バックアップの先鋭化にこだわり続ける
──大岩さんは以前、バックアップとセキュリティの二つをビジネスの主力に据えるベンダーにも在籍しておられましたが、アクロニスがセキュリティの分野に進出する可能性はないのですか。データの安全性・保全性を確保するという点では、二つの領域には共通性があると思うのですが。 大岩 いや、セキュリティとバックアップは似て非なるものです。キュリティ製品の主たる役割はやはり、事が起きることを防ぐことにあります。一方のバックアップは、事後対策を支えるソリューションです。ですから、この二つの先鋭化・高度化を追求するよりも、どちらかの一方に集中してリソースを投入したほうが、製品・サービスの競争優位は確保しやすいはずです。
── つまり、アクロニスがバックアップ以外の分野に進出する可能性は低いと。 大岩 米国本社でも、そうした話は出ていませんし、個人的にもビジネス領域を広げることがアクロニスのためになるとは考えていません。
──逆に、バックアップに特化したメーカーも出てきていますが、それに対する危機感はありませんか。 大岩 先ほど述べたとおり、バックアップの市場は有望なマーケットですから、競争が激しくなるのは自然の成り行きといえます。ただ、われわれにはノウハウと技術の蓄積が十分にありますし、新規参入組に負けるとも考えていません。むしろ、競争相手が増えて、市場全体がさらに活性化することへの期待感のほうが大きいですね。
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