クラウドの普及はNAS市場にとって追い風

──いま企業では、一般の業務においてもメールやストレージなどでクラウドの利用が進んでいます。アプリケーションがクラウドへどんどん出ていくなか、なぜローカルネットワークに設置するNASのニーズが広がっているのでしょうか。

郭　まず前提として、企業にとって本当に重要なデータについては、クラウドに出すのではなく手元で管理したいという需要が今でも根強くあります。この点で、簡単にRAID構成を組んだり、アプリを活用して自動的にバックアップを作成したりできるQNAP NASは利便性が高いのです。

　次に、クラウドは積極的に活用するものの、データはクラウド事業者任せにするのではなく、手元にもバックアップを置きたいというニーズがあります。例えばある社員が退職したとき、その社員のクラウドサービスのアカウントを解約するわけですが、ふだんからNASにもバックアップを取っておけば、アカウントを閉じる際も顧客リストなど業務に必要な情報が失われることがありません。

　他者にインフラをゆだねるクラウドサービスが普及することによって、「では、データの保全はどうするのか」と気づき、バックアップの必要性を認識する人が増えているのではないでしょうか。

──クラウドとローカルNASの両方にリスクを分散させるということですね。

郭　その考え方で、ニーズが大きく伸びているのがディザスタリカバリです。ふだんの業務では、社内にあるNASを利用してデータの保存やバックアップを行います。しかし、例えばオフィスが地震や火災の被害に遭って情報システムが損失する、NASそのものが盗まれる、サイバー攻撃を受けてデータを破壊される、このようなトラブルに見舞われた場合、いくら堅牢なRAID構成を組んでいてもデータを取り戻すことはできません。

　そこで、オフィスから物理的に離れたデータセンターで運用されるクラウドサービス上に、NASの内容を定期的にバックアップしておく。こうすることで、お客様の拠点でトラブルが発生した場合も、大切なデータを守ることができるわけです。また、例えば複数の拠点に設置したNASからそれぞれ上がってきたデータをクラウド側で統合し、本部で管理するといった使い方もされています。

──クラウドとの連携以外に、伸びている分野はありますか。

郭　明らかに需要が大きくなったのが、映像編集の業務をしている企業ですね。10ベイ以上を搭載し、CPUもインテルのXeon E3を採用しているような、ハイエンドの製品が急速に伸びています。映像編集が4K解像度で行われるようになったことで、ストレージ需要が一気に増大しました。この分野でQNAPが選ばれる理由は、ひとえにパフォーマンスです。基本構成でも高速ですし、SSDキャッシュや、10Gbイーサネットカードを追加すればさらに性能を向上させられます。

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