「世の中の仕組みを変える」ことに魅せられて
──マルケト日本法人の社長に就任されたのは2014年6月とうかがっています。それ以前の経歴について教えていただけますか。 福田 1996年の大学卒業後、最初の就職先として選んだのは日本オラクルです。当時の日本オラクルは設立5年の若い会社で、私は新卒6期生でした。
──なぜ日本オラクルに? 福田 おっ、外資系のIT企業だ。なんか格好いいなと(笑)。また、会社説明会で「これからはメインフレームの時代からオープンな世界になる。そうなれば世の中の仕組みが変わる。われわれの時代が来る」と聞かされて、すっかり感化されてしまったんです。
──日本オラクルでの主なお仕事は? 福田 最初の5年間はERP製品のプリセールスと導入コンサルタントを担当し、その後、ロサンゼルスに赴任しました。当時の日本オラクルは海外に駐在員を派遣していて、2011年に空席ができたというので、自ら手を挙げたんです。現地の日本企業を中心に営業活動を3年ほどやっていました。
──それで日本に帰ってきたのですか。 福田 いや、実は米国でセールスフォース・ドットコム(SFDC)に移籍しまして。
──えぇ!? そうなんですか。そんなこと、あるんですね。 福田 米国の就労ビザは3年で切れるのですが、その前に、マーク・ベニオフと話す機会を得たんです。ロサンゼルスで一度会わないかと。その場で、彼に「これからのIT業界は、オンデマンドで大きく変わるぞ」と説かれて、「それは、おもしろいな」と素直に感じたんです。それでSFDCに入社したのが、2004年4月です。ただし、米国のSFDCにいたのは1年間だけで、そこでオペレーションを学んでからすぐに日本法人に入り、国内営業やインサイドセールスの部門を立ち上げました。SFDCで働いのは、都合9年になりますね。
──その後、マルケト日本法人の社長に就任されたわけですね。すると、マーケティングの経験がないまま、マルケトに入社されたように思えますが……。 福田 とくにマーケティングの経験はなかったですね。とはいえ、社内のマネジメントとして、マーケティングとインサイドセールス、営業との関係を築いてきたので、一定の土地勘はありましたけれどもね。
──社長就任を決めたポイントは何ですか。 福田 マルケトの存在は以前から知っていましたが、入社の誘いを受けて、改めてどんな会社かをリサーチしたところ、事業のコンセプト、ソリューションの機能・使いやすさ、そして、ユーザー会に対する取り組みなど、共感する部分が数多くありました。しかも、まだ日本で紹介されていないので、「よーし、やってみるか」と。
──マーケティングそのものに興味があったわけではないのですか。 福田 いや、根本はマーケティングに対する興味がすべてです。要は、「マーケティングのイノベーションこそが、これからの世の中を変える」という想いですね。昔から、「10年サイクルで大きなパラダイムシフトが起きる」といわれていますが、次の10年のパラダイムシフトはマーケティングを軸に起きると、マルケトに入る2年ほど前から考えていたんです。ですから、オラクルやSFDCに入社したときのように、他者が引き起こしたイノベーションに乗じるのではなく、今度は自分自身でパラダイムシフトを引き起こしたいと考えたのです。
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