日本人がやるタイミングだった
──最初に社長就任の“タイミング”だったとのことですが、これまでの話からそれをどう解釈すればいいのですか。 日本には日本独自のライフスタイルや仕事環境があります。なぜ仕事の現場でモバイルが普及しないのか、なぜテレワークが普及しないのか。その理由って、日本人じゃないとわからないと思うんです。かつ、業界を越えたネットワークをつくって、ビジョンを語り、シナリオを共有して、大きなムーブメントにしていくには、日本なら日本人の感性に訴えていく必要があります。だから、日本人がやるタイミングだったと思うんですよ。
──業界を越えたネットワークづくりが始まるということですね。 この10年、レノボは新しいグローバルな会社をつくるということでやってきましたが、会社のなかではフラットでいろいろなバックグランドをもつ人たちが、心地よく働いています。いろいろな意見を採り入れながらマネジメントするという、新しいグローバルカンパニーというものができてきていると思います。
ただ、今はもう一歩進む段階だと思うんですよ。社内だけにとどまらず、それこそ大企業という枠組みをぶち壊して、大企業同士がオープンにコラボレーションして、スタートアップのパワーも採り入れながら、新しいコンピューティングの世界を実現していくタイミングなんです。
レノボは新しいグローバル企業をつくるということでは、トップランナーとしてやってこれたと思いますが、今後はオープンイノベーションの世界でトップランナーになっていかなければいけない。レノボ・ジャパンは、そのリーダーシップをとることができると思っています。
──日本で先行事例をつくって、グローバルに展開するということですか。 そうですね。本社よりも先行しちゃいたい(笑)。ただ、同じようなことを考えている方は、日本にはたくさんいらっしゃいます。民間企業だけでなく、政府も動き始めていて、実現していることもあります。こうした動きを、どんどん増やしていきたいですね。
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