小粒でもピリリと辛い
──それでビジネスチャンスにつながりますか。 さすがに大量生産、大量消費で中国には勝てませんが、サービスや食品の信頼性など、一つひとつは小さくても、日本のよさを生かすことができる領域がたくさんあります。私は「山椒は小粒でもピリリと辛い」ということわざが好きで、よく使うのですが、これからのITビジネスも、旧来型の大型開発プロジェクトありき、大規模なハードウェアのリプレースありきでは通用しない。小粒でもピリリと辛い、日本らしい気の利いたアイデア、サービスがより大切になってきます。
ニッセイコムに対しては、昔から徹底した顧客起点で「ピリリと辛いベンダーだ」と思っていましたが、これからも、規模は大きくなくても当社らしいサービスを打ち出していくことが成長への近道だと思っています。
──ニッセイコムの“ピリリと辛い”部分とは、具体的にどのようなところでしょう。 特徴的なのは当社が開発した業務システム「GrowOne(グローワン)シリーズ」を活用した業種特化型のビジネスです。
例えば、大学向けの財務会計システムや、健康保険組合向けの業務システムの分野では、トップクラスのシェアをもたせてもらっています。とりわけ国立大学向けでは6割近いシェアですし、健保組合向けでも日立グループをはじめ大規模なユーザーが多い。また、自社開発のERP(統合基幹業務)パッケージ「GrowOne Cube(グローワンキューブ=旧くんシリーズ)」は、広く一般のユーザー企業に使っていただいています。他にも製造業向けのSIにも強みをもっており、超大手は難しいとしても準大手、中堅クラスの優良顧客のITシステムを長年にわたって構築、運用してきた実績をもっています。
冒頭からお話ししているニッセイコムの“顧客起点主義”とは、つまりそういうことだと思うのです。客先に足しげく通って、業務を学ばせてもらう。そのうえでシステム化提案をして、さらに業種・業務のノウハウを蓄積していく。あくまでも顧客を起点として、ITシステムを捉えている点が強みであり、この点はこれからも変わりません。
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