループのソリューション部隊を引っ張る、いわばソリューション力、SE力で横綱相撲を取らなければならない宿命を抱えている会社だと思っています。
──富士通の有力グループ企業はそれぞれの役割が明確です。アウトソーシングに強い富士通FIP、インフラ周りの富士通エフサス、中堅・中小企業向けSIに集中しようと舵を切った富士通ビジネスシステム(FJB)など。Fsolは、どんな役目を担うのでしょうか。
杉本 「グループSE会社のリード役」であり、「富士通のSE機能を果たす会社」でもあります。
Fsolに求められる立ち位置は、以前と変わってきました。かつては、富士通のSEの配下で仕事をすれば事足れりという感じだったように思います。ですが、今は富士通のSEと同じ感覚をもってユーザーと接しなければならない。「グループのSE子会社=富士通のSE機能」であり、Fsolはその各SE会社をリードする役割を果たす存在であるべきと認識しています。
Fsolは規模が違う。年商もSE数も顧客数も。富士通グループのSE会社の手本にならなければならない。
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