保守サービス市場の縮小に伴い、トータルサービスベンダーへと変貌を遂げつつある富士通エフサス。2014年度の売上高は、過去最高の2887億円を記録した。今年4月には、過去に運用サービスやインフラインテグレーション事業の立ち上げを主導し、現在の成長の基盤をつくった高萩弘氏が、内部昇格で社長に就任した。“エフサスの強み”を知り尽くす同社初のプロパー社長の経営ビジョンに迫る。
生え抜き社員の社長就任は初
──富士通エフサスとしては、初のプロパー社長に就任されました。 高萩 今までの流れを知っている私からすれば、自分でもびっくりしたというのが率直な感想です。
──ご自身としては、どんな期待を背負っていると考えておられますか。 高萩 3月に社長就任の話があって、これまでいろいろな人と会話する機会がありましたが、評価していただいているのは、現場をよくわかっているということなんですね。ですから、現場志向の舵取りをしてほしいという期待を多方面から寄せていただいていると感じています。
また、もともとは「ハードの保守」という機能ベースで富士通から独立した会社ですが、インフラインテグレーション、運用サービスなど、後から立ち上げた事業もかなり根づいてきました。結局のところ、セールスが一番強いのは富士通本体ですから、彼らにこうした商材をどれだけ売ってもらうかというのは、当社の成長にとって非常に大きなポイントです。私は事業の立ち上げ時から、富士通の営業部隊とかなり密接に連携してきましたので、彼らもやりやすくなると喜んでくれているようです。
──高萩社長は、CE(カスタマエンジニア)の業務に従事されていたとうかがっています。 高萩 30代の半ばに、富士通に出向したことが大きな転機となりました。もともとはCEとしての出向だったんですが、いつの間にか営業になっていたんです(笑)。CEとしてのキャリアは10年以上になっていて、別に幹部社員になろうと思っていたわけではないんですが、そろそろ次のステップに進む時期かなという思いもあり、抵抗はありませんでした。そうして製造営業部隊の他社攻略チームで働くことになったんですが、ここでの経験は衝撃でしたね。文字通り、他社のユーザーへの飛び込み営業などもやるわけですが、富士通の営業部隊には圧倒されました。何が何でも仕事を取ってくるという熱量、エネルギーが半端じゃない。ギラギラしていましたね。
保守サービスは100%ストックビジネスですが、こういうフロービジネス、ましてや他社のユーザーを奪取して獲得する売り上げというのは、そんなに根拠のある数字を計画に盛り込めるわけではありません。それでも、戦って、戦って、最後には目標を達成してしまうという勢いがありました。プロセスってすごく大事なんですけど、フロービジネスは、最後に結果がついてこなければプロセスのなかの苦労が水の泡になってしまうことも多い。彼らの数字や結果に対する強力な執着心が富士通の強さを支えているということを痛感しました。
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