──そもそもなぜ、ロボットやIoTだったのでしょうか。 当社では、ロボット、自動化(オートメーション)、エネルギー、そしてIoTを「デジタル事業領域」と規定しましたが、やはり核となるのはITです。つまり、IT分野で積み重ねてきた自社のノウハウを生かすことができるのです。
また、先ほども申し上げましたが、CECが製造業に強く、スマートファクトリーやデジタルエンジニアリングなど、さまざまなソリューションを提供しています。デジタル事業に必要となるノウハウが、グループ内に蓄積されているということです。
もちろん、不足する部分はありますので、そこはアライアンスを進めます。例えば、当社ではロボットをつくらないため、ロボットメーカーとアライアンスを組んだりしています。
ただ、当社は独立系ですが、富士通の主力パートナーという一面もあります。私が入社した頃は、富士通と常に行動をともにしていたくらいです。デジタル事業領域においてもその関係を重要視していて、IoTで必要となるクラウド環境などでは、富士通を中心にアライアンスを進めています。
ロボットにはインテグレーションが必須
──ロボットの導入先は、どのような業界が中心となりますか。 製造業が主要な市場となると考えています。海外に進出した生産工場が、品質重視で国内に回帰しはじめました。ただ、国内は人手不足の状況にあるため、ロボットの導入や自動化を採り入れた「スマート工場」が注目されているのです。
とはいえ、物流関連や食品関連といった業界への導入も想定しています。重いものを運ぶといった人を支援するロボットは、生産工場以外にもニーズがあるからです。
──ロボットを導入できるのは、体力のある大手製造業に限られるということはありませんか。 ロボットの導入で重要なのは、大手企業だけでなく、中小企業も対象になるということです。なぜなら、人手不足が深刻なのは、中小企業だからです。
ただ、大企業ならともかく、中小企業が自分でロボットを導入するのは難しいため、インテグレータが必要になります。それも、ロボットだけでなく、ITもわかるインテグレータです。
インテグレータに求められるのは、最適なロボットを提案することです。どこにロボットを導入し、何を自動化すれば、投資効果が上がって、経営に役立つのか。これらはITの考え方と同じで、かつ、ロボットの導入にはITに関するノウハウも必要になります。ITも含めてのインテグレーションが必要ということです。まさに、ロボットインテグレーション。だから、当社に最適な事業ということになるのですが、当社にしかできない事業であるとも自負しています。
他社よりも確実に先を走っている
──IoTに関してはどうですか。 IoTには非常に大きな可能性を感じています。IoTデバイスから取得したデータを活用すれば、故障前の対処や消耗品の追加発注自動化など、新たなサービスを展開することができます。ビジネスモデルが変わるのです。
ただ、それだけではありません。企業システムと連携することによって、もっと大きな効果が生まれます。効果がみえてくれば、新たなニーズも出てくるでしょう。潜在化していたものが、顕在化するのです。IoTの本質の一つです。IoTによって、新たなニーズが生まれれば、企業システムの再構築も必要になるかもしれません。
また、IoTは企業システムの運用改善や稼働率向上といったことにも応用できます。この点でも、IoTは当社の事業の延長線上にあることがわかります。事業が拡がったという感覚です。
いずれにせよ、IoTはようやく注目されるようになってきました。当社は他社よりも確実に先を走っていますし、社員も時代がきていることを現場で実感しています。当社の営業担当者は、他社より先行して顧客に提案できる。これは楽しいし、やりがいにつながります。
顧客の反応も変わってきました。例えば、営業先でインダストリー4.0やIoTなどについて聞かれるわけです。それほど、顧客にとっても関心事になりました。もちろん、当社の営業担当者はしっかり答えられます。
──デジタル事業は現在、どのような進捗ですか。 これからです。というのも、デジタル事業の取り組みは4年ほど前からで、3年間はトレーニング、昨年の1年間は練習試合という感じでしたから。この4月からが本番なのです。具体的なソリューションも提案できる準備が整いました。
4年前は、どの企業もデジタル事業に取り組んでいませんでした。最近になってようやく、同じトラックに入ってきたという程度で、各社はまだ勉強中。当社は2歩も3歩も先を走っています。
もちろん、デジタル事業にはリスクもあるでしょうが、ひるまず、恐れずです。2020年にはデジタル事業が当社にとってあたりまえの事業になります。おもしろい会社になるので期待してください。

‘2020年にはデジタル事業があたりまえになります。おもしろい会社になるので期待してほしい。’
<“KEY PERSON”の愛用品>ビジネス文具三点セット スタンフォード大学の鉛筆。「革新性で定評のある大学。学生の気持ちになって現地でまとめ買いする」。そして、長年使っているノート。ポストイットは、ふと浮かんだアイデアなどを書き留めて、指示したり、ノートに貼ったり。

眼光紙背 ~取材を終えて~
羅本社長は、プログラマを希望してミツイワに入社したという。それまではベビー服メーカーにいたことから、異業種への転身だった。1981年のことである。希望はかなわず、営業担当となるが、着実に経営感覚を磨いてきた。リーマン・ショック時には、経営管理本部長として、ストックビジネスの強化に注力。安定収益の底上げに成功するなど、実績を残した。
ロボット事業の本格展開については、羅本社長が専務取締役だった2014年に自ら発表している。それだけに、思い入れのある事業に違いない。ただ、15年まではトレーニングで、昨年が練習試合と本人が振り返る通り、当時はまだミツイワの体制が不十分だった、もしくは取り組みが早すぎだったのかもしれない。
2015年6月に代表取締役社長に就任。ロボット事業から発展したデジタル事業が、社長として最初のチャレンジとなる。ロボットやIoTはブームとなり、市場のムードは完全なる追い風。後は、2歩も3歩も先を走るランナーのアドバンテージをどこまで生かせるか。羅本社長の手腕に注目だ。(弐)
プロフィール
羅本 礼二
羅本 礼二(らもと れいじ)
1979年、早稲田大学政経学部卒業。ベビー服メーカーを経て、81年に三岩商事(現・ミツイワ)に入社。98年に取締役東京支店長、09年に常務取締役経営管理本部長、11年に常務取締役新規プロジェクト本部本部長、14年に専務取締役。15年6月18日、代表取締役社長となり、現在に至る。
会社紹介
1964年、三岩商事(現在のミツイワ)として創業。現在では三岩グループ内に、コンピュータシステムの販売とサポートサービス事業を核とするミツイワグループ、ソフトウェア開発事業を核とするシーイーシーグループという二大組織で構成される。ミツイワは、ミツイワグループの中核企業。81年の電子デバイス事業進出以降、ICTサービス事業と電子デバイス事業を二つの柱としている。ミツイワの資本金は4億900万円、従業員数は755人(2015年4月1日現在)となっている。