トップセラーの父親への憧憬が原点に
──新規顧客の開拓に生きがいを感じるとのことですが、何かきっかけがあったのでしょうか。 親父の影響が大きかったと思います。親父は訪問販売会社に勤めていて、誰よりも営業成績がよかった。幼い頃、職場見学でそれを知ってから、漠然とした憧れみたいなものがあり、「自分も親父みたいになりたい」と思っていました。学生の頃、親父の会社でアルバイト要員として、一時期、雇ってもらったことがあるのです。一夜にして大きな商談をまとめてくる親父の見よう見まねで、訪問販売を体験してみましたが、誰からも相手にされない。門前払いですよ。まぁ、あたりまえですよね。ずぶの素人が訪販のプロと同じ土俵に立てるわけがないですから。
──それで、どうされたのですか。 学校を卒業してからは、当時、地元で大手SIerだった旧CSK(現SCSK)に入社し、営業職に就きましたが、自分のなかでは、親父のようになりたいという思いが、依然としてくすぶっていました。旧CSKの先輩からは、早く営業成績があがるように担当顧客を割り当ててやるといわれたのですが、当時の私は、頑に拒んで、自力で新規顧客の開拓に邁進していくことになります。とはいえ、ロクに営業経験がない若造がうまくいくわけもなく、営業成績は惨憺たるものでしたけれどね。
転機が訪れたのは、冒頭から話している「顧客が抱える課題やニーズ」を、いかにして浮き彫りにするのかが、自分のなかで何となくつかめてきたときでした。
まったくの新規顧客だけでなく、これまで疎遠になっていた顧客との再接近や、以前、何らかのトラブルがあった顧客との関係修復、大きな会社ですと、A部門からは発注をいただいているが、隣のB部門とは取り引きがないケースなどもよくありましたので、私はB部門、さらにC部門へと進出して、課題解決型のアプローチで受注がとれるようになってきました。既存顧客の申し送りではなく、会社全体でみたときの売り上げの“純増”に寄与している実感も湧いてきました。
──では、石田社長の課題解決型のアプローチをDC事業に置き換えると、どのような経営施策となりますか。 まずサーバーを「置けます」「貸します」だけでは、DCなんですから、あたりまえ過ぎます。こうしたあたりまえの機能やサービスに加えて、アプリケーションソフトやデータを活用したビジネスを創出する場所や機会をもっと増やしていかなければなりません。
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