空席だったレッドハットの社長に昨年11月26日付で就任した望月弘一氏。ユーザーの課題や要望に応えられるのはオープンソースであると確信し、オープンソースソリューションのリーディングカンパニーであるレッドハットの社長を引き受けた。年成長率が1、2%といわれる日本のIT市場のなかで、Linuxのマーケットは約8%で伸びているとされる。OS以外の分野も加えると、レッドハットの年成長率は20%を超えるべきと望月社長は考えている。3年で売上倍増させることも「可能」ではなく、「大丈夫」と力強い答えが返ってきた。
オープンなカルチャーに感銘
──社長に就任して間もないですが、どのような感想をおもちですか。 非常にエキサイティングです。正しい決断をしたと思っていますね。
──正しいというのは? やはり、お客様から求められている会社だと日々痛感しています。かつ、そのお客様の期待に応えられるだけの十分なものをレッドハットはもっている。ですから、正しいことを正しくやっていけば、必ずお客様に貢献でき、レッドハットとしてのビジネスも大きく広がると感じています。
オープンソースのテクノロジーで何かを提案していくときには、レッドハットという会社は非常にすばらしい会社です。それから、会社のカルチャーもオープンというところが魅力ですね。一般的な組織はヒエラルキーのなかでものごとが決まっていきますが、レッドハットはそれもありつつ、議論を交わして切磋琢磨し、オープンななかで一緒に何かを成し遂げていくというカルチャーがあります。そこは非常に感銘を受けました。
ですから、オープンソースのテクノロジーがお客様に貢献できるということと、それにはレッドハットが最高のポジションにいるということ。会社としても、いいカルチャーがあります。まさに正しい決断でした。
──オープンソースといってもいろいろあります。オープンソースに注力する企業としては、レッドハットは世界のトップランナーだと思うのですが、他社との違いはどこにあるとお考えでしょう。 企業がミッションクリティカルなアプリケーションでオープンソースを使うときには、品質が保証されるとか、バージョンアップのサポートがされるとか、問い合わせ対応がきちんとしているとかが重要になります。それらに対して、クオリティの高い体制をつくって、徹底できているところがレッドハットの強みです。
オープンソースの会社はたくさんありますが、レッドハットはオープンソースをサブスクリプションというビジネスモデルで提供しています。保守やバージョン管理などをレッドハットが補償することで、お客様に安心して使っていただけるようにしています。基幹業務などのミッションクリティカルなところで使ってもらえるのは、そのためです。
──ほかのオープンソースの会社も同じようなことを言いそうじゃないですか。 レッドハットはベンダーではないんです。お客様とビジネスパートナー、コミュニティ、このトライアングルをつなぐ立場にいるのがレッドハットです。オープンソースといいつつ最終的に自社製品へとロックインするようなことはしない。そういうユニークな立場にあります。
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