XML専業ベンダーとして創業し、主力製品でノンプログラミングが売りのデータ連携ツール「ASTERIA」やスマートデバイス向け情報配信・共有プラットフォーム「Handbook」が好調なインフォテリア。最近では、ブロックチェーン市場開拓の旗手として注目を浴びている。グローバルでの成長を目指し、2年前にシンガポールに居を移した平野洋一郎社長にとって、みえる景色は大きく変わったようだ。
“つなぐ”ニーズは大きくなるばかり
──昨年度(2016年3月期)も増収増益で、主力のASTERIA、Handbookとも順調に伸びているという印象です。 おかげさまで好調です。当社が一貫して取り組んできた“つなぐ”ことへのニーズがどんどん大きくなってきていると感じています。
──“つなぐ”ニーズについてもう少し詳しく教えてください。 例えば社内システムをすべて一つのシステムにまとめてERPのように運用しようという考え方はありますが、現実にはハードルがけっこう高い。昨今流行のデジタルトランスフォーメーションにしても、何か一つのプラットフォームにすべてをのせて大変革するみたいな話は、ビジョンとしては理解できても、話にのれるユーザー企業は限られています。実際は、インターネットやクラウドの普及により、どんどん細分化されたサービスがAPIでつながる時代になってきている。APIはアプリケーション・プログラム・インターフェースの名のとおり、本来はプログラミングによってつなぐものですが、これをノンプログラミングでつなぐASTERIAには、大きな活躍のフィールドがあります。APIが増えたらASTERIAは要らなくなるのではという人もいますが、逆ですね。APIが増えるからASTERIAのニーズは大きくなるんです。
──ユーザー部門主導の導入も増えているとか。 企業システムの意思決定の力学は、情報システム部門から現場に明らかにシフトしています。この流れもASTERIAのよさを理解してもらうという意味で追い風になっています。実際にユーザー部門がASTERIAのフロー部分を書いたり、メンテナンスしたりというケースも珍しくないです。
──Handbookは、うまくモバイル活用のニーズを先取りしたという感じでしょうか。 以前はオフィスワーカーしかITの恩恵を享受できていませんでしたが、スマートフォンやタブレット端末の登場により、セールスワーカーやフィールドワーカーも、情報で武装して仕事の価値を上げることができるようになりました。オフィスワーカーにしても、ワークスタイル変革の流れがありますから、Handbookでの情報共有はそうしたニーズに広く役立つものだと自負しています。

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