日立グループは東京電力(東電)に深く入り込んで、業務改革が進行中の東電のICT(情報通信技術)システム全体の構築・運用を引き受けようと動いている。日立グループと東電は、3月3日、東電子会社のシステムインテグレータ(SIer)であるテプコシステムズを分割し、システム運用・監視に強い日立システムズが筆頭株主になるかたちで日立システムズパワーサービスを設立した。電力会社向けにICTサービスを提供して売り上げの倍増を狙い、日立グループとして東電向けビジネスの拡大を図る。森田隆士社長に、新会社の戦略をたずねた。
運用ノウハウを評価して合弁を決定
──大手ITベンダーが電力会社系のSIerを傘下に収めるのは、異例だと思います。このたびの日立システムズパワーサービス設立に至った経緯と狙いをお聞かせください。 森田 日立グループは、インフラの領域からアプリケーションのレイヤまで、人々の豊かな生活を支える「社会システム」の事業化に取り組んでいます。なかでも、電力をはじめとするエネルギーの分野が重要と捉えて、電力管理システムの運用面から電力会社を攻めようと考えています。
東電が業務改革の一環としてテプコシステムズの分社化を決め、東電向けの事業については日立がその受け皿として手を挙げさせていただいた経緯があります。テプコシステムズがもつエネルギーシステムの運用ノウハウが世界に通じるほどの高レベルにあると評価したからです。日立の技術力や営業リソースを付加して、テプコシステムズのノウハウをパッケージ化し、国内外の電力会社に対して提供していきたいと考えています。
──新会社の筆頭株主は、日立製作所ではなく、日立システムズです。その理由を教えてください。 森田 当社の主な商材となる「運用・監視」が、日立システムズの本業中の本業だからです。日立グループは、意思決定の速さを考慮に入れて、運用・監視に関するビジネスはすべて日立システムズに任せるようにしています。そのような理由で、新会社も日立システムズが筆頭株主になったわけです。
私自身は、1973年に日立製作所に入社して、2008年からは日立システムズで大事な仕事を任されてきました。人脈を含めてこれまでのキャリアを生かし、日立システムズパワーサービスの事業拡大につなげたいと考えています。
──日立システムズパワーサービスの今後の事業展開についておたずねします。 森田 日立と東電で合意しているのは、商材や組織などに関して「今あるものを、より伸ばす」ということです。日立との相乗効果を発揮して早急に東電向けの提案活動に取り組むほか、早い段階からグローバルを視野に入れます。
エネルギーシステムを効率的で安定したかたちで運用するテプコシステムズのすぐれた技術を活用して、ジャパン・ブランドで世界市場に挑みたい。
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