ストレージ機器を中心に、仮想化技術やビッグデータ関連、コンバージドインフラなどに強いグループ会社をもち、今では「EMC連合」として成長を遂げているEMCジャパン。2014年12月、数々の外資系ベンダーで豊富な経験をもつ大塚俊彦氏が社長に就任した。他社との差異化を図った製品を提供するテクノロジーカンパニーとして地位を築く同社が、ユーザー企業、パートナー企業とともに成長していくカギとなるのが、人材を一番に考えた「ピープルカンパニー」であることだ。さらに今、改めてグローバルカンパニーを標ぼうし、ビジネスを拡大しようとしている。
「ピープルカンパニー」が強み
──社長に就任されて9か月が経過しました。EMCジャパンは、大塚社長の描く方向に進んでいますか。 そうですね。確実に進んでいると自負しています。成長のシナリオなど、いろいろな角度がありますが、一番の源泉は、市場の変化とともに大きく変わらなければならないということです。戦略など外部へのアプローチを“ハード”、人材を“ソフト”とたとえるなら、ソフトが変わらなければハードが変わらないと捉えています。そこで、(社長就任から)これまで“ソフト”の強化に力を入れてきました。
──具体的には。 とくに、コミュニケーションとリレーションです。社内では、社員同士がストレートにいい合えるオープンな風土をつくりました。加えて、ストレートにいい合うからこその信頼関係も構築したといえます。
──組織変更も実施したのですか。 とくに大きな再編は実施していませんが、お客様担当の組織を社長直属にしたほか、できるだけ階層を減らして役員や現場など役職に関係なく何でも言い合える場をつくってきました。私自身も、“飲みニケーション”(笑)を含めて全社員とのコミュニケーションを徹底的に行ってきました。
──大塚さんは数々の外資系ベンダーを経験されていますが、EMCジャパンの強みは改めて何だと捉えていますか。 顧客志向が非常に高いということです。社員が一丸となってお客様のことを考える。「テクノロジーカンパニー」であり、「ピープルカンパニー」であるということが強みではないでしょうか。グローバルでは、「Great Place to Work(働きがいのある会社)」として上位に位置づけられており、何より人を大事にする。だからこそ、お客様のことを考えることができると考えています。
また、パートナー企業との関係を深めるために、数多くの企業を訪問させていただき、パートナー企業が何を求めているのかを聞いた結果、「グローバルカンパニー」であることにも信頼を寄せていただいていました。市場の変化に伴って、お客様もパートナー企業もグローバル化を意識しているからだといえます。ですので、改めてグローバルカンパニーであることをアピールしていこうと考えています。それには、すべての社員が各国のスタッフともコミュニケーションをとって、お客様の要望に応えながら、いかにグローバル化を推進していけるかを考えていかなければなりません。米国本社も、日本企業のグローバル化に可能性を感じていることから、日本市場を重要視しています。毎週、米国本社から幹部が来日しているほどです。ですので、グローバルカンパニーとしての基盤づくりを改めて整えていきます。
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