「あらゆるものが所有から利用へとシフトしていく」。そう断言してはばからないティエン・ツォ氏が率いるZuoraは、サブスクリプション型のビジネスのためのSaaS型プラットフォーム「リレーションシップ・ビジネス・マネージメント(RBM)」を提供するユニークな会社だ。ITの世界では、クラウドがまさに所有から利用へのパラダイムシフトを起こしたが、事実、多くの先進クラウドベンダーもZuoraのユーザーに名を連ねている。ツォ氏はRBMを、ERPに代わる新世代の基幹システムとして育てていこうとしている。
マーク・ベニオフが最初に投資
──まずは、Zuoraを創業したきっかけから教えてください。 9年前に遡りますが、セールスフォース・ドットコムに勤務していたときの経験からZuoraは生まれました。セールスフォース・ドットコムは、二つの大きな変革を実現しました。一つは、クラウドでソフトウェアをインターネット経由で使う世界をあたりまえにしたこと。もう一つは、ソフトウェアを買うのではなく、サービスとして利用するというモデルを一般化したことです。こうしたテクノロジーとビジネスモデルの変革は、セールスフォース・ドットコムだけでなく、あらゆる業種業態で起こるのではないかと考えました。そして、その業務を支える新しいシステムも必要になっていくんじゃないかと考えたわけです。それを(セールスフォース・トッドコムの創業者で現会長兼CEOの)マーク・ベニオフに話したら、賛同してくれて、最初のエンジェル投資家になってくれた。それが第一歩となり、現在は顧客数800以上、従業員数600人の会社に成長することができました。
──クラウドビジネスについてはともかく、その時点で他業界でもサブスクリプション型ビジネスが普及すると予測できたのは驚きです。 例えばネットフリックスは、当時、DVDを郵送してレンタルするだけの会社でしたが、利用型のサービスを顧客のニーズを探って高度化しようとしていましたし、大都市では車を所有するのが理に適っていないとして、ジップカーなどのカーシェアリングサービスが出てきていました。そうした潮流に気がついたということです。

──現在では、どんな企業がユーザーになっているのでしょう。 本当にさまざまな種類のお客様に導入していただいています。最初に興味をもっていただいたのはIT系のスタートアップ企業でしたが、いまやIBM、GE、AT&Tなど、多くの業種で大手企業の支持も得ています。
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