──地方販売会社の社長も経験されていますが、地方を含めた販売網のあり方としてはどのようにお考えですか。メーカーによって、販売会社は全国統一か、地方ごとかといった考え方の違いもありますが。 制度とか仕組み、バックオフィス部分は全国で集約したほうが効率的です。ただ、きめ細かな対応、地域ごとの特性というものは重要です。例えばちょっとしたキャンペーンのような販促策など、いまは基本的に全国共通で行っているのですが、そういう営業的な動き方についてはむしろ支社に権限委譲していきたいと考えています。全国で固定する部分、地方ごとに変える部分、両方がありますね。現在、リコージャパンの全国の拠点を回っており、早期に主要な57の事業所を訪問する予定です。大切なお客様にお会いするのはもちろんですが、それ以上に、社員と会ってメッセージを交換することに力を入れています。風通しがよく働きやすい環境をつくることが何より重要で、それがお客様に対してのよい提案、ひいては業績の拡大につながります。

オフィスに必要な商品やサービスは何でも提供できる
<“KEY PERSON”の愛用品>手の届く範囲に必ず 思いついたことはすべて書き漏らさないよう、オフィスのみならず自宅の各部屋にも筆記具を常備している。ふだん携帯するのは手帳とボールペンだが、愛着のある一本を選ぶならペリカンの万年筆という(右から4本目)。

眼光紙背 ~取材を終えて~
松石社長のビジネスパーソンとしての座右の銘は、浜田広・4代目リコー社長が唱えた「お役立ちの心と行動」。営業マンの売り物は商品ではなく「お役立ち」という考え方だ。
「リコー」といえば、複写機市場で長年キヤノンと熾烈なトップシェア争いを繰り広げてきたブランドというイメージが強いが、今回松石社長の口から他社を意識したコメントはほとんど聞かれなかったのが印象的だった。同社は昨年電力小売り事業に参入して話題となったが、これは「New Business」とみることもできるし、オフィスで必要となるものは何でも提供するという点では「On Business」でもある。いずれにしても、視線の先は競合他社ではなく常に顧客を向いているようだ。(螺)
プロフィール
松石 秀隆
松石 秀隆(まついし ひでたか)
1957年、福岡県生まれ。81年、関西学院大学文学部を卒業しリコーに入社。2003年、西東京リコー社長に就任。05年、リコー東北社長、09年、リコーITソリューションズ社長、10年、リコージャパン専務、14年、リコーリース社長・リコー常務に就任。今年6月15日から現職。
会社紹介
2010年7月、国内の各地方を担当する7社のリコー販売会社とリコーの販売事業本部を統合して設立。全国に361拠点・従業員1万9587人(今年4月1日現在)を擁し、複合機やプリンタをはじめとするICT製品の販売・保守を行う。14年7月にはリコーテクノシステムズ、リコービジネスエキスパート、およびリコーITソリューションズの一部事業を統合し、ソリューションサービスの提供を強化した。