2014年4月に東証一部上場を果たした東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)は、同年6月に、大澤正典氏が新たに社長に就いた。しかし、直近の15年3月期決算では、前期比減収減益となり、製造業向けの基幹システム分野で強みを発揮してきた同社のビジネスが、過渡期にさしかかっていることをうかがわせた。継続的な成長を実現するために、“大澤カラー”の新たな一手を打ち出す。
2020年までに、2倍、儲ける
──いきなり厳しい質問になってしまいますが、ご就任後の初の決算である15年3月期は、減収減益となりました。これをどう評価されますか。 社長職を拝命して、まず20年までの「経営 Vision 2020」をつくりました。ここで掲げた目標を達成するための組織変更なども行いましたから、それが一時的に、業績のマイナスに影響したところはあります。しかし、必要な手は着実に打ったと思っていますし、事実、今期は巡航速度で来ていて、売上高123億円、営業利益4億2000万円などの計画は達成の見込みです。
──組織変更のポイントはどこでしょうか。 大きいのは、新しいビジネスを生むための新商品企画本部という組織をつくったことですね。また、SIビジネスを担うソリューション事業は、これまでの2本部体制から1事業部体制に変更しました。営業、プロジェクトマネジメント、技術といった各セクション間の距離を縮めるというのが狙いです。
──前期はとくにSIに課題が残りましたよね。 ソリューション事業は10%落ち込みました。
──案件の単価が下がったのでしょうか。 いや、案件の単価は下がっていませんが、不採算案件をなくすことが課題です。そのうえで、経営管理やマスターデータ管理などにポートフォリオを広げてチャレンジしていく。そういうやり方がうまく回るように組織を改変し、それが軌道に乗ってきたというのが現在の状況だと思っています。
──経営 Vision 2020では、「B-EN-G3.0」を掲げておられます。これは何を意味するのでしょうか。 当社はまずSIからビジネスがスタートしたわけです。そして、自社ソフトウェアのライセンス販売にも事業を拡大し、順調に成長してきました。ここまでが「B-EN-G2.0」です。ここからさらに成長すべく、クラウドを経営のもう一つの柱として加えることを、B-EN-G3.0と表現しています。
さらには、これまでSIでも自社プロダクトでもERPが当社のビジネスのコア領域でしたが、IoTやコミュニケーションなどの領域にもポートフォリオを広げます。また、当社のお客様はますますグローバル対応が必要な状況になっていますから、海外拠点でも地域の状況に即した対応ができるように、「グローカル」にますます注力するというのも、経営 Vision 2020で示した戦略の大きなポイントです。
数値目標としては、営業利益を現在の2倍以上の10億円、ROE(自己資本利益率、収益性を測る指標)を10%に押し上げるという目標を掲げました。
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